アマゾンで販売されている「Hyindoor 10″x20.75″ ヒートマット 園芸発芽マット 育苗マット」を購入し、実際に使ってみて温度の上がり方はどうか、使いやすいか、メリット・デメリットについて解説しています。※こちらはサーモスタットなしの記事になります。サーモスタット付きはこちらのページで解説しています。
目次
基本スペック(機能)は?
Hyindoor 10″x20.75″ ヒートマット 園芸発芽マット 育苗マット | |
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実際の写真 | |
室温14~16℃でのマットの温度の変化のグラフ | |
実勢価格 ※2 | 53×25.4cm:2,420円程度 |
製品 | 2枚セット:4,380円程度 |
スペック(機能) | |
温度上昇(メーカースペック)※1 | 室温+10℃~15℃ |
実測の上昇温度 | 室温平均14.3℃で+平均9.6℃ |
実測消費電力 | 18W |
電源 | AC100~110V(50Hz)用 ※6 |
電気代 | 月389円(24時間稼働の場合) |
電源ON/OFFスイッチ | なし |
サーモスタット機能 | なし |
タイマー機能 | なし |
コードの長さ | 1.8m |
使いやすさ | マットとコードが使いづらい |
静音性 | 静か |
総合評価 | ★★ 2.5点 |
詳細 | 比較ページへ Amazon |
※1 室温により上昇幅が変わります。
※2 実勢価格は変動します。
※6 実際には60Hz地域でも問題なく使用可能です。
購入レビュー
パッケージは米国版のようで英語ですが、電圧・周波数は日本に対応しています。
箱はサーモスタット付きと同じでサイズも同じ、くるっと丸めて収まっていました。
しっかり加熱しましたが、マットのでこぼこは解消しませんでした。
多肉植物の発芽を想定して実験環境をセッティングします。
このような環境で、完全に湿った土の入ったポットを3つ入れ300mlの水を腰水とし、蓋をして加熱します。
右の温度計でヒーターマットの表面温度を測り、左の白い温度計で水温を15分おきに自動計測します。(結果については下のほうで詳しく記載します。)
※※実験中※※
機能・感想を詳しく解説
保温機能
実測の上昇温度 | |
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室温約10℃ | +10℃(20℃程度になる) |
室温約15℃ | +9℃(24℃程度になる) |
室温約20℃ | 計測待ち※5 |
※5 暖かい季節が来てからの計測となります。
今回は他のマットの調査時より室温が高めで、マットの温度もそれに従い高めに出ました。
およそ室温10℃でマット水温度20℃、15℃で25℃、17℃で26℃程度でした。このまま室温が上がれば、室温20℃でマット水温度30℃、25℃で35℃程度までいけそうです。
使いやすさ
全体的に使いづらいです。
まずマット本体が硬く波打っており、加熱してもでこぼこが強く平らになりません。またコードが硬くて延ばしにくいです。今回は割と重い腰水容器の鉢を使ったのでなんとか乗りましたが、軽い鉢だと鉢底がうまくマットに乗らずガタガタしてしまいます。
72時間温め続けましたが、これ以上柔らかくなりませんでした。
それと電源コードがもう少し細く、やわらかくて伸ばしやすいと良かったと思いました。
防水性
防水性はないようです。
防水性についての言及はなく、水に入れないでくださいという注意書きがあるので、水濡れに注意が必要です。ただ少し水滴がこぼれるくらいならすぐに拭けば大丈夫だと思います。
鉢を置いて上から水やりすると、勢いよく鉢底から水が流れ出るので、水やりは別の場所で行ったほうがよいと思います。
消費電力と電気代
実測の消費電力は18Wです。
実測消費電力 | 18W |
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1時間 | 0.54円 |
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24時間 | 13.0円 |
30日間 | 389円 |
※3 1kWh 30円で試算しています。
消費電力が18Wなので、付けっぱなしで1ヶ月(30日間)だと389円です。
