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ポーチュラカリア属(雅楽の舞・銀杏木)の育て方

ポーチュラカリア属の写真

雅楽の舞雅楽の舞 銀杏木銀杏木

ポーチュラカリア属(Portulacaria)の特徴

スベリヒユ科
育てやすさ:育てやすい
生育型:夏型
成長速度:普通
増やし方:葉挿し× 挿し木〇
原産地:南部アフリカ

※これまでスベリヒユ科とされてきましたが、最近はディディエレア科(Didierea)に分類されています。


※4段階評価
育てやすい-普通-やや難しい-難しい
成長が早い-普通-遅い-とても遅い
耐寒性と耐暑性が、強い-やや強い-やや弱い-弱い

ポーチュラカリアはこんな多肉植物
丸い小さな葉ですが、実は大きくなると1メートルを越し、まるで木のように成長する夏型の多肉植物です。もともとは南部アフリカに自生しています。ポーチュラカリア属は品種数がとても少なく10種程度しかありません。その中で「銀杏木」と「雅楽の舞」が日本で出回っています。

特徴
生育はゆっくりで夏の暑さに強く寒さにとても弱いです。紅葉すると丸い葉の周りがピンク色に染まりとてもかわいいです。自生地では花が咲きますが日本では咲きづらいです。

育て方
日本では主に夏に生育する「夏型」として栽培します。栽培上の注意点は冬に弱いことで、月兎耳や胡蝶の舞で有名なカランコエと並んで寒さに弱く、1回でも霜が当たると枯れてしまいます。そのため5℃を下回るようになったら室内に取り込んで防寒する必要があります。

品種の紹介
雅楽の舞(ガガクノマイ)とは?
雅楽の舞は銀杏木の斑入り種です。葉の周りに斑が入る場合と真ん中に斑が入るタイプがあります。まれにアルビノ(葉緑素がない)が出ることがあります。大きくなってくると枝が垂れ下がるように伸びていきます。秋に充分に日に当てるとふちがピンク色に紅葉し美しくなります。

斑入り種であることから、銀杏木より性質がやや弱く耐寒性、耐暑性ともに劣ります。また真夏に直射日光に当てると葉ヤケする場合があるため、銀杏木より慎重に扱う必要があります。

銀杏木(ギンナンボク正しくはイチョウギ)とは?
多肉の世界では雅楽の舞が有名ですが、その元祖がこの銀杏木です。ギンナンボクとも呼ばれていますが、正しくはイチョウギのようです。生長すると木のようになり30cm以上に伸びることがあります。夏型で比較的耐暑性があり、暑い時期に生育します。冬の寒さには弱いです。

肥料を与えると旺盛に生長するので大きくしたい場合は、普通の草花のように育てることも可能です。コンパクトに仕上げたい場合は、他の多肉植物と同じように育てるとよいでしょう。

桃子の舞について
桃子の舞は、令和の桃子と同じで薬で人工的に葉緑素を抜いた薬錦のようです。令和の桃子は葉緑素が抜かれているため、長く生きることはできず、やがて腐って枯れてしまいます。雅楽の舞を薬錦にした桃子の舞もその運命にあると考えてよいです。そのため切り花のような存在です。ポーチュラカリア属を長く育てたい(1ヶ月以上)場合は、自然の斑入り種である雅楽の舞を育てることをおすすめします。

年間栽培カレンダー

水やり
  • 生育期の3~5月、9~11月は土が乾いたら7~10日に1回ほど鉢内が充分湿るくらい水をやる
  • 6月から水やり回数を10日に1回以下にする
  • 7~8月は月に2回程度の水やりをする
  • 12~2月は月に1回程度(室内で育てるなら生育期と同じ量の水やり回数が必要)
置き場所
  • 4~6月は屋外の日なたに
  • 6~9月は日差しが強すぎるため屋外で50%遮光か明るい日陰に
  • 10~11月は屋外の日なたに
  • 12~2月は基本屋外の日なたに
  • ただ5℃以下になる間は日の当たる室内に取り込む
  • 年間を通して雨ざらしにしない
植え替え 3~6月が適期
増やす 3~6月頃までに挿し木(挿し芽)
肥料 ほとんどいらないが、3~6月頃に月1回2000倍の液肥を与えても良い
開花 6~10月 星形のピンク色の花が咲くが大木になってから。日本では花が咲くことは稀

主な種類名

銀杏木 (イチョウギ) Portulacaria afra
雅楽の舞 (ガガクノマイ) Portulacaria afra cv.variegata

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育て方のポイント

水やり

水やり南部アフリカ原産の夏型種ではあるものの、日本の夏は高温と多湿のため生育が鈍ります。そのため生育期は3~6月、9~11月頃になります。生育期は土が乾いたら7~10日に1回ほど、鉢内が充分湿るくらい水を与えます。鉢底から水が流れ出ても構いません。

