多肉植物「コチレドン属」の育て方(水やり、置き場所、夏越し、冬越しなど)を基礎から丁寧に解説しています。
目次
コチレドン属の写真
熊童子 | ペンデンス | 銀波錦 |
福娘 | だるま福娘(ふっくら娘) | 白美人 |
熊童子錦(白斑) | 子猫の爪 | ゴルビュー(パピラリス) |
基本情報
科 | ベンケイソウ科 |
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属 | コチレドン属(Cotyledon) |
生育型 | ほぼ春秋型 |
育てやすさ | 育てやすい |
成長速度 | 遅い |
増やし方 | 葉挿し× 挿し木〇 株分け〇 |
耐寒性 | 普通 |
耐暑性 | やや弱い |
耐寒温度 | 5℃ |
実測温度 | 0℃~40℃ |
原産地 | 南アフリカなど |
※4段階評価
育てやすい–普通–やや難しい–難しい
成長が早い–普通–遅い–とても遅い
耐寒性-強い・普通・やや弱い・弱い
耐暑性-強い・普通・やや弱い・弱い
※耐寒温度は水やりを控えた場合の目安値(書籍などによる推奨値)で、状況によりこれより狭くなることがあります。
※実測値は半日陰の場合で直射日光下ではこれより低くなります。
特徴
コチレドンは南アフリカからアラビア半島南部を原産地とする多肉植物です。ベンケイソウ科の多肉植物ですが、意外にもアドロミスクス属、カランコエ属、チレコドン属と共にカランコエ亜科に属し、コチレドン属自体の種類は35ほどが見つかっています。
夏が苦手な種類も
コチレドンはほとんどが春秋に成長して夏と冬は休眠する春秋型です。(本によっては夏型に分類されることもありますが、育てた感じでは春秋型の典型のように思われます)。特に福娘やふっくら娘、銀波錦などは夏の暑さに弱く、5月頃から暑さで葉が落ち始め、7~8月には茎だけの棒のようになってしまうことがあります。
木質化する種類や花の美しい種類も
大きさは最大でも50cm以下、通常は10cm程度です。長く育てていると根元が幹のようにがっしりしたり、子株が育ってきたり、ベルのような美しい花が咲くようになります。他の多肉植物は紅葉したり葉の付き方が変化することがありますが、コチレドンは一年中、色や姿が変わらない種類も多いです。また、コチレドンは白い粉や光沢、もふもふの毛などが美しい種類が多いので、年間を通して雨ざらしにしないことがポイントです。
育て方のコツ
- 一部種類は暑さがかなり苦手で、夏は遮光などしてできる限り涼しい環境に
- 春・秋は土がカラカラになってからたっぷりと
- 冬、夏は水やり回数と量を減らす
- 年間を通して雨ざらしにせず、風通しを良くする
- 冬0℃以下にさらさないようにする
育て方
春と秋の温暖冷涼の時期に盛んに生育する「春秋型」として育てます。栽培のポイントの第一は夏越しです。高温多湿に弱いため、夏は屋外で育てると葉落ちが避けられない種類があります。(銀波錦、福娘系など)
これは育て方が悪いのではなく、耐暑性が弱いためで外で栽培する以上仕方がないことです。中心(茎)が生きていれば、秋以降に再生します。
年間栽培カレンダー
生育型 | 春秋型 |
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生育期 | 3~5月と9~11月 |
休眠期 | 12~2月 |
緩慢な時期 | 6~8月 |
水やり |
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置き場所 |
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植え替え |
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増やす |
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肥料 |
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開花 |
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※栽培カレンダーはあくまでも目安です。実際は土や鉢の種類、地域によって大きく異なります。この表は福岡県平野部で多肉植物用の棚を使って育てている場合の情報です。お住まいの地域や使っている土、置き場所によって適宜読み替えて下さい。
