花サボテンの写真
エキノプシス属 短毛丸 | マミラリア属 猩々丸 | ギムノカリキウム属 麗蛇丸 |
ギムノカリキウム属 勇将丸 | エリオシア属 白翁玉 | エキノフォスロカクタス属 縮玉 |
色々な花サボテン | 縮玉の開花 | 麗蛇丸の開花 |
花サボテンの特徴
狭義の「花サボテン」
「花サボテン」とは、狭義にはトリコセレウス連と呼ばれる属(グループ)のサボテンのことをさします。トリコセレウス連とは、10以上の属をまとめたグループで、花サボテンの代表であるエキノプシス属、旧ロビビア属、ディスコカクタス属、ハリシア属など様々な玉サボテン、柱サボテンが含まれます。「連」とは複数の属をまとめた、属より広い言葉です。
トリコセレウス連の原種のサボテンは南アメリカのアンデス山脈の麓に分布しているほか、花の色や花びらの付き方、枚数などが異なる多数の交配種も生み出されています。
広義の「花サボテン」
また「花サボテン」とは広義では、トゲや姿よりまず第一に花が美しく楽しめるサボテンのことをいいます。とても広い種類の集まりです。先に出たトリコセレウス連以外の属、たとえばパロディア属(旧ノトカクタス属)、メロカクタス属、マミラリア属など花が美しい種類をまとめて呼んでいます。
花サボテン以外は花が咲かない?
実は全てのサボテンは花を咲かせます。花が咲かないとタネを作り子孫を残すことができません。そのため原則全てのサボテンは花をつけけます。しかしサボテンは、自生地と環境が異なる日本では花を咲かせにくいものや、開花年齢に達するまで数十年かかるものなどがあり、そのようなものは実質花が見れないということになってしまいます。花サボテンは花が美しく、また咲かせるのが簡単な種類と考えると良いと思います。
花サボテンの育て方
花サボテンは色々なグループ(属)のサボテンが含まれます。そのためグループごとに育て方や好む環境などが異なります。そのため購入するとき、ラベル(名札)が付いているものが望ましいです。
全般的に花をつけるためには、生育期にしっかり生育させ休眠期にはほとんど水を与えないような、メリハリをもった栽培が必要です。よく日に当て、適度な寒さと乾燥にさらし水を減らすことで、花芽が分化し春に開花します。
花サボテンの種類を詳しく
狭義の花サボテン (トリコセレウス連に属する属) |
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広義の花サボテン |
エキノプシス属、旧ロビビア属、ディスコカクタス属、ハリシア属、エスポストア属、ギムノカリキウム属、オロヤ属、レブティア属などに加えて
など |
育て方のコツ
- 生育期はしっかり水やりし休眠期にはかなり控える
- 春・秋・冬はしっかり日に当て、夏は30%遮光する
- それぞれの最低越冬温度を守る
- 雨よけを作り雨ざらしにしない
年間栽培カレンダー
生育型 | 夏型 |
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生育期 | 3~10月 |
休眠期 | 12~2月 |
緩慢な時期 | 7~8月 |
水やり |
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置き場所 |
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植え替え |
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増やす |
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肥料 |
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開花 |
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花サボテンの主なグループ(属)
エキノプシス属(Echinopsis)
短毛丸 | 大豪丸(ダイゴウマル) | 長盛丸(チョウセイマル) |
大豪丸の自生地 | ||
旧ロビビア ティーゲリアナ | 旧ロビビア 陽盛丸(ヨウセイマル) | |
いずれもWikipediaより引用
かつてロビビアに属していたサボテン、その他複数の属のサボテンがエキノプシス属に統合されました。