梅雨時は雨が多いので6月から水やり回数を10日に1回以下に減らします。そして7~8月は月に2回程度の水やりに減らします。鉢底から水が出るほどやらないほうがよいですね。冬の12~2月は寒さのため休眠します。根が水を吸わなくなるのでほとんど水が要らなくなります。そのため月に1回程度土の表面が濡れる程度にさらっと水やりをしましょう。また室内で育てるなら室温が15℃以上の春秋状態となるので休眠せず、生育期と同じ量の水やり回数が必要です。

真夏30℃を超える時期は無理に水やりすると蒸れて腐るので暑い日が続いている間は無理にやらくてOKです。少し涼しい日を見つけて夕方に水やりしましょう。冬外で育てている間はあまり寒くない日の朝に水をやります。ポーチュラカリアはとても寒さに弱いので、冬は室内に取り込み春秋と同じ管理をするのが安全です。また多肉植物なので少しくらい葉がしわしわのふにゃふにゃになっても枯れることはありません。水やりを再開すると2日くらいですっかり元に戻ります。

置き場

置き場ポーチュラカリアは南部アフリカで自生しているので基本的には1年を通してしっかりと日に当てる事が必要です。また雨が少ない所なので日本で育てる場合は雨ざらしにしないほうがよいでしょう。そして風通しが良いことが大切です。

具体的には4~6月は屋外の日なたで日光をよく当てましょう。7~9月は日差しが強すぎるため屋外で50%遮光するか、明るい日陰に置きます。明るい日陰は木陰のような所のイメージです。夏の間は風通しに注意し、閉めきった室内に置いておくと根腐れしてしまいます。外に置いておく場合は風通しについては充分よいので意識しなくてよいでしょう。(もちろんビニール温室などではビニールは常にオープンにしておきます)。

秋が来て10~11月は再び屋外の日なたでよく日光を当てます。12~2月は基本屋外の日なたに置きます。寒さに弱いので5℃を下回るようになったら室内に取り込み、窓越しに直射日光を当てましょう。暖房がきいている室内はとても乾燥した空気になるので、なるべく暖房がかかっていない日の当たる所に置きましょう。

耐暑性と最高気温・夏越しの方法

夏越し

越冬最低温度と冬越し方法

冬越し越冬最低温度は5℃とされています。5℃を下回るようになったら室内に取り込みましょう。1回霜に当たるだけでも溶けるように枯れてしまうので特に夜、朝早く6:00頃の気温の予報をチェックしておきましょう。また銀杏木より雅楽の舞は一層寒さに弱いので注意が必要です。

増やし方

殖やし方銀杏木や雅楽の舞は挿し芽で殖やすことができます。葉挿しはできません。時期は生育期にあたる3~6月が適期です。他の季節は全くできないわけではありませんが、暑さ寒さで根が出ないなどトラブルが起きやすいので避けた方が無難です。

挿し芽の方法:

親株から5cmくらいの枝を切り取り、下のほうに付いている葉を落としましょう。その後日陰で3~4日切り口を乾かし、切り口が乾いたら乾いた用土に挿します。ポーチュラカリアは根が出るのが遅く、3週間から4週間はかかることがあります。その間水をやったりせず気長に待ちましょう。0.5cm~1cm程度発根したら水やりを開始始めましょう。いきなり普通の量やらず、少しずつ増やしていきます。カットした親の茎からは脇芽が出てくるのでこちらも気長に待ちましょう。

植え替え

植え替えも挿し木と同じように生育期の3~6月に行います。植え替え10日以上前から水やりを控え土を乾燥させます。株を掘り出して枯れている根などを整理し、一回り大きな鉢に植え替えます。ここで毎年の植え替えは面倒だからと小さい鉢から一気に大きな鉢に植え替えないようにしましょう。大きい鉢では根の届かない底に水がたまり、腐敗の心配があります。

銀杏木の植え替え
ポーチュラカリア①今回は長く植え替えをしていなかった銀杏木を植え替えたいと思います。 ポーチュラカリア②鉢から抜きだしてみるとそんなに根を張っているふうではありませんでした。 ポーチュラカリア③根をほぐしていくと実際に機能している根(生きた根)はこれだけでした。根ジラミがいないかもチェックしてください。
ポーチュラカリア④この根の量なら元の鉢のサイズでいいので、そのままもう一度植え戻します。 ポーチュラカリア⑤乾いた用土を注いで、割り箸などで根と根の間にも土を入れていきます。