主な種類名(学名)
熊童子 (クマドウジ) | Cotyledon ladismithensis |
福娘 (フクムスメ) | Cotyledon orbiculata var.oophylla |
ペンデンス | Cotyledon pendens |
銀波錦 (ギンパニシキ) | Cotyledon undulata |
子猫の爪 (コネコノツメ) | Cotyledon ladismithensis ‘Konekonotsume’ |
オルビキュラータ | Cotyledon orbiculata |
熊童子錦 (クマドウジニシキ) | Cotyledon ladismithensis |
エリサエ | Cotyledon elisae |
白美人 | |
ゴルビュー | |
ふっくら娘 | |
モンキーネイル | Cotyledon ‘Monkey Nail’ |
パピラリス | Cotyledon papilaris |
旭波の光 (キョクハノヒカリ) | Cotyledon undulata f.variegata |
旭波錦 (キョクハニシキ) | Cotyledon orbiculata ‘Kyokuhanishiki f.variegata’ |
嫁入り娘 (ヨメイリムスメ) | Cotyledon orbiculata cv. |
紅覆輪 (ベニフクリン) | Cotyledon macrantha |
白眉 (ハクビ) | Cotyledon orbiculata cv. |
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育て方のポイント
コチレドンは、根腐れしやすい、夏に弱いなどでベンケイソウ科の多肉植物の中ではやや気むずかしい印象を受けます。特に斑入り種は栽培難易度が高めです。また冬には強く0℃までなら問題ないので冬越しは楽なほうです。夏を除けば多肉植物の中では育てやすいグループだと思います。
水やり
コチレドンは水不足に強い多肉植物なので水やりは慎重に行います。土が乾かないうちにじゃぶじゃぶ水をやると葉がポロポロ落ちたり根腐れしたり、しかし水を控えすぎるとそれもまた問題で葉落ちの原因になったりシワがよって元に戻らなくなってしまうことがあり加減が難しいです。水やりの仕方をマスターするのが、コチレドン栽培のコツと感じます。
水やりの基本
水やりの基本は土が鉢の底までカラカラに乾いてからさらに数日経って与えることです。土が乾いてすぐ水やりをするとやりすぎになってしまいます。
また環境により水やりの頻度や一回当たりの量は変わってくるため、以下の情報は目安としてお考えください。また土が乾いていなければ無理に与えないでください。
生育期の水やり(3~5月、9~11月)
目安は1週間に1回程度、鉢底から流れ出るまで与えます。生育期は充分に水やりをしないと葉が出ず、葉にシワがよるなどカサカサの印象になってしまいます。
梅雨・秋雨の時期
6月の梅雨時や秋雨の時期は多湿で土が乾きにくくなっているため、生育期より頻度と量を減らします。そこで10日~2週間に1回程度にします。土が乾いていなければ無理に与えないでください。
半休眠時の水やり(7~8月)
月に2回程度、鉢の深さの半分が湿るぐらいの量を与えます。この時期は暑さのため生育が鈍くなっていますし、土に水気が多い状態が続くと日中に根が煮えて根腐れ、茎腐れを起こしやすいです。水やりはできるだけ涼しい日に、夕方から夜間に行い1回の量も減らします。
休眠時の水やり(12~2月)
月1~2回程度、鉢内を軽く湿らせる程度にします。この時期は寒さで生育が止まっているので、ほとんど水やりが必要ありません。できるだけ暖かい日の暖かい時間帯(午前中~昼間)にごく少量を与えます。また5℃以下の日が続く時は冷害を避けるため水を与えないようにします。
植物は体内の水分が少ないほうが寒さ・暑さに強くなる傾向があるため、夏場、冬場は耐寒性・耐暑性をあげるためにも水やりを減らすことが大切です。
水やりの時間帯
冬と夏は水やり時間のタイミングに注意しましょう。夏は涼しくなった夕方に、冬はこれから暖かくなる朝にやるようにします。凍るような寒い日や35度を超えるように時は無理に水やりはしないほうが安全です。
水をやる時は葉にかけるのではなく、根元に注ぐようにします。毛が生えている系は夏に水やり後直射日光を当てると、そこだけ焦げる葉焼けを起こしやすいため、水やりは夕方が安全です。
冬に室内で育てる場合は?