南アメリカ原産(アンデス山脈)のサボテンで、およそ130種類が知られる大きなグループです。ヘッジホッグサボテン、イースターユリサボテンとしても知られています。姿形は様々で、球状のものから柱状のものまで大小もさまざまです。花は夜咲きで香りのよいものがあります。耐寒性が強く-5℃(短毛丸の場合)~0℃を耐えます。(旧ロビビア属は3℃までです。)
丈夫なため、接ぎ木のための台木として用いられることがあります。
水はけのよい土に植え、日光をしっかりと当てて春から秋の生育期にはしっかり水を与えます。そして冬の水やりを極端に少なくし休眠させることで花芽の生成が促されます。
開花年齢に達すると毎年花を咲かせますが、購入後、中途半端に冬に暖かく水やりなどをすると花芽がつかなくなってしまいます。
大豪丸(ダイゴウマル) | Echinopsis subdenudata |
赤花短毛丸 | Echinopsis eyriesii |
長盛丸(チョウセイマル) | Echinopsis multiplex |
福俵(フクダワラ) | Echinopsis multiplex f. cristata |
短毛丸(タンゲマル) | Echinopsis eyriesii |
金盛丸(キンセイマル) | Echinopsis calochlora |
花盛丸(カセイマル) | Echinopsis tubiflora |
紅鳳丸(コウホウマル) | Echinopsis mamillosa var. kermesina |
布袋丸(ホテイマル) | Echinopsis rojasii var. albiflora |
湘陽丸(ショウヨウマル) | Echinopsis bruchii |
世界の図(セカイノズ) | Echinopsis eyriesii variegated |
フェロックス | Echinopsis ferox |
旧ロビビア属(Lobivia)
南アフリカのアンデス山脈に自生する花サボテンの代表グループです。花が大きく色も豊富で150種類以上があり、交配種も多数あります。現在はエキノプシス属に吸収されています。耐寒性は3℃までとされています。
詳細は→上段のエキノプシス属へ
黄華丸(オウカマル) | Lobivia cylindrica |
血汐丸(チシオマル) | |
芳姫丸(ホウキマル) | Lobivia nealeana |
黄羅丸(オウラマル) | |
ティーゲリアナ | Lobivia tiegeliana |
陽盛丸(ヨウセイマル) | Lobivia famatimensis |
千姫丸(センヒメマル) | Lobivia nealeana var. grandiflora |
白檀(ビャクダン) | Lobivia silvestrii |
黄花白檀 | Lobivia silvestrii cv. |
ディスコカクタス属(Discocactus)
プラセンティフォルミス | プラセンティフォルミス | ハルトマンニー |
いずれもWikipediaより引用
開花年齢に達すると球体の頂部に「花座」をつけるサボテンで、ブラジル南部、ボリビア東部、パラグアイ北部におよそ20種類が知られています。白い花を夜に咲かせ、果実はピンクまたは赤で種子は黒いです。メロカクタスと似ていて育て方も同様です。耐寒性は弱く5~8℃が必要です。
これらは絶滅の危機に瀕しており、商業的国際取引が禁止されています。
インシグニス | Discocactus insignis |
プラセンティフォルミス | |
ハルトマンニー | Discocactus hartmannii |
エステベシー | Discocactus estevesii |
白条冠(ハクジョウカン) | Discocactus arauneispinus |
ブーミアヌス | Discocactus boomianus |
ホルスティ | Discocactus horstii |
プラセンティフォルミス | Discocactus placentiformis |
トリコルニス・ギガンテウス | Discocactus tricornis var. giganteus |
ハリシア属(Harrisia)
ハリシア属(旧エリオセレウス属 Eriocereus)は、アルゼンチン、パラグアイ、ブラジル、ボリビア、ウルグアイ、大アンティル諸島、バハマ、および米国フロリダ州に自生する夜咲きのサボテンの属で、およそ20種類が知られています。
台木として有名な袖ヶ浦もこのグループに属しています。
袖ヶ浦 | Harrisia jusbertii |
エスポストア属(Espostoa)