銀杏木の植え替え
ポーチュラカリア①今回は長く植え替えをしていなかった銀杏木を植え替えたいと思います。 ポーチュラカリア②鉢から抜きだしてみるとそんなに根を張っているふうではありませんでした。
ポーチュラカリア③根をほぐしていくと実際に機能している根(生きた根)はこれだけでした。根ジラミがいないかもチェックしてください。 ポーチュラカリア④この根の量なら元の鉢のサイズでいいので、そのままもう一度植え戻します。
ポーチュラカリア⑤乾いた用土を注いで、割り箸などで根と根の間にも土を入れていきます。植え付けてから1週間ほど待ち、少量から水やりを開始します。

肥料

肥料肥料は基本的には要りません。しかし肥料を与えると生育が良くなり成長速度も早くなります。肥料をやる場合は3~6月に月1~2回程度液肥(ハイポネックスなど)を与えます。他の多肉植物は肥料のやりすぎはあまりよくないのですが、雅楽の舞や銀杏木では多少やり過ぎてしまっても問題はありません。特に銀杏木は大きく成長します。やり過ぎると紅葉しなくなったり、葉の間隔がのびヒョロヒョロするといった副作用もあるので、たくさんやりすぎないようにしましょう。液肥を与える方法もありますが、マグアンプのような緩効性肥料を土に混ぜて使うこともできます。

土と鉢

土土は他の多肉植物と同じように排水性の良いものを選びます。市販の多肉植物の土でも良いですし、自分で配合してもよいでしょう。ブレンド例は、赤玉土3:鹿沼土3:ピートモスか腐葉土2 その他、軽石・川砂・パーライトなど。1種類ではなくできれば5種類以上の土を入れるのが理想です。普通の「花や野菜の土」はそのままでは使えませんが、赤玉土や軽石をたくさんいれて排水性を高めれば使うことも可能です。

開花

原生地では星形のピンク色の花をたくさん咲かせます。しかし花が咲くのは1メートルを超えるような大木になってからで、また日本の環境では花が咲くことは残念ながら稀です。また日本で普及しているのはカット芽挿しで、挿し木から成長する雅楽の舞は大木にはなりません。

病害虫

病害虫他の多肉植物に比べあまり病害虫は心配ありません。しかし庭で栽培しているとそこから病気をもらったり、虫が飛んできたりすることがあります。高温多湿の時期はカイガラムシがつきやすく、チョウがアオムシの卵を産み付けたりアブラムシがついたりすることもあります。その場合はベニカXファインスプレーなどの浸透移行性の殺虫剤を撒いておきましょう。病気はあまり心配ないですが、うどんこ病などカビ性の病気に罹ったらベンレートやオルトランなどを撒きます。

育て方のコツ

  • ポーチュラカとポーチュラカリアは違うの?・・・生物学的に近い仲間ですが同じ属ではありません。
  • 雅楽の舞がきれいなピンクにならない・・・寒さが足りないか、肥料や水をやりすぎているか、日光不足になっていると考えられます。また夏には紅葉しないので寒くなるまで待ちましょう。
  • 夏型なら真夏に挿し芽や植え替えをしたり水を一杯やらないといけないのでは?・・・夏型は春から秋にかけて生育するという意味なので、必ずしも夏に生育の盛りがあるわけではありません。ポーチュラカリアは特に春から夏(3~6月)に生育の盛りを迎えるのでその間に作業します。
  • 夏型なら真夏、直射日光に当てても良いのでは?・・・確かに原産地ではそうかもしれません。しかし日本の夏は高温に多湿が加わるので、直射日光を当てると腐るように溶けてしまうことがあります。

コメント

ワンポイント

  • ゆっくり成長するが、脇芽をどんどんだして小さな木のように成長する
  • 斑入り種のポーチュラカリアは秋のピンク色がきれい
  • 冬の寒さに特別弱い属なので5℃を寒くなったら真っ先に溶けてしまう、心構えを。
  • 少々水やり過ぎ、やり忘れしても枯れないので簡単に栽培できる

銀杏木・雅楽の舞の追加の写真

ポーチュラカリア銀杏木もその斑入り種である雅楽の舞も、数年育てていると株元が木質化してがっしりしてきます。しかし銀杏木は上に伸びていくのに対し雅楽の舞はどうしても長くなると垂れ下がってしまうようです。何度か長くなった分をさし木したのですが、10cmを超えると写真のようにしなってしまいます。(2022.11撮影)

ポーチュラカリア銀杏木もその斑入り種である雅楽の舞も、数年育てていると株元が木質化してがっしりしてきます。しかし銀杏木は上に伸びていくのに対し雅楽の舞はどうしても長くなると垂れ下がってしまうようです。何度か長くなった分をさし木したのですが、10cmを超えると写真のようにしなってしまいます。(2022.11撮影)