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多肉植物の耐寒性(最低越冬温度)は?属ごとに教科書値と実測値を解説!

冬越し
多肉植物は冬の寒い時期、何度まで耐えることができるのでしょうか?何度くらいまで外に出しておいてよいのか、室内に取り込むべきか?属ごとに書籍に書いてある「最低越冬温度」と実際に栽培してみて耐えられた最低気温を紹介します。

疑問
多肉植物は冬の寒い時期、何度まで耐えることができるのか?何度くらいまで外に出しておいてよいのか、室内に取り込むべきか?
疑問の答え

  • ほとんどの多肉植物の耐寒温度は0℃まで
  • ざっくりと多くの多肉植物は2℃以上あれば大丈夫
  • 春秋型・夏型・冬型の生育型は必ずしも関係はなく、冬型だから寒さに強いわけではない
  • カランコエは寒さに弱く5℃以上が必要
  • センペルビブムやオロスタキスは寒さに強く-5℃でも耐えられる
  • 耐寒温度は環境によって若干変動するので鵜呑みにはできない

耐えられる温度は属ごとにおおむね決まっています。同じ属でも特に寒さに弱い種類もあるので注意しましょう。また湿度や水やり具合など、環境によって書籍に書いてある温度を下回っても大丈夫なときもあればダメになってしまうこともあります。またかならずしも冬型が寒さに強く耐寒温度が低いというわけではないので注意が必要です。

最低越冬温度とは?

まず最低越冬温度とは、その多肉植物が冬越しに耐えられる一番低い温度のことです。最低越冬温度を保てば概ね枯らさずに冬越しすることができます。

多肉植物の多くは日本より暖かい地域が原産なので、日本の草花より耐寒性が弱いです。そのため越冬温度は0℃以上のものがほとんどです。ざっくりいうと、ほとんどは0℃以下で枯れてしまうか、枯れるまでいかなくても溶ける、葉が落ちるなど強いダメージを受けてしまいます。

実は一般にいわれている耐寒温度は本によって異なり△△属は〇〇℃まで、と決まっているわけではありません。本によって温度が異なります。しかし全体的に寒さに弱いグループ、中程度のグループ、強いグループがあるので目安にすることができます。

冬でも戸外で大丈夫と書いてあるものは0℃に耐えられるぐらいで、冬はフレームや温室、室内への取り込みが必要と書いてあるものは3℃~5℃を保つようにしましょう。

追記
後に実際に栽培して分かった耐寒温度も載せています。

属ごとの耐寒性(最低越冬温度)

耐寒性が強いグループ(マイナス~0℃)

  • センペルビウム -5℃
  • オロスタキス -5℃
  • ロスラリア -5℃
耐寒性が中くらいの属(0℃~3℃)

  • エケベリア 0~3℃
  • グラプトペタルム 0~3℃
  • セダムの一部 0~3℃
  • コチレドン 0~3℃
  • アドロミスクス 0~3℃
  • リトープス 0~3℃
  • ブラウンシア 0℃
  • オスクラリア 0℃
  • プレイオスピロス 0℃
  • オトンナ 0℃
  • クラッスラ 0~5℃
  • ダドレア 0~3℃
  • ハオルシアの一部 0℃
  • アガベの一部 0℃
  • サボテン科の一部 0℃
耐寒性が弱い属(3℃~5℃)

  • カランコエ 5℃
  • セロペキア 5℃
  • アロエ 3~5℃
  • ガステリア 5℃
  • アエオニウム 5℃
  • ポーチュラカリア 5℃
  • アナカンプセロス 5℃
  • ハオルシアの一部 5℃
  • セネシオ 3~5℃
  • パキフィツム 3~5℃
  • コノフィツム 3℃
  • アガベの一部 3℃
  • フェネストラリア 5℃
  • フォーカリア 5℃
  • チランジア(エアプランツ)の一部 5℃
  • サボテン科の一部 3℃
耐寒性がとても弱い属(5℃以上)

  • スタペリア 8℃
  • フェルニア 5℃
  • サボテン科の一部 5℃
  • ユーフォルビア 5℃
  • パキポディウム 5℃
  • オトンナ(コーデックス) 5℃
  • ペラルゴニウム 5℃
  • チレコドン 5℃
  • アデニウム 8℃
  • チランジア(エアプランツ)の一部 6~10℃

育ててみてダメージがなかった最低気温の実測値

次に実際に戸外で冬越しをしてみて大丈夫だった温度を調べてみました。観測は福岡市で簡易ビニール温室に入れた環境です。USB式温度ロガー(一定の時間ごとに自動で温度を測り記録する装置)でチェックして、実際の多肉植物の様子を観察しました。