老楽(オイラク) | 幻楽(ゲンラク) |
いずれもWikipediaより引用
ペルーやアメリカ、メキシコに自生するグループで自生地では巨大になります。比較的丈夫な種類ですが生育が遅く、巨大化するには長い時間がかかります。白い毛が生えており雨ざらしにすると汚れるため、簡易ビニール温室など雨よけがあるところで育てます。多湿が苦手なため、風通しの良いところで育てます。耐寒性はあり0℃を耐えます。
老楽(オイラク) | Espostoa lanata |
幻楽(ゲンラク) | Espostoa melanostele |
ギムノカリキウム属(Gymnocalycium)
勇将丸 | 緋牡丹 | |
天平丸(テンペイマル) | 新天地(シンテンチ) | 怪竜丸(カイリュウマル) |
海王丸(カイオウマル) |
※2段目以降の写真以外はWikipediaより引用
南米(アルゼンチン・ブラジル・ボリビアなど)に70種類程度が知られているサボテンです。直径数センチから大きくても30cmと割と小柄の種類が多いです。
緑色が基調のものが多いですが、斑入り種では赤やクリーム色が混ざることがあります。鋭く大きな棘を持つものも多いです。春から秋までよく開花して白やピンクの花を楽しめます。太い根に水分を蓄える特徴があります。耐寒性はやや弱く3℃を保ちます。
種類は→ギムノカリキウムのページを参照ください。
レブティア属(レブチア・Rebutia)、スルコレブチア属含む
宝山 | ヘリオーサ | ムスクラ |
錦宝丸(キンポウマル) | ||
いずれもWikipediaより引用
ボリビアとアルゼンチンに自生する小型のサボテンです。体のサイズの割に大きな花を咲かせ色も様々です。現在ではスルコレブチア属を吸収しています。
白鯨丸(ハクゲイマル) | Rebutia minuscula cv. |
宝山 | Rebutia minuscula |
ヘリオーサ | Rebutia heliosa |
銀宝丸 | Rebutia hyalacantha |
ムスクラ | Rebutia muscula |
白象丸 | Rebutia wessneriana var. calliantha |
錦宝丸(キンポウマル) | Rebutia chrysacantha |
メントーサ | Sulcorebutia mentosa |
ラウシー | Sulcorebutia canigueralii |
セニリス | Sulcorebutia canigueralii subsp. crispata |
宝冠玉 | |
アルビッシマ | Sulcorebutia albissima |
エキノケレウス属(Echinocereus)
紫太陽 | 美花角(ビカカク) | 銀紐(ギンヒモ) |
三光丸(サンコウマル) | 青花蝦(アオバナエビ) | |
いずれもWikipediaより引用
エキノケレウス属は北アメリカ南西部からメキシコに分布するサボテンでおよそ70種類が知られています。現地は非常に日当たりのよい所で岩場に生えています。
日本では「エビサボテン」と呼ばれることが多いです。エキノケレウスの名前の由来はギリシャ語でハリネズミを意味する「echinos」とローソクを意味する「cereus」を合わせたものです。
玉型だけでなく柱状、円筒形のものがあります。花が大きく見応えがあり果実は食用になります。比較的寒さに強く0℃を耐えます。
栽培はサボテンの中では簡単なほうで、開花させるにはよく日に当て冬場に乾燥させること(水分を控えること)が重要です。
太陽 | Echinocereus rigidissimus f. |
紫太陽 | Echinocereus rigidissimus ssp. rubispinus |
美花角(ビカカク) | Echinocereus pentalophus |
桃太郎 | Echinocereus pentalophus cv.’Momotarou’ |
三光丸(サンコウマル) | Echinocereus pectinatus |
御旗(ミハタ) | Echinocereus dasyacanthus |
麗光丸(レイコウマル) | Echinocereus reichenbachii |
青花蝦(アオバナエビ) | Echinocereus viridiflorus |
ローマ蝦(ローマエビ) | Echinocereus octacanthus |
宇宙殿(ウチュウデン) | Echinocereus knippelianus |
