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さび病の多肉植物への農薬と予防・治療方法

※このページでは、多肉植物に使える農薬について記述していますが、適用外の作物への殺菌剤の使用を推奨する意図はありません。あらかじめご了承ください。(多肉植物に使う場合、観葉植物への適用がない農薬を使うと農薬取締法に抵触してしまうため、自己責任での利用となります)

多肉植物がさび病になってしまった場合の治療に効果的な農薬(殺菌剤)や予防できる農薬、そしてならないための予防方法などについて解説しています。

さび病とは

さび病

出典:趣味の園芸

さび病はカビ(糸状菌)が原因で起こる植物の病気の一つで、感染すると葉に茶色い小さな斑点がたくさんつきます。

小さな斑点はひどくなると盛り上がるようになり、そのが破れて茶色いカビの胞子が周りに飛散します。多発するとその株は著しく弱り、場合によっては枯れてしまいます。

多肉植物だけでなく、庭木や花木、草花・野菜、果樹など広い範囲の植物が感染します。

さび病の対処方法は酷くなったところの除去と効果のある薬剤の散布です。多肉植物ではさび病に罹りやすい種類があるので、好発期前に薬剤を予防的に散布することが有効です。

なりやすい種類と時期

なりにくい種類となりやすい種類があり、クラッスラ属の一部、サボテンの一部が特に罹りやすいです。

また発生しやすい時期は5~10月で特に初夏(5~6月)に多いです。

サビ病を農薬で治療する前に

農薬

本当は、色々な方法を紹介したかったのですが、経験上、一度病気になってしまった植物は農薬以外の方法では治すことができないことが多いので、農薬使用の前提で書かせて頂きます。

殺菌剤とは

害虫に効果があるタイプを殺虫剤といいますが、病気に効果があるタイプを殺菌剤といいます。

病気にはカビ・細菌・ウイルスの3つの原因がありますが、どれに対応するものも「殺菌剤」と呼ぶことになっています。※正確には、ウイルスやカビは「菌」ではないのですが、「殺菌剤」という名称は慣習的な呼び名と考えてください。

治療と治療困難・抜き取り処分

カビ・細菌が原因で起こる病気はある程度治すことが可能ですが、ウイルスが原因で起こる病気は治療法がなく、抜き取り処分以外ありません。※植物の病気の種類のおよそ8割がカビ(糸状菌)が原因です。

しかしカビが原因で起こる、さび病などの病気も、酷くなってしまったところは農薬も効果がなく、抜き取り処分か部分的に切除する方法しかありません。

管理人の場合、病気は予防がメインで病気に罹りやすいものはあらかじめ農薬を散布しています。また万一発生してしまったら、その株は隔離した上で農薬で治療するか、再発を繰り返す場合は土ごと処分しています。

完全に治ったように見えても病気の痕からカビの胞子が飛び、他に移ることがあるので、一度病気が発生したらその株は簡易ビニール温室内から取り出し隔離しています。また土にもカビの胞子が潜んで繁殖条件が揃うと再発生するため、病気の出た土の使い回しはしないようにします。

病気が酷くなってしまったら、元気な所だけ挿し木で残し、株を処分しますが、挿し木した枝から病気が再発することがあります。その場合残念ですが、挿し木したものも処分するようにしています。

農薬は多肉植物にも使える?

疑問 質問 答え

それでは、多肉植物に殺菌剤を使って良いのでしょうか?

実は農薬はどの植物にどの薬品を使ってもよいのではなく、この作物には何倍で何回使用するなどの適用病害虫と散布方法が定められています。キュウリが載っていればウリ科のもの全般にかけてよいのではなく、記載されている以外の植物には使わないのが決まりとなっています。

それでは多肉植物は適用病害虫の記載があるでしょうか?

残念ながら、多肉植物が適用病害虫に載っている薬はありません。しかし多肉植物は観葉植物の一つでもあります。そのため観葉植物の項目に準じて使えば大丈夫です。

ヒトへの安全性は?