2℃が5時間続き問題なく耐えられたグループ

  • センペルビウム
  • オロスタキス(子持ち蓮華・富士など)
  • セネシオ(銀月、グリーンネックレスなど)
  • パキフィツム(月美人、桃美人など)
  • オトンナ(ルビーネックレス)
  • ダドレア(仙女盃)
  • クラッスラ(火祭り、ブロウメアナ、星の王子など星系、リトルミッシーなど)
  • エケベリア(ラウイ、青い渚、プリラータなど)
  • コチレドン(福娘、熊童子など)
  • プレクトランサス(アロマティカス)
  • アエオニウム(黒法師、夕映えなど)
  • セダム(虹の玉など)
  • アドロミスクス(クーペリー、フィリカウリス、緑の卵など)

寒さに弱いといわれているセネシオやパキフィツム、アエオニウムなども問題ありませんでした。グラプトペタルムやエケベリアなどの葉挿しも大丈夫でした。

2℃が5時間続き葉にシワがよったりふにゃふにゃしたグループ

  • グラプトペタルムやグラプトセダム・グラプトベリア(朧月、秋麗、薄氷、白牡丹など)
  • セダム(天使の滴)

2日後に下葉がふにゃふにゃしたり、シワがよったりしました。そして2週間程度でシワがひどくなり下葉が落ちたりチリチリに枯れましたが、上の方の葉は問題ありませんでした。グラプトペタルムの朧月などは強健種で寒さにも強く、雨ざらしにされていることも多いですが意外な結果となりました。

2℃が5時間続き一部が溶けたり枯れたりしたグループ

  • リトープス(苗の20%程度が数日後溶けて枯れた)

体内の水分量による違い
溶けた20%のリトープスというのは、花屋さんで毎日水やりされていた過湿の鉢のものでした。適度に水やりを減らしていたリトープスは無事でした。

明らかに弱いとされていて外に出さなかったグループ

  • カランコエ(ウサギの耳(月兎耳系)、胡蝶の舞錦など)
  • セロペキア(ハートカズラ)
  • ポーチュラカリア(雅楽の舞、銀杏木など)

カランコエは寒さに弱く、5℃以下で成長が止まったり花が咲かなくなったりします。そのため5℃以下になる日は室内に取り込みました

気温3℃を10時間、4℃を20時間なども大丈夫、しかし1℃は未検証、0℃の日は全種類を取り込んでしまうのでやはり未検証です。

この結果、5℃以下になる場合はカランコエやセロペキア、ポーチュラカリアを取り込み、3℃以下になる日はリトープスを取り込む、1℃以下になると予想される日は全部取り込むことにしました。

天気予報は完全ではありません。最低温度1℃の予想でも、予想以上に冷え込みマイナス1℃になってしまうこともあります。そのため安全をみて2℃以下になる日はすべて取り込んだ方が良いのではないかとの結論に至りました。

寒さに弱い多肉植物について
【2022/12/17記】以前はカランコエ、ポーチュラカリア、セロペギアなど耐寒温度が5℃とされている種類は5℃以下になるとすぐ室内に入れていました。しかし寄せ植えなどで他の多肉植物と混ざり、戸外に取り残される苗が複数出ていました。

そこで月兎耳などのウサギ系、胡蝶の舞、雅楽の舞なども2℃までなら全然問題なく耐えることが分かりました。

そのためこの3つの属に関して1℃か2℃では、あまり神経質にならないでも大丈夫そうです。

ただ、近所にある胡蝶の舞、子宝草が0℃~-1℃でとろけているのを見たため、過信は禁物です。凍らせると本当に溶けるように枯れます。。

また、胡蝶の舞や月兎耳などは、5℃以下の温度にさらすと葉の色が銅色のようになります。きれいに保ちたい場合は、室内に入れたほうがよいと思います。

育て方や環境によって耐寒性は強く・弱くなる

実は耐寒性は育て方や環境によってかわります。水やりが多く植物体内に水分が多い状態だと、凍る危険があがり耐寒性が下がります。水やりを1ヶ月以上していないなど、土の中もカラカラで葉にしわがよっている場合は、凍りにくくなり耐寒性が上がります

また湿度が高い日は露点温度が上がり凍りやすく、湿度が低い日はその逆になります。昼間暖かく夜急に冷え込みが強くなった日などは特に気をつけましょう。

地域ごとの置き場所と一般的な寒さ対策の方法

一般的な寒さ対策については以下のページに記載しています。
多肉植物の冬越し方法(寒さ対策)

以下のページでは暖地~関西、関東~寒冷地、北海道での冬の月ごとの気温と、多肉植物を冬越しさせるためにはどこに置けばよいのかを解説しています。

寒冷地(宮城)での置き場
関東(東京)での置き場
暖地(福岡)での置き場
関西(大阪)での置き場
北海道での置き場所

地植えでの耐寒性実験

【2022/12/17記】この記事を書いてから丸二年近くが経ちます。

今年は多肉植物の地植えの実験をしており、一部の多肉植物を雨ざらしで外の気温で育てています。この実験では寒さに対する耐性と雨ざらしに対する耐性の実験を兼ねています。