北海道など寒冷地では冬の間ずっと室内に避難させることがあります。その場合、部屋が暖かいと水を吸い、土が乾きます。もし植物育成ライトがなく暗い環境に置いている場合は、水やりは少なめにしないと徒長してしまいます。植物育成ライトなどで充分明るさが確保できる場合は、2週間に1回など、頻度少なめで水やりを続けます。
置き場
コチレドンはアラビア半島、南アフリカなど日本より穏やかな気候に棲息しているので、日本の厳しい夏や冬には置き場所に工夫をしてあげる必要があります。
まず日本の降水量は多すぎるため、一年を通して雨よけのある所に置く必要があります。そして室内のような無風の空間でなく、軒下や簡易ビニール温室内などの風通しが良いところに置く必要があります。
室内にいれる場合は、風通しに気をつけましょう。冬はそれほど気にしなくて良いですが、春・夏・秋は室内に飾ったり、置いたりする場合、必ず扇風機などを回して風が動くようにしましょう。
特に夏に葉落ちするものは葉落ちを避けるため、室内の冷房の効いた部屋に避難させざるを得ないことがあります。その場合無風の状態が続くと突然腐ってバラバラになることがあるため、冷房の風でもいいので、とにかく空気が動く状態にしてあげてください。
また季節により日よけ(遮光)が必須になります。遮光ネットは白、黒、シルバーがありますが、熱を持ちにくいシルバーのものをおすすめします。
遮光環境の目安
※以下は暖地(西日本)の場合の情報です。
4~5月
意外にもこの季節は既に直射日光が強すぎるため、まずは30%遮光ネットを張り、4月末には50%のものに張り替えないといけません。
6~9月
引き続き50%遮光ネットを使用するか半日陰(明るい日陰)に移動させます。梅雨で雨が続く暗い日は遮光ネットは剥がしてやるとベストですが、晴れ間は日差しが強くなかなかそこまで細かく見てやれません。
10月
その年の暑さ、天気などを考慮して、初旬~下旬にかけて50%遮光ネットを30%に張り替えていきます。気温の低い年では10月末には遮光ネットが不要になります。
11~3月
11月にもなれば日差しは非常に弱くなり、遮光ネットは不要になります。むしろ良く日に当てて光合成させることが大切になります。12月、1月、2月までそのまま直射日光下で栽培します。(この間1℃を下回る日は室内にいれます。)3月になると急に日差しが強くなってきて、末頃には30%遮光ネットが必要になる年もあります。
耐暑性と最高気温・夏越しの方法
耐暑性は種類によりやや異なるものの、やや弱い~弱いです。多肉植物の中では夏に細心の注意を払わないといけないグループになります。
35℃以上の高温にさらされると葉の付け根がグラグラして、実際に下葉から順に葉を落とし、茎1本になってしまうことがあります。福娘、白美人、だるま福娘、ペンデンス、銀波錦などが特に弱いです。
このような種類を葉落ちさせないためには、室内の冷房がかかった部屋に入れる(32℃程度で充分です)しかないです。(室内では扇風機での強制送風が必須になります)
夏の管理
猛暑の続く日本の夏では近年、35℃を超えさせないことは非常に難しいです。また天気予報などで示される気温は「日陰での計測値」で、晴天時の日なたでは遥かに上回り55℃を超えます。そこで外に置く場合は、必ず日よけ(50%程度の遮光ネット)をするか、半日陰に移動させて、直射日光と熱を遮るようにします。
簡易ビニール温室にいれている場合、最上段は45℃近くなることがあるので、できるだけ涼しい最下段にいれるとよいと思います。
水やりは控えめにしますが、あまり控えるとそれも葉落ちの原因になるので、水やりの加減が難しいです。夏に葉がかなり落ちたり、枯れてしまってもがっかりしないようにする心構えも必要だと感じます。
絶対枯らしたくない大切な苗は室内のできるだけ明るい涼しい所に移動させるしかないように思います。
また葉が全部落ちてしまっても、茎さえ生きていれば秋から新しい葉が出てきてくれるので、早まって捨ててしまわないようにしましょう。しかし葉が充分茂る頃には次の夏がやってきて、葉落ちしてまた棒になっての繰り返しです。。(熊童子など強い種類もありますので、全てが葉落ちするわけではありません。)
斑入り種は全般的に性質が弱く、暑さ寒さにも弱いため栽培難易度は上がります。
越冬最低温度と冬越し方法
