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多肉植物が根腐れする場合の農薬・対処方法と予防

※このページでは、多肉植物に使える農薬について記述していますが、適用外の作物への殺菌剤の使用を推奨する意図はありません。あらかじめご了承ください。(多肉植物に使う場合、観葉植物への適用がない農薬を使うと農薬取締法に抵触してしまうため、自己責任での利用となります)

多肉植物が根腐れする場合の対処方法、そして予防方法について解説しています。

根腐れとは

根腐れ

根腐れして下葉が落ちているグリーンネックレス

ラウイが腐る

根腐れの腐敗が茎にまで広がったエケベリア「ラウイ」

根腐れとは、土壌中に存在する糸状菌(カビ)が根から植物体内に入って起こる病気です。根腐れを起こす菌はいくつか知られていますが、多肉植物・サボテンの成株では主にフザリウム菌によるものとされています。

根腐れを起こすと多肉植物の維管束(水の通り道)が赤褐色に変化して機能しなくなり、次第に根から茎と被害が広がっていきます。放置すると枯れることがあります。このとき茎が赤褐色に変化していることから赤腐れ病と呼ぶこともあります。

※根腐れの全てがフザリウム菌によるわけではなく、幼苗ではフザリウム菌以外にピシウム菌、リゾクトニア菌などが原因となることもあります。

発症すると急激に症状が進む場合と、ゆっくり進む場合があります。

なんとなく元気がなくなり水をやってもしおれが治らない、というレベルから茎まで菌が及び、株ごと腐るレベルまであります。特に多肉植物はしおれにくい植物なので、初期に被害を発見できず、進行した状態で発見する場合もあります。

原因は菌の侵入ですが、背景には休眠期に水を与えるなど水のやり過ぎ(過湿)、室内などで育て通風不足である、日に当てずに軟弱な株だった場合などによく起こります。

そのため根腐れを起こしにくい環境で育てることが大切です。

なお似ている病気として「軟腐病」がありますが、軟腐病は強い悪臭を放つ点が根腐れと異なります。

なりやすい種類と時期

特に根腐れになりやすいグループというのはありません。エケベリア、ハオルチア、コーデックス、サボテン、メセンなど幅広い種類が根腐れを起こします

また罹りやすい時期は、25~30℃の高温多湿時で、5~10月頃が多いです。

根腐れの対処方法

グリーンネックレスの挿し木(挿し芽)

グリーンネックレスの挿し木

根腐れの対処方法は、根腐れのレベルによります。

初期にみつけた場合

初期に発見できた場合は、まず腐っている根を完全に切り落とします。ハサミで少しずつ切っていき、断面が赤~茶色い所は根腐れしているので切り捨てます。完全に白くなるまで切ります。

根を切ったら断面からまた細菌が入ってしまわないよう、数日陰干しします。断面が完全に乾いて傷口がふさがったら清潔な用土に植えて数日後から水やりをします。

場合によってはほとんど根が無くなってしまうこともあります。それでも腐った根の所には病原菌が残りそのままにしておくと、どんどん上の方まで広がるので、惜しまず切り捨てます。多肉植物は挿し木という方法で増やすことができるので、挿し木をしてみます。

挿し木では根と同じく3~4日断面を良く乾かし、傷口がふさがったら乾いた清潔な用土に挿して、種類によりますが1週間後程度から水やりを始めます。

酷くなってしまった場合

ひどくなってしまった場合、根腐れが根だけではなく、茎まで広がってしまった場合もあります。その場合は茎ももちろん切除しなければなりません。多肉植物の先端の茎がまだ無事であれば、そこだけ切り取り取り敢えず挿し木をしてみます。

しかし経験上、一度酷い根腐れをしてしまった株は、たとえ先端が健康に見えても菌が回っており、ゆくゆく枯れてしまうケースが多いです。

グリーンネックレスを例にしてみると、まだ根が腐っただけのように見えても、先端の葉まで濁りが見られ、挿し木をしても結局は枯れてしまいます。

エケベリアも同じで、ある程度酷くなると体全体に菌が入ってしまっているのか、無事にみえる葉を葉挿ししてもやがて枯れてしまいます。

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効果がある農薬はあるのか?