多肉植物の雨ざらしの実験

種類は寒さに弱い種類も含み、カランコエの福兎耳、アエオニウム「夕映え」、アドロミスクス「子宝」、ポーチュラカリア「雅楽の舞」、プレクトランサス「アロマティカス」、そして寒さに特に弱いコーデックスのアデニウム「砂漠のバラ」、パキポディウム「エブレネウム」も含めています。

その他比較的寒さに強いセネシオのネックレス系、柱サボテン「セレウス」、ウチワサボテン「オプンティア」、エケベリア「ルンヨニー」、グラプトペタルム「朧月」・「秋麗」・「桜牡丹」なども地植えにしています。

2022/12/3には最低気温が1℃になり、鉢植えの多肉植物は全て室内に取り込みましたが、地植えのものはそのまま外で過ごしました。結果、枯れたものは一つもありませんでした!

今まで、0℃近くになったら葉が傷むと思っていたので、これは意外な結果でした。1~2℃になった時間が短い(一晩のみ)のせいかもしれませんが、案外多肉植物は寒さに強いのかもしれません。

またアデニウムやパキポディウムが溶けなかったのは不思議ですが、5cm未満の種まき苗(小苗)だったせいもあるかもしれません。(数年かけて育てた貴重な成株は危険なので、まねしないようにお願いします)

また今晩から数日1℃~2℃の日が続きます。雪も降る予報です。もしこれで地植えの多肉植物が溶けないようであれば、鉢植えにしている多肉植物も戸外に置くかもしれません。

いずれにしてもまた数日後にレポートしたいと思います。

また、栽培地での実測温度と天気の履歴を以下のページに載せていますので、適宜お住まいの地域に読み替えていただければと思います。

管理人の栽培地点での最高・最低気温の実測値を公開(参考情報)
日本は縦横に長いため気候が一つではなく、寒冷地、関東、暖地、または東日本、西日本などに分かれています。それにより多肉植物...

2022/12/18記
気温は予報通りとなり、1時間ごとの気温で1℃台が3時間続いたようです。現在も2℃が続いています。雪はほとんど降っていないようです。

地植えの多肉植物は、福兎耳も含めて見た目でどろっと溶けた感じは見受けられません。冷害は数日遅れて出てくることが多いので、今後の変化を注視していきたいと思います。

2022/12/24記
その後、12/17の寒波の影響はなく、寒さに弱いとされる福兎耳も何ら変化ありませんでした。

それから数日も経たずに12/22から第2の寒波が到来、かなり強い寒波で、平野部の福岡市でも5cm程度積雪しました。これはかなり珍しいことでした。温度計ではマイナス0.1℃を計測、まさに凍る温度でした。その中に地植えの多肉植物も植えていました。雪が完全にかぶっていました。

多肉植物をこのまま雪の中に放置して実験を続けるか、一度掘り起こして助け上げるか迷いました。結果0~1℃が12時間程度続いた時点で掘り起こしを決意、地植えにしていた多肉植物を全部掘り起こして室内に入れてしまいました。

実験にならなくて申し訳ないです。。

そのためこの時点での多肉植物の状況を記載します。まず耐寒温度8℃以上とされるアデニウム、パキポディウムの小苗、5℃とされるカランコエなどは一切溶けていませんでした。一番影響があったのはアロマティカスで葉に傷みが出ました。→【追記】結局は3週間程度でアデニウムは溶け腐り、パキポディウムの小苗も溶けて枯れてしまいました。やはりアデニウムやパキポディウムは最低5℃は保った方がよさそうです。

アエオニウム、エケベリア、グラプトペタルムなどロゼットの中に完全に雪が入り、水滴が凍っていましたが、一切溶けていませんでした。しかしグラプトペタルムのみ下葉が少しシナシナっとなりました。

案外多肉植物は寒さに強いようです。今回は半日の実験となってしまいましたが、これが何日も続けばどうなるかは分かりません。また数日経って影響が出てくることもあります。次は26日辺りに結果をレポートしたいと思います。

2022/12/27記
その後アロマティカスがかなり傷み、パキポディウムの小苗も少ししぼみましたが、その他の種類は枯れることはありませんでした。しかし雪が被っていたグラプトペタルム系(秋麗など)はかなり葉がしわしわになり柔らかくなってしまいました。

また12/27の0:00~8:00まで1.5℃程度の1℃台が8時間続きました。簡易ビニール温室内の多肉植物を戸外に出しっぱなしにしていましたが、溶けたものはありませんでした。(カランコエやアデニウムの成株、ポーチュラカリア、ユーフォルビア、アストロフィツムなどの寒さに弱い種類は室内のままです)

クラッスラやアエオニウム、アドロミスクス、コチレドン、など3~5℃とされる種類も、1℃台でも8時間程度なのであれば、問題ないようです。(もちろんエケベリアやグラプトペタルム、リトープス、メセン実生なども無事でした)