コチレドンの耐寒性は普通で耐寒温度は3~5℃とされています。しかし実測上は0℃~1℃を耐えています。(これは暖地で一晩0℃になる程度のデータで、寒冷地など昼夜0℃になる場合の影響は未検証です。)
そこで関東以南では1℃の予報が出た場合、室内に取り込む目安にしたらよいかと思います。(斑入り種は寒さに弱いため、3℃程度で取り込みすることをおすすめします。)
冬の管理
屋外の場合
外で育てる場合は、できるだけ簡易ビニール温室にいれて冷たい雨、雪、寒風を避けるようにしてください。実は簡易ビニール温室には保温効果はほとんどありません。外が1℃になれば簡易ビニール温室内も1℃になってしまいます。
※実際に実験したところ、日没後1~2時間は外より温室内のほうが数度暖かかったですが、3時間後には外と同じになっていました。
ですが、ビニールで寒風を避けることで傷みをかなり抑えることができるので、そのまま軒下などに鉢を置くよりはいいと思います。
霜に当たったり凍結してしまうと枯れてしまいます。(ですが地中の根が生きていれば春に復活できることもあります)。安全に冬越しさせるためには、水やりを極限に控えると耐寒性が増します。
水やりは月1回程度ですが、日取りは選んでできるだけ暖かい日にしましょう。関東以北の寒冷地では夜マイナスが続く地域もあります。そのような場所では冬場、外での栽培は困難で日の当たりやすい室内に取り込むようにします。
室内の場合
関東以南など大寒波の時に室内にいれる程度であれば、何も問題はないのですが、寒冷地では月単位で室内で栽培する場合、深刻なのは日照不足です。できれば室内でも窓辺などで1日4時間は日に当てたい所です。
それが無理な場合は、徒長(間延び)防止のため、植物育成ライトを当てて日照不足を補いましょう。
また室内では暖房のかけすぎ(15℃以上)や乾燥のしすぎに注意してください。できるだけ5~10℃程度で日が当たり、乾燥しすぎない部屋が適しています。
寒冷地での寒さ対策
寒冷地では夜間、暖房をいれていないと室温も0℃以下になることがあります。
夜間室温が下がりすぎる場合は、寒さ対策として植物用ヒーターマットが役立つ可能性があります。植物用ヒーターマットとは、防水性があるホットカーペットのようなもので、上に鉢を置いて温めるものです。室温プラス5~10℃程度の加温効果があります。
特に夜のみ段ボール箱をかぶせるなどすると、ダンボール内が暖かく保たれます。各社により異なりますが、1枚の価格は2,000円程度、消費電力は20W程度です。
参考までに植物ヒーターマットと植物育成ライトの詳細ページを掲載しています。
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増やし方
コチレドンは挿し木(挿し芽)、株分け、実生(種まき)で育てることができます。葉挿しは極めて難しいグループです。
増やすのに適切な時期は生育期の3~5月、9~11月頃です。他の季節は発根が遅い、茎が腐りやすいなどで失敗しやすいため、避けた方がよいです。
挿し木(挿し芽)の方法
コチレドンは挿し木で増やすことが一般的です。
手順
親株から5~8cm程度茎をカットし、下の方の葉をもぎとり断面を3~4日乾かします。乾いたら乾燥した用土に挿します。発根するまで3~4週間かかります(多肉植物の中では遅いほう)が、焦って水をやったりしないようにします。
根が出るまでは室内の明るいところで管理します。根が5mm程度出たら水やりを開始します。最初は少なめにして徐々に増やしていきます。1ヶ月ほど経ってしっかり活着(根付き)したら屋外の元の置き場所に戻します。それまでは半日陰で直射日光に当てないようにします。
カットした親株からは、葉の付け根付近から2ヶ月程度で新しい芽が出てきます。
胴切り
1本しかない親株を水平にばっさり切り取る場合は、切り取った挿し穂は引き続き成長点が伸びていき、切り取られた親株からは切り取られた部位の1つ下の葉の付け根から通常2本の脇芽が出てきます。徒長して長くなってしまった株を短く切り戻したい場合や、枝数を増やしたい時に行います。
葉挿し
残念ながら、コチレドン属の種類は葉挿しが非常に難しいです。管理人も何度も熊童子や福娘などの葉を葉挿しにしてみたのですが、根も芽も出ませんでした。
株分けの方法
群生した株や脇芽が出てきた株は株分けで増やすこともできます。
株元から脇芽が出てきたり、胴切り後に脇芽が出てきてある程度成長したら、それを取って土に挿すことで株分けが可能です。株分けでは土の中から脇芽が出てきている場合、根を付けて分けるため一度掘り起こす必要がありますが、地表部に子株が出ている場合は、それをカットするだけで大丈夫です。
