多肉植物をヒョロヒョロとひょろ長く徒長させないためにはどうしたらよいのか?伸びすぎる原因と対策方法を解説します。
多肉植物が徒長する原因
徒長とは、植物がヒョロヒョロと茎を無駄に伸ばしてしまう状態のことをいいます。徒長した多肉植物は葉と葉の間隔が広くなり、茎は細く長く伸びます。よく見ると葉の付き方も変わっており、葉が反り返ってしまっています。
多肉植物が徒長する原因は様々あります。
特に多いのが1番から4番目までの原因です。対策方法はそれぞれの原因を解消することしかありません。しかしどの原因が一番強いかは、種類や環境によりますので、まずは原因を見分けることが大切です。
圧倒的に日光不足
一番多い原因が日光不足です。
簡易ビニール温室の奥の方に置いてある鉢、大きな鉢の影になっている小さな鉢、室内で育てている鉢、他の建物の陰になってしまっているベランダなどでは、日光不足から多肉植物が徒長します。
この日光不足の解消は環境によるもので、解決がなかなか困難です。スペースがなければ簡易ビニール温室にぎゅうぎゅうに詰めなければなりませんし、限りあるベランダでは壁が邪魔になって暗くなることもあります。
種類によりますが、多肉植物は最低一日4時間程度直射日光が当たる所でないと健康に育てられないとされています。暗い所しか置き場所がない場合、徒長を防ぐことは難しいです。
ただそのような場合、植物育成LEDライトなどの光を補う設備があれば、室内など太陽光が不足するところでも育てることができます。
通風不足
通風不足でも徒長は起こります。
無風状態の室内で育てていると特に起こりやすく、植物育成LEDライトで光を補っていても徒長することがあります。その場合は扇風機、サーキュレーターなどで空気を人工的に送ってやると効果的です。
また戸外では通風不足はほとんど問題になりませんが、夏に遮光ネットを張っている場合やビニール温室の側面にビニールが貼ってある場合などは、通風不足になる可能性もあります。
高温
意外と原因になるのが近年の夏の高温です。
夏に日光も充分で風通しも抜群なのにヒョロヒョロと伸びてきてしまうことがあります。そうであれば高温(温度の高すぎ)を疑いましょう。どのぐらいの温度で徒長するかは種類にもよりますが、例えばセダムやグラプトペタルム属など徒長しやすい種類は、日陰でも32℃以上ある場合、徒長が起こる可能性が高くなります。
温度が高すぎで徒長している場合、無理に直射日光に当てても、葉が焦げるだけでほとんど無意味です。その場合は可能なら室内の冷房の効いたところに昼のみ退避させるという方法しか、対策方法はありません。
冷暖房付きの温室を持っていれば、もちろんこのような現象は起きませんが、そのような環境を用意できるのは農家さんや栽培家だけというのが実情です。(もちろん管理人も持ってないです)
そのため高温で伸びる場合は、秋にカットして挿し木で仕立て直すくらいに考えるのが現実的です。
水のやり過ぎ
水のやり過ぎも伸びすぎの原因となります。
しっかり日に当てて通風も心がけていれば、若干水やりをしすぎても徒長しない場合が多いですが、日光不足の環境で水やりをしすぎるとたちまち徒長してしまいます。
(あくまで管理人の実験の結果ですが)日光が足りていると与えた分の水は生長に使われ、日光不足だと無駄に伸びるほうに使われるようです。そのため日光不足環境では水やり量はストイックに制限した方が安全です。
もちろん日光が足りている環境でも、不必要に水をやると根腐れなどの別の害が出てくるので、生育期は1週間に1回など、メリハリをもった水やりが大切です。
窒素肥料のやり過ぎ
窒素肥料のやり過ぎも原因になることがあります。
肥料にはチッソ・リン酸・カリの3種類がありますが、窒素肥料は植物の成長に一番重要で、また与えすぎでの被害も大きくなる成分です。
チッソは重要な成分のため、ほとんどどの肥料にも入っています。そのため肥料を与えれば自動的にチッソ分も与えていると考えてください。しかし、あくまでやりすぎた場合に弊害が起こるだけで、適量なら問題ありません。
徒長が起こる前のサインと防ぐコツ
徒長は何より防ぐことが大切です。
夏の暑さでのっぺり徒長気味のエケベリア
というのは一度徒長してしまった部分は縮めること(治すこと)ができないためです。
それではどのような現象が徒長の始まるサインなのでしょうか?
- ロゼットの中心が緑色になる
- 葉が下を向いてくる
- 株が開いてくる
徒長前のサイン
分かりやすいのが、ロゼットの中心(上から見て株の真ん中部分)の紅葉が冷めて緑色が濃くなってきた場合です。赤や黒、茶色などに染まっていたのに真ん中から周囲に向かって緑色になってきたら、徒長が起こる前段階のサインですので、日に当てる、水やり間隔を遠くするなど対処しましょう。
次が葉が下を向いてきた場合です。葉が下を向くのは日光が足りない一番のサインです。すみやかに明るい所に移動させて葉が上を向くようにしましょう。
株が開いて広がってくるのも徒長の起こる前段階の症状です。通常日光が足りていると葉は内側に向かって硬く締まっているのですが、光が不足すると徐々に反り返るように開いてきます。このような症状が出たら、明るい場所に移動させましょう。
徒長してしまったら
万一徒長してしまったら、どうしたらよいでしょうか?
先の説明の通り、徒長した部分は戻すことができません。そのため思い切って茎を切り取り、穂先の部分を挿し木にして新たに育て始めましょう。
徒長した部分は戻りませんが、これから伸びる茎は環境が改善していれば、葉と葉の間隔も狭まりぎゅっと締まった株になります。挿し木の方法は以下のページで解説しています。
仕立て直しの時期
どのような時期に挿し木をしたらよいかですが、冬に室内に退避していて徒長してしまった場合は、春3~4月頃に挿し木を開始しましょう。この時期は気温がちょうど良く、冬型も春秋型もよく根を伸ばします。5~6月には苗として根をしっかり張っているでしょう。
また夏の場合に暑さなどで徒長してしまった場合は、9~10月頃~種類により11月初めまでに挿し木をしましょう。この時期なら春秋型・夏型が挿し木の適期ですし、少し遅い11月は冬型も挿し木の適切な時期です。
春秋型・夏型は挿し木が冬にずれ込むと根が伸びづらいので、10月までに挿し木を開始させておきましょう。