農薬(園芸薬品)は農薬取締法という法律で厳しく規制されており、市販されている農薬は全て国の厳しい基準をクリアしています。

  • 病気・害虫への効果
  • 使用者(人間)
  • 自然環境(土壌や魚類への影響)
  • 作物に対する影響

など様々な試験を行い安全性が確認されたものだけを市販しています。

そのため一般の植物でも多肉植物に使うにしても、書かれている決められた方法で使うのであれば、安全に使うことができます。

しかし農薬は正しく使わないと、人体に深刻な被害をもたらすことがあります。原液を薄めて使うタイプは濃厚な薬剤なので、スプレー剤やペレット剤より濃く眼や皮膚への刺激性が高いです。そのためラベルや中に入っている説明書をよく読むことが大切になります。

説明書には調合時や散布時「保護めがねを付ける、不浸透性手袋をつける、ゴム長靴を履く」などの使い方の注意点や、万一眼に入ってしまった場合の対処方法が書いてあるので読み飛ばさないようにしましょう。

多肉植物への害は?

火祭りの薬害

クラッスラ属「火祭り」の薬害

農薬の種類によっては特定の作物に使用すると奇形など薬害が生じることがあります。その場合、農薬のラベルや説明書に使わないようにする旨が書かれているので必ず確認します。

多肉植物の中には薬害がでやすく、数回かけただけでも葉に奇形を起こしたり薬害が出る場合があります。

管理人の環境ですが、たとえばクラッスラ属の火祭りはベンレートをかけると葉の出方がおかしくなり、新芽に奇形が出てしまう薬害があります。

また金のなる木(花月、黄金花月)などでは、葉が小さくくびれるといった現象を確認しています。そのため初めて農薬を使う場合は、多肉植物の目立たない所に散布して、薬害が出ないか確かめてから使うようにしたほうがよいでしょう

天然成分のものもある

殺菌剤の中には化学薬品でできたものばかりではなく、天然成分(デンプン由来の成分や除虫菊の成分、シイタケ菌由来のもの、油など)でできているものもあります。そのような殺菌剤はより安全性が高く安心して使うことができます。

(例)

  • 還元澱粉糖化物(水あめ)が成分の「ベニカマイルドスプレー」
  • 炭酸水素カリウムが成分の「カリグリーン」
  • 脂肪酸グリセリドが成分の「アーリーセーフ」

など

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効果的な殺菌剤

治療と予防ができるタイプ

このタイプは罹ってしまった後にも効果があるもので、ある程度の治療効果があるタイプです。しかし酷くなった後に散布しても完全には治療できないため、病気の初期に対処するものと考えてください。また病気で変色したり萎縮してしまった部分を治す力はなく、病原菌の退治のみの効果です。

ベニカXスプレー <ベニカXスプレー>
ベニカXスプレーは速効性のある殺虫剤と病気の予防・治療ができる成分を配合したものです。ミクロブタニルという成分にさび病、うどんこ病、黒星病、白さび病などの治療・予防効果があります。またペルメトリンという成分にアブラムシなど害虫への速効性の殺虫効果があります。観葉植物、バラ、菊、庭木、草花など広い範囲に使うことができます。※ベニカXファインスプレーとは成分が異なるので間違えないようご注意ください。
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GFオルトランCスプレー <オルトランスプレー>
GFオルトランC(オルトランスプレー)は害虫と病気に対応する殺虫殺菌剤のひとつで、アセフェート・MEP・トリホリンを含みます。害虫に対しては速効性と持続性があり、病気に対しては予防効果と治療効果があります。この中でトリホリンにさび病への治療・予防効果があり、速効性と持続性があります。さび病以外に、うどんこ病、黒星病、白さび病、フェアリーリング病、葉かび病、灰星病にも効果があります。※ただし観葉植物への適用がないため自己責任での使用になります。
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STサプロール乳剤 <STサプロール乳剤>
STサプロール乳剤はトリホリンを主成分とする殺菌剤で、カビによる病気の予防と治療の効果があります。特にさび病、うどんこ病、黒星病、白さび病、フェアリーリング病に効果があります。観葉植物への適用がなく自己責任での利用となります。実際には優れた効き目を発揮します。水で薄めてスプレーで散布します。
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治療のみのタイプ