根を付けて株分けできたものは植え付けてすぐに水をやって構いませんが、1週間程度は半日陰で養生させます。茎から切り取った場合は切り口が乾いていないので、挿し木と同じ要領で根が出てきてから水をやるようにします。
また原種では実生(種まき)での栽培も可能です。
詳しくはエケベリアの実生ページをご参照ください。
植え替え
株が大きくなり、今までの鉢では倒れてしまう場合や、根詰まりを起こした場合は植え替えを行っていきましょう。
植え替えも基本的に3~5月、9~11月に行えますが、3~4月か9~10月がベストです。(生育期の終わり頃に行うと、寒さ暑さでその後、根が充分伸びない場合があります。)
コチレドンはそれほど生育が旺盛ではないので、9cm鉢(3号ポット)までのサイズであれば1年に1回程度、それ以上のサイズでは2年に1回程度で構いません。
植え替えは鉢を大きくするために行うと思われがちですが、それ以外にカチカチになってしまった土をやわらかくしたり、根詰まりを解消したり、元肥を施したりする効果もあるので、長く健康に育てるためには大切な作業です。
手順
植え替えは水やりしたてだと土を落とすときに根が切れてしまうので、やや乾燥させた状態で行います。
株を鉢から抜きだして土を落としていきます。この過程で茶色く枯れた根は落とし、鉢底にへばりついている細い根なども取り除きます。そして根の長さの3分の1程度はハサミで切り詰めます。
引き続き大きく育てたい、群生させたいという場合は今まで植わっていた鉢より一回り大きな鉢に植え付けます。今までのサイズを維持するかあまり大きくしたくない場合は、これまで植わっていた鉢に植え戻します。
この時土には緩効性化成肥料を2つまみほど混ぜておくとよいです。
植え付けたらいつ水をやるかですが、悩むところですが、根を少々切った程度であればすぐに与えてしまって問題ありません。管理人は植え替え後、多くの種類ですぐ水をやりますが、それが原因で腐って枯れたということはほとんど無かったように思います。
土
コチレドンは葉に水を溜め込むことができるので、土の保水性は弱く水はけがよいものが適しています。また土は細かすぎると保水性が強まるため、細粒より適度に小粒程度のサイズがあるものがよいです。
花や野菜などの通常の培養土は、コチレドンにとっては水はけが悪く通気性も悪いため、根腐れなどを起こしやすく避けたほうがよいです。
市販の多肉植物用土
ホームセンターや園芸店、アマゾンなどの通販では複数のメーカーがさまざまな多肉植物用の土を販売しています。鉢数が少なかったり手軽に栽培を始めたい場合は、このような土を使うとよいと思います。
市販の多肉植物用土を購入する際に注意したいのが、粒サイズ、使われている素材、重さなどです。粒サイズはサボテン用だと大きすぎることがあり、種まき用土だと細かすぎます。また素材には赤玉土、軽石などできれば3種類以上が配合されているものがベストです。重さは中程度(1Lで400g~600g以内)で重すぎ、軽すぎの土は避けましょう。
参考までに、以下で市販の多肉植物・サボテン用土を比較・紹介しています。
自分で配合する場合
作る場合は赤玉土・鹿沼土などをベースに軽石、腐葉土なども混ぜ合わせます。水はけがよくなるパーライトや土が軽くなるくん炭などもいれるとよいです。
土は種類により特徴(重さ、水はけ、水持ち、通気性、酸性度など)が異なるので、複数種類を混ぜ合わせることをおすすめします。
(例)赤玉土2:ボラ土1:腐葉土1(ピートモス)など
(例)赤玉土2:鹿沼土2:ピートモスか腐葉土1:川砂1:くん炭1:パーライト1 など
またコチレドンの配合は特別こだわりはなく、ベンケイソウ科(エケベリア、クラッスラ、セダム、アエオニウムなど)の共通の配合で大丈夫です。(むしろ他のベンケイソウ科の多肉植物と同じ配合の土を使った方が、水やりなど管理が簡単になります。)
みじんを抜く
土には「みじん」と呼ばれる極細かくなってしまった土が含まれます。これは排水性や通気性を悪くしたり、根の呼吸を阻害してしまうので取り除くことが望ましいです。
土の袋の下の方にたまっていることが多いので、その部分を使わないようにするか、みじんがかなり多い時は細かめのふるいでふるい落としてから使うかしましょう。
鉢底石は必要?