銀紐(ギンヒモ) | Echinocereus poselgeri |
衛美玉(エイビギョク)フェンドレリ | Echinocereus fendleri |
トリグロキディアツス | Echinocereus triglochidiatus |
など
パロディア属(Parodia)(旧ノトカクタス含む)
金晃丸(キンコウマル) | 小町 | 獅子王丸 |
マグニフィクス | 青王丸(セイオウマル) | 雪晃(セッコウ) |
いずれもWikipediaより引用
中南米(アルゼンチン、ペルー、ボリビア、ブラジル、コロンビア、ウルグアイなど)の高地に自生するグループです。種類はおよそ50種見つかっており、旧ノトカクタスを吸収しています。
花は漏斗状で一度にいくつもの花が咲く多花性で色彩に富んだ花を咲かせます。
丈夫で初心者でも育てやすいグループで、耐寒性は0℃程度とされています。
銀粧玉(ギンショウギョク) | Parodia nivosa |
金晃丸(キンコウマル) | Parodia leninghausii |
錦繍玉(キンシュウギョク) | Parodia microsperma ssp. aureispina |
白閃小町(ハクセンコマチ) | Parodia rudibuenekeri |
マグニフィクス | Parodia magnifica |
すみれ丸 | Parodia werneri |
青王丸(セイオウマル) | Parodia ottonis |
緋繍玉(ヒシュウギョク) | Parodia sanguiniflora |
雪晃(セッコウ) | Parodia haselbergii |
河内丸 | Parodia apricus |
紅小町 | Parodia scopa |
獅子王丸 | Parodia mammulosa subsp. submammulosus |
雪晃(セッコウ) | Parodia haselbergii |
ヘルテリー | Parodia herteri |
メロカクタス属(Melocactus)
彩雲(サイウン) | 賞雲(ショウウン) | 姫雲(ヒメグモ) |
マタンサヌス | 厳雲(ゲンウン) | |
いずれもWikipediaより引用
メロカクタス属は開花年齢になると花座を作り花を咲かせる花座サボテンの一つです。自生地はカリブ海から、中央アメリカ、南アメリカ、メキシコ、ペルーなどでおよそ30~40種類が知られています。
花座とはサボテンの頂部にできる綿毛とトゲでできた帽子のような形をしたもので、ここから花を咲かせます。サイズは10cm~30cm程度で、形は球状、円筒形、扁球形があり、花はピンクがかって果実もピンク色を帯びています。
自生地が温暖の差が少ない地域なので、耐寒性が弱く3~5℃を保つ必要があります。
彩雲(サイウン) | Melocactus intortus |
賞雲(ショウウン) | Melocactus violaceus |
ロベリー | Melocactus curvispinus ssp. lobelii |
姫雲(ヒメグモ) | Melocactus concinnus |
光雲(コウウン) | Melocactus communis |
層雲(ソウウン) | Melocactus amoenus |
赫雲(カクウン) | |
巻雲(ケンウン) | Melocactus neryi |
マタンサヌス | Melocactus matanzanus |
厳雲(ゲンウン) | Melocactus glaucescens |
サルバドレンシス | Melocactus salvadorensis |
マミラリア属(Mammillaria)
桜月 | 銀手毬 | 金手毬 |
詳しい種類は→マミラリア属のページへ
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育て方のポイント
ここでは、狭義の花サボテン(トリコセレウス連)の育て方を解説します。パロディア、メロカクタス、マミラリア属の育て方については、個別ページを参照ください。
パロディア属(旧ノトカクタス属)の育て方(作成中)
メロカクタス属の育て方(作成中)
マミラリア属の育て方
水やり
サボテンは水やりがいらないと思われがちですが、花サボテンを育てるためには生育期のしっかりした水やりでよく生育させることが大切です。この時期しっかり生育させ、冬の断水に耐えられるよう株を強くします。また季節に応じて必要な水やり量が異なります。