カリグリーン <カリグリーン>
カリグリーンは炭酸水素カリウムを有効成分とする殺菌剤で、肥料にもなる環境にやさしくヒトに安全な薬剤です。病気のみに対応しており、予防効果はありませんが、治療効果があります。さび病に効果があるのはもちろんのこと、うどんこ病、灰色かび病、葉かび病などにも効果があります。観葉植物にも使うことができます。病気の初期に散布することが望ましく、また水で薄めて展着剤を使用することが必要です。かけ残しがないようにむらなく散布します。
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予防のみのタイプ

このタイプの殺菌剤は予防的に撒いておくもので、病気になるのを防ぐものです。そのため既に病気に罹ってしまった植物には効果がありません。

エムダイファー <エムダイファー>
エムダイファーはマンネブを有効成分とする予防効果の高い保護殺菌剤です。さび病を予防できるのはもちろんのこと、灰色かび病、炭疽病、べと病、黒点病、疫病などへの予防効果もあります。ただ治療効果はないため予防散布のみ有効な点に注意しましょう。水で薄めてスプレーなどで散布します。※ただし観葉植物への適用がないため自己責任での使用になります。
取り扱いなし

害虫に対応するものも

害虫に対応してくれる成分が入った農薬(殺虫殺菌剤といいます)もあります。先ほどの例では、ベニカXスプレー、オルトランCスプレーがその例です。

農薬・殺菌剤を使う時の注意点

注意点

スプレー剤でも、薄めて使うタイプのものでも、本体ラベルに使う上での注意点が書いてあるので、しっかり確認するようにします。

一般的に

  • 体調の優れない時は薬剤散布を行わない
  • 雨が降りそうなときや風が強い時は避ける
  • 夏の高温時は薬害防止のため、夕方など涼しい時間帯に散布する
  • 作業後は手足や顔を石鹸で良く洗いうがいをする
  • 子供やペットに触れないようにしする
  • マンションなど集合住宅では隣、上下に飛ばないように注意する
  • 洗濯物にかかったり室内に吹き込んだりしないようにする

などの注意が必要です。

また殺菌剤の種類によって

  • 希釈するタイプは倍率を守る
  • 液が残ったら排水には流さず土に穴を掘ってその中に流し込む
  • エアゾール剤では多肉植物に近づけすぎないようにする

などの注意点を守りましょう。

※エアゾール剤とは、ボタンを押すとシューと自動で出てくるもの

さび病の予防方法

観察 病害虫

病気は一度罹ってしまうとなかなか治療が困難です。そのため予防することがとても大切になります。

マメに観察する

日頃からよく多肉植物を観察しておくということが大切です。もし病気が発生しても、早期発見できれば、その部分を切除して予防的に株全体に農薬を散布するなど、被害が深刻にならずに済みます。

観察するときは上や横から見るだけでなく、斜め下から葉の裏を見たり、葉をかき分けて茎を見たりします。

環境を改善する

株が密集していたり、じめじめしている環境に置いたり、無風の室内に置いておくと病気が発生しやすくなります。特にさび病などのカビ病は5~8月に多いので、通気を心がけ雨ざらしを避けた戸外に置くようにします。

株を強健に育てる

徒長を防ぎ強い株作りを心がけましょう。室内などに長く置かれっぱなしになっていた株はヒョロヒョロと徒長し、病害虫に対する抵抗力が落ちています。そのため適度に日に当て、適切に水やり(やりすぎに注意する)することが大切です。

薬剤散布で予防する

クラッスラの一部、サボテンの一部などさび病にとてもなりやすい種類は、好発する5~8月頃まで月1回、薬剤の予防散布を行うと発生を防ぐことができます。

クラッスラ属の葉が茶色くなるのはサビ病!症状と対策方法は?

追記:2022.5.1
今年もクラッスラ銀盃がさっそくサビ病になりました。そこでサプロール乳剤の希釈液をスプレーしました。さび病にはサプロールがよく効きます。できればなる前にかけるほうがよく、予防的にサプロールをかけているとほとんど発症しません。

病害虫対策
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