本来鉢底石は鉢底の水はけを良くする目的でいれられます。深い鉢や大きい鉢では鉢底石は必須ですが、9cm鉢程度であればいれなくても問題ありません。また赤玉土や鹿沼土を鉢底石として代用すると、徐々に崩れてかえって水はけが悪くなるので、使う場合は軽石でできたくずれにくい素材でできているものを使うようにしてください。
鉢の選び方
苗サイズに応じて鉢サイズを変える
コチレドンは特に鉢を選ばず、エケベリアやクラッスラ、セダムなどと同じような鉢を流用できます。
鉢にはプラスチック鉢や陶器製の鉢などさまざまあり性質が異なりますが、正直どれにでも植えられます。ただ、プラスチック鉢に植えるのと陶器の鉢に植えるのでは、水やり頻度など扱いが少々異なります。(陶器製の鉢は多孔質で水分が乾きやすいので、水やり頻度はプラスチック鉢より多いです。)また最初は穴のある鉢で栽培することをおすすめします。
また大切な点があり、それはその苗サイズにあった鉢サイズを選ぶことです。挿し木したてでとても小さな苗には小さい鉢が適していますし、大きな苗にはそれなりの鉢サイズがないと根詰まりしてしまい大きく育ちません。
生育段階に応じて、鉢サイズを変えていく(大きくしていく)ことが大切です。
おすすめの鉢
家にある普通の植物用の鉢は5号鉢など(直径が15cm)大きなものが多いと思います。これはコチレドンには少々大きすぎます。大きすぎると鉢の底の方に水分が溜まり、水はけが悪くなってしまいます。
そのため多肉植物用にプラ鉢を買うことになると思います。ご家庭に2~3号鉢(6~9cm)など多肉植物に適したサイズがない場合、日本ポリ鉢販売の「プレステラ」という鉢を準備しておくと良いと思います。これはスリット構造で多肉植物に適した7.5cm程度のサイズの鉢で、コチレドン以外に色々な多肉植物に使い回すことができます。
肥料
コチレドンはもともと肥料の少ない乾燥地帯に育つ植物のため、野菜や果物、花木のような大量の肥料は必要としません。
しかし鉢植えで育てていると天然成分(動植物の死骸や雨、土壌から補われる肥料分、ビタミン、ミネラルなど)が補われないので、微量要素や肥料分が不足する場合があります。
そこで植え替え時や植え付け時、挿し木後、生育期などには肥料を与えていきます。
肥料のやり方
植え替えをする年には、植え替えの際に土にマグアンプK小粒などの緩効性化成肥料を2つまみほど混ぜ込んで元肥とします。
植え替えない年は、生育期にハイポネックス原液や花工場原液などの希釈水を、水やり代わりに与えて追肥とします。
どちらか一方でよく、両方与えると肥料の多すぎになってしまうことがあります。
また、ビタミンやミネラル、植物が育つのに必須の元素が不足する場合は、植物活力剤や微量要素入りの肥料を与えてあげましょう。
※元々肥料が入っている(元肥済み)多肉植物用の土に植える場合は、植え付けてから1年間は追肥する必要はありません。
花
コチレドンは、株が充実してくると春に花を咲かせます。
つぼみがつくのは秋で開花は2~5月頃、1つの花は1週間ほど咲き続けます。開花まで3ヶ月もかかるという、かなりゆっくりの成長です。オレンジ色のベルのような形の花を咲かせることが多いようです。花が咲き終わったら花がらを摘み取り株に負担がかからないようにします。
つぼみがなかなか付かない場合は、日光に良く当てて日照不足を補う、生育期には適度な水やりをするとよいと思います。
病害虫
コチレドンはあまり病害虫の心配のないグループです。
害虫対策