根腐れは主にフザリウム菌が体に侵入して起こるものなので、病気に対応できる農薬(殺菌剤)が効きます。

具体的にはフザリウム菌による立ち枯れ病にはベンレート水和剤が効果的です。

ベンレート水和剤はベノミルを有効成分とする予防・治療効果のある殺菌剤で、種子の消毒・土壌消毒・葉面への散布が有効です。

ベンレートはフザリウム菌以外の広い範囲のかび菌(糸状菌)に効果があり、うどんこ病や灰色かび病などの予防・治療効果があります。

ただ、経験上一度根腐れを起こし始めた苗を農薬で治すのは難しいです。

GFベンレート水和剤 <ベンレート水和剤>
ベンレート水和剤はベノミルを主成分とした殺菌剤で、カビ病の広範囲な種類に予防効果と治療効果があります。たとえばうどんこ病、黒星病、ごま色斑点病、白さび病、立枯病(フザリウム菌)、灰星病などカビ病に広く適用があります。残念ながら観葉植物への適用はなく自己責任での利用となります。水で薄めてスプレーで散布します。
詳細情報
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フザリウム菌以外の対処方法については、以下のページが詳しいです。
根腐れ
出典:https://agripick.com(根腐病の原因と対策 防除方法と使用薬剤(農薬))

殺菌剤を使う時の注意点

注意点

スプレー剤でも、薄めて使うタイプのものでも、本体ラベルに使う上での注意点が書いてあるので、しっかり確認するようにします。

一般的に

  • 体調の優れない時は薬剤散布を行わない
  • 雨が降りそうなときや風が強い時は避ける
  • 夏の高温時は薬害防止のため、夕方など涼しい時間帯に散布する
  • 作業後は手足や顔を石鹸で良く洗いうがいをする
  • 子供やペットに触れないようにしする
  • マンションなど集合住宅では隣、上下に飛ばないように注意する
  • 洗濯物にかかったり室内に吹き込んだりしないようにする

などの注意が必要です。

また殺菌剤の種類によって

  • 希釈するタイプは倍率を守る
  • 液が残ったら排水には流さず土に穴を掘ってその中に流し込む
  • エアゾール剤では多肉植物に近づけすぎないようにする

などの注意点を守りましょう。

※エアゾール剤とは、ボタンを押すとシューと自動で出てくるもの

根腐れの予防方法

観察 病害虫

根腐れは予防がとても大切です。また万一根腐れになってしまっても初期に発見できれば、助かる可能性もあるのでこまめな観察をして早期に発見することもとても大切です。

水はけのよい土に植える

多肉植物は水はけのよい土に植えましょう。

上から水をやったらしばらくしてざーっと鉢底から水が抜ける土が適切です。このとき鉢内の古い空気が押し出され、鉢内に酸素が行き渡り、根の窒息を防ぎます。そのためには多肉植物用の土を使うことや、自分でブレンドする場合は軽石やパーライトなど水はけのよい素材を適度に混ぜることが必要です。

休眠期は水やりを控える

根腐れを起こす原因の多くが水やりのしすぎです。

特に多肉植物では生育期と休眠期がはっきり分かれるものが多いですが、休眠期にはほとんど水やりをしないようにしましょう。休眠期は水を必要としないので、鉢の中に与えた水が溜まり続け、結果根が窒息して腐ってしまいます。

暑い時期は水やりを控える

根腐れが起こりやすいのは25~30℃といった暑い時期です。冬は比較的少ないです。夏の暑い時期に水やりを多くするとフザリウム菌の繁殖を起こすので、控えめに行います。

未熟な土や有機肥料を使わない

未熟な有機肥料は病原菌を繁殖させるので使わないようにします。また未熟な腐葉土も病原菌の繁殖の原因になるので、完熟のものかピートモスを使うようにします。

病害虫対策
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