保温効果の検証実験
テストの方法
今回は写真のように腰水管理(底面吸水)の実生(種まき)を想定して実験しました。
ペットボトルを加工したものを腰水容器とし、プレステラ90鉢を3個並べ土を入れ、充分に水分を吸わせます。その後15℃程度の水温の水を300ml足して蓋を閉じます。
後は水中を測れる温度計の検針を腰水に挿し込んで水温を計測します。
実験は朝10:00から開始し、3日間(72時間)朝~昼~夜の温度変化を15分おきに計測します。
このテストはほとんど暖房を入れていない部屋で行っています。日によって気温が変動するため室温も一定ではありません。そのため、室温も同時に観測して室温との差を測ります。(こちらも15分おき)
テスト結果
2023/1/8の10:00から2023/1/11の9:30までの72時間に計測しました。
その結果、室温が10~17℃だったので、加温効果はプラス9~10℃程度でした。マットの水温は20~26℃程度を維持したことになります。
サーモスタット機能はないため温度調節はありません。いつも同出力で加熱するので加温温度は室温に比例します。
グラフが細かいので、パソコンなど画面の大きいデバイスで拡大してご覧ください。
これがマットに乗せた自作育苗箱内の水温の生のデータです。(USBロガー温度計「RC-4」)
RC-4ロガーで出力された育苗マットの温度のグラフです。20℃~26℃を行ったり来たりしているのが分かります。これは室温が昼夜で上下するためです。
室温とマットの温度をExcelグラフに落とし込んだものです。10℃の時は20℃、15℃の時は25℃程度になっているのが分かります。
最後が室温とマットの温度の差です。室温が10~15℃のため、+9~11℃辺りで安定しているのが分かります。
また、今回使った腰水の水温は開始時11.3℃程度でしたが、水温が20℃になるのにマットに乗せた後2時間程度かかっていました。
他の園芸ヒーターマットとの比較
現在Hyindoorサーモスタットあり、MARUNDA製、Namotek製のマットと比較を行っています。
サーモなしのマットとの比較
その結果他のサーモスタットなしバージョン(MARUNDA製、Namotek製)と比較して、このマットは平均加温効果が9.6℃でMARUNDA製の8.7℃、Namotek製の9.2℃とほとんど同じということが分かりました。
温度調節機能のない3社のマットは、およそ室温にプラス10℃と10℃の室温を20℃に上げることができることが分かりました。そのため、加熱効果ではどれを選んでも大差ないといえると思います。
同社サーモありとの比較
またHyindoor製ではサーモスタット機能付きの商品もありますが、そちらは消費電力も30Wと高く加温効果も強く室温プラス15℃に上げることが可能です。
強い加熱効果が必要な場合や、温度を一定に保ちたい場合はサーモありのほうが選択肢になると思います。
製品 | 測定時平均室温 | 平均水温 | 平均加温温度 |
---|---|---|---|
Namotek製 | 12.8℃ | 22.0℃ | 9.2℃ |
MARUNDA製 | 13.0℃ | 21.7℃ | 8.7℃ |
Hyindoor製サーモなし | 14.3℃ | 23.9℃ | 9.6℃ |
Hyindoor製サーモあり レベル1(20℃) |
14.0℃ | 23.5℃ | 9.5℃ |
Hyindoor製サーモあり レベル2(25℃) |
13.1℃ | 25.3℃ | 12.4℃ |
Hyindoor製サーモあり レベル3(30℃) |
13.2℃ | 28.6℃ | 15.4℃ |
良くある質問と答え
西日本(60Hz地域)で使えるか?
正確な仕様的には50Hzのみの対応で、西日本では使うことができません。しかし実用的には使うことが可能で、管理人も実際に使えています。一般的にモーターを使う家電はヘルツ帯が異なると使えませんが、電気を熱に変える家電では多少消費電力が変わりますが、安全に使うことができます。
温度の調節機能はあるか?
消費電力18W固定での加温となるため、温度調節機能はありません。
防水性はあるのか?
防水性についての言及はなく、不明です。見た目ではシートは密閉されており大丈夫な感じがしますが、水に入れないでくださいと書いてあるので、水こぼしはしないほうが安全です。
連続使用は可能か?