カイガラムシ、アブラムシ、イモムシに注意が必要です。見つけたときに散布式の殺虫剤をまくか、株元に粒剤をばらまいて予防しましょう。
病気対策
軟腐病、サビ病にやや注意が必要です。軟腐病は突然茎・葉が腐って悪臭を放つ病気で、サビ病は茶色い点々ができる病気です。どちらも一度なるとほぼ助かりません。また下葉が枯れてカビの原因になることがあるので、早めに取り除きましょう。
生理障害
真夏の葉落ち、茎腐れ、冬の0℃以下の環境による冷害、凍結、夏の強い直射日光による葉焼けなどに注意が必要です。
販売店や値段など
コチレドンは種類は少ないですが割と出回っている多肉植物で、熊童子、福娘などはホームセンターや園芸店で見かけることが多いです。
購入する時は、できるだけ入荷したてのものを、伸びておらず本来の色・形を保っているものを選びましょう。ヒョロヒョロ伸びているもの(徒長)や水やりのされすぎでずっしりと重いものは避けた方がよいです。色あせた株は長い間、日光に当ててもらえず日照不足で弱っている可能性があります。
価格帯は種類により若干異なるので一概にはいえないのですが、目安として7.5cmポットで330円程度、9cmポットで550円程度で販売されていることが多いようです。
通販での購入
ホームセンターや園芸店、多肉植物専門店以外に通販でも購入することができます。
ネット通販では楽天市場、ヤフーショッピング、アマゾンなど大手を始め、その他多肉植物専門通販サイトでも販売されています。またフリマのメルカリやヤフオクでもかなりたくさんの流通があります。希少種や大苗、カット苗などさまざまな形態があります。
ネット通販は種類も豊富でいつでも注文できて便利ですが、店頭購入にはない注意点もあります。
それは購入する季節です。通販は長時間かけてトラックなどで輸送されるため、真夏・真冬は高温・低温にさらされます。商品は元気だったのに届いてみたら枯れていた、蒸れて傷んでいた、葉がボロボロ落ちていたなどのトラブルが起こることがあります。
できるだけ真夏・真冬を避け、春や秋に注文することをおすすめします。
オンラインショップでも購入できますメルカリでも多肉植物・サボテン・エアプランツ、種子などを多数取り扱っています。 メルカリで新規登録する方は、お友達紹介コードの入力で、メルカリの購入で使える500円分ポイントがもらえます。 よろしければ、下記のコードをお使いください。(キャンペーン時は2,000円分相当ポイントがもらえます)
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よくあるトラブルとQ&A
トラブル事例
5月ぐらいから葉がボロボロ落ちてきた
暑さのため起こる生理障害で、ある程度は仕方無いです。水のやり過ぎ、また控え過ぎにどちらにも気をつけましょう。葉が全部落ちて棒のように茎だけ残ることがありますが、茎が死んでいなければ秋になりまた葉が出てくるので秋に見極めましょう。
茎がひょろ長くなる
日照不足の他、通気不足の可能性もあるので、外の風通しがよく明るい所で栽培するか、無理な場合は室内で植物育成ライトを当てて扇風機を回しましょう。
Q&A
挿し木がうまくいかない・根が出ない
7~8月や1~2月など寒さ・暑さの厳しい時期は生育が鈍り、根の出るスピードが遅くなったり途中で腐って失敗しがちです。春と秋の冷涼な時期に再度挑戦してみましょう。
葉挿しができない
コチレドンは葉挿しのできないグループです。それは葉の付け根に成長点がないためで、茎からはしっかり根が出ますので適期に挿し木を行ってみましょう。