しっかりした水やりといっても毎日与えてよいのではなく、一番多いとき(生育期)でも1週間に1回程度で鉢が完全に乾いてから3~4日は待ってから与えます。
具体的な目安
目安は3~6月は生育期で1週間に1回程度たっぷり与え、暑さで生育の鈍る7~8月はやや控えめにします。9~10月は再び生育期のためたっぷり与えます。休眠期に向けて11月は控え始め、休眠中の12~2月は表面を濡らす程度を月に1回か、霧吹きで水を与える程度にします。
花サボテンの花芽をつけ花を咲かせるためには、このようなメリハリをもった水やりが大切です。
また夏は水やり後に強い日差しが照りつけると水が高温になって根を傷めるので、夕方か夜に行います。
置き場
年間を通して雨の当たらない風通しのよい所に置きましょう。春・秋・冬はしっかり日に当てることが大切です。
しかし夏は直射日光だと少し強すぎるので30%程度の遮光ネットをかけるか半日陰に置きます。耐寒性は種類によって少し異なり、それぞれの越冬温度に合わせて室内などに取り込むことが必要です。
具体的な目安
3~6月上旬は直射日光の当たる屋外に置き、しっかり光合成させます。6月中旬(梅雨空け頃)~9月は日差しが強すぎて日焼けしてしまう心配があるので明るい日陰か30%遮光ネットを張った環境に置きます。10~11月は再び直射日光のあたる屋外に置き、12~2月は最低越冬温度を下回ったら日当たりの良い窓辺に取り込みます。
耐暑性と最高気温・夏越しの方法
耐暑性や耐えられる最高温度は種類によります。そこで全般的な注意点を掲載します。
サボテンは暑さに強いと思われがちですが、確かにそうで気温30℃~40℃を耐えます。しかし自生地では昼は40℃以上に上がるものの夜は一変して15℃など冷え込みます。そのため日本の熱帯夜(25℃を下回らない)は実は苦手です。
そのため暑さがピークの7~8月は生育がやや鈍くなります。この時期水やりを春秋より控えるのはそのためです。
夏の熱帯夜で生育が鈍くなるのは冷房が無い限り避けられません。そのため春と秋に簡易ビニール温室などで昼間の温度を30~40℃に保ち夜、冷え込むのを利用してこの期間によく生育させる方法がとられます。
また夏の6月中旬から9月までは遮光ネットをかけて過ごさせますが、その場合通気が悪くならないように注意する必要があります。
越冬最低温度と冬越し方法
耐寒温度は種類によって異なりますが、概ね0~3℃を耐えるものが多いようです。(下の一覧を参照)
まず第一にそれぞれの最低越冬温度を下回ったら室内などに退避させます。どのグループも0℃以下は耐えられないので、室内に入れ忘れて凍結させないように気をつけましょう。ディスコカクタス、メロカクタスは暖かい地域に自生する種類のため、特に寒さに弱いです。
花芽を付けさせるため、冬の間は水やりを控えますが、水やりを控えると耐寒性が上がるというメリットもあります。また花を咲かせるには冬場は適度に寒さと乾燥にさらす必要があるので、過保護に室内に取り込むのは避けた方がよいですね。
トリコセレウス連の属
- エキノプシス属 0℃
- ロビビア属 3℃
- ディスコカクタス属 5~8℃
- ハリシア属 不明
- エスポストア属 0℃
- ギムノカリキウム属 3℃
- レブチア属 不明
- エキノケレウス属 0℃
トリコセレウス連以外の属
- パロディア属、旧ノトカクタス属 0℃
- メロカクタス属 3~5℃
- マミラリア属 0~3℃
室内での注意点
室内では日光がとても弱いです。そのためできるだけ明るい窓辺に置くようにします。室内では暖房のかけ過ぎに気をつけ、極端に乾燥させないよう、時々霧吹きで水をかけます。
また冬の間、窓の無い(日光の入らない)さらに暖かい部屋に置いておくと、徒長してしまう(ひょろ長くなります)ので気をつけましょう。
増やし方
花サボテンは種まき、株分けで増やすことができます。それぞれ適切な時期があるので、時期を逃さないようにすみやかに取りかかりましょう。
株分け・子株取り
群生するものは株分け、子株が出るものは子株取りで増やすことができます。適期は4~5月です。4月にならないと充分暖かくなりませんし、6月は梅雨時で腐りやすいので避けたほうがよいです。暖地・関東では4月に、寒冷地では5月に行うとよいでしょう。
株分けは植え替えと同時に行う場合も多いです。
子株取りは適期に子株を取り外す、またはナイフで親から切り離し、挿し木の形で発根させます。いずれも小さすぎる子は発根までにシナシナになってしまうので、ある程度大きくなってから親株と離すようにします。