連続使用できます。電源のオンオフスイッチはなく、コードを挿したら抜くまで加温を続けます。
マットが温かくない、壊れているのか?
メーカースペックで室温プラス10~15℃です。これは実際に測ってみて15℃の室温で25℃程度になるので、温かい手で触ると熱を感じにくいです。
パッケージから海外用に見えるが、コンセント(電源)は日本で使えるか?
この商品はAC100V、50Hzなので日本で使うことができます。60Hzには適用がないですが、実際には使うことができます。
多肉植物への使い方例
実生(種まき)・発芽
育苗マットともいわれるように、植物一般のタネの発芽用、また多肉植物の実生(種まき)用の用途が考えられます。
マットを敷いて加熱することで、室温プラス10℃~20℃の効果が得られるため、土や腰水の温度が上がり、暖かくないと発芽しづらい種子の発芽を促進することができます。
多肉植物の用途では春先や晩秋のサボテンやコーデックスの実生(種まき)に使うことができます。その場合腰水容器を直接ヒーターマットの上に乗せて加温します。
IP67の防水性があり、水がこぼれても故障などの問題は心配ありません。
発根管理
コーデックスの現地球は輸入時に根を切り落とされます。そのため日本で発根させる発根管理が行われます。その際、地温が低いと発根しづらい種類があり、そのような種類の鉢をヒーターマットの上に置いて土と鉢を温めるのに使うことができます。
寒さ対策
冬は寒冷地を中心に気温がマイナスに達し、室内でも窓際などは非常に寒くなります。多肉植物は寒さに弱いものが多いので、そのような場合に鉢の下に育苗マットを敷くことで、鉢を温め多肉植物を寒さから守ることができます。
メリットデメリットのまとめ
メリット
- 実測で室温10~17℃でプラス9~11℃の加温ができる
- 他のサーモなしマットより消費電力が少なく、10%ほど電気代を節約できる
- 保温力は時間的にムラが少ない(およそ+10℃してくれる)
デメリット
- 温度調節機能はないため、昼夜でマット温度が上下する
- 室温10℃ではマットを20℃程度に上げる程度で、強い加熱はできない
- マットがでこぼこしているので鉢を乗せづらい
- 仕様的には西日本のヘルツ帯(60Hz)に対応していない
総合評価
全体的に加温効果はメーカースペックの通りあり、室温に比例して加温する効果があります。室温10℃でも鉢(今回は水)の温度を20℃まで加熱することができるため、とても温かい訳ではありませんが、寒さ対策に一定の効果があります。
- 春の早い時期や秋の遅い時期などに多肉植物やサボテンの種まきをしたい場合
- コーデックスの発根管理を行いたい場合
- 冬の室内での寒さ対策を行いたい場合
などに役立つと思いました。
一定温度を保ちたい場合は、サーモスタット付きを使う必要がありますが、それほど温度変化が気にならない場合は、こちらのようなサーモスタットなしのマットのほうが安いです。
ただこちらのマットは厚みがあり硬くでこぼこしており、実用的に使いづらいので、正直な所、同じ保温力を求めるなら他の製品のほうがよいと思います。
追記(使用後レビュー)
2023年は10年に一度の大寒波といわれた強力な寒さが到来しました。管理人の地域福岡市でも、連日マイナスを記録するなど、厳しい寒さが数日続きました。その時役に立ったのが、このヒーターマットでした。
昨年タネを蒔いたアデニウムとパキポディウムの実生苗が1カゴ分ありましたが、室内は最低で6℃台になるなど室内に入れるだけでは対策不十分でした。
そこでこのマットを敷いて電源を入れた所、苗の株元付近の温度が4℃程度上がりました。もう少し上げたいと思ってプチプチシートをかけたところ、8℃程度上げることができました。結果的に14℃程度に上げることができ、とても助かりました。
Hyindoorのこのマットは、でこぼこしていて当初あまり好きではなかったのですが、しっかり温度を上げるという役割を果たしてくれて、よかったと思いました。