種まき(実生)
また花サボテンは種まき(実生)でも殖やすことができます。種まきの適期は25~30℃を保てる5月下旬から6月で、最初腰水(底面吸水)する方式をとります。
種まきからの繁殖は手間がかかり、また開花球(花が咲く年齢に達する)になるまで時間がかかるデメリットがあり、管理が難しいなど問題もありますが、一度にたくさんの株を得ることができます。
サボテンの種まきからの育て方は別ページにまとめています。
サボテンの種まき方法
植え替え
植え替えは概ね3~9月まで行えますが、最適なのは4~5月と9月頃です。7~8月は暑さで株が弱るので避けたほうがよく、3月は寒すぎるので4月に入ってからのほうがよいです。6月は梅雨時で腐りやすいので避けます。
植え替え作業は順調に生育し花を付けるためにも重要です。植え替えには鉢を大きくする、土を新しくして通気をよくする、根詰まりを解消する、ネマトーダや根ジラミなど害虫を見つけるなどの作用がありとても大切です。
植え替えの手順
株を抜いたら古い土を落とし、そのとき茶色い枯れた根などを取り除き新しい土に植え付けます。もし、根腐れしている(根が赤茶色になっている)ようであれば、土を全部落として根を丸出しにし、枯れた根を切り落として生きた根だけを残します。
もし根に白い粉状の虫がついていれば根ジラミなので丁寧に水で洗い流すか、その部分を切り捨てます。その後日陰で数日乾燥させてから土に植え付けます。
土と鉢
花サボテンは色々な種類があるので、サボテンに共通していえることについて解説します。
基本的に土は水はけがよく通気性があり、適度に保水性があるものを使います。水はけがよい土は水をやったときに、鉢底からざーっと水が抜け出ることで、保水性は与えた水が適度に鉢内にとどまることです。通気性は団粒構造(粒)の土の間に細かい隙間があり、空気が良く通ることです。
サボテンとはいえ、根が吸収する暇がないくらいすぐに水が抜けると困るので、適度に保水性がある土がよいのです。また粉状になってしまった土(みじん)は通気性を悪くするので取り除いてから使うようにします。
土はホームセンターやネット通販アマゾンなどでサボテン・多肉植物用の土を購入すると手軽です。その場合、あまり細かすぎないもの、袋にカビや水滴がついていないもの、軽すぎないものなどのポイントをチェックすると良いと思います。
土を配合する場合
土は自分で配合する派の方もいらっしゃると思います。その場合は赤玉土、鹿沼土、ピートモス、パーライト、バーミキュライト、川砂、くん炭などをできれば3種類以上混ぜて使うとよいです。
土には鹿沼土(微酸性)、ピートモス(弱酸性)、くん炭(強めのアルカリ性)など、pH(酸性度)が偏っているものがあるので、性質を中和するためには、単用(1種類のみ)ではなく、複数混ぜるほうがよいです。
自分でブレンドする場合も、みじん(粉)は取り除いた方が望ましいです。
鉢の種類
植物を鉢植えするとき、鉢の選定は重要ですが、サボテンの場合、特に鉢のサイズ・素材が生育に影響してきます。まず鉢の種類ですが、プラスチックで黒い鉢が適しています。
サボテンは根を温めることが重要ですが、プラスチック製の黒い鉢はそれに一番適しています。陶器の鉢(特に素焼き鉢)は、水やり後に気化熱で鉢を冷やす効果があるので、あまりおすすめできません。
次にサイズですが、鉢はその株がすっぽり入って鉢と株の間に指1本くらい入るぐらいのサイズが最適です。大きすぎる鉢は水が底に溜まって過湿になり、小さすぎる鉢は成長できないので、例えば7cmの直径のサボテンであれば9cm程度のものがよいです(3号鉢)。
サボテンは植え替えで育てるという言葉があるように、ちょうど良い鉢に植えてこまめに一回り大きい鉢に植え替えていくのが一番よい栽培方法です。
肥料
一般的に、玉サボテンは成長速度が遅く、たくさんの肥料を必要としません。原生地では高山の1,000~3,000メートル辺りの岩場に生えていることが多いので、栄養素が豊富だとは到底考えられません。
しかし地植えになっているサボテンには自然界から、ミネラル分や微量の栄養が流れ込んできますが、鉢植えにしているサボテンは鉢底から抜け出てしまう一方です。そのため鉢植えにしているサボテンには、肥料や微量要素を与える必要があります。
そこで植え替え時に元肥として、緩効性化成肥料をひとつまみからふたつまみほど加えるか、生育期(特に4~5月)に希釈した液体肥料を与えます。このとき施肥はどちらか一方でよく、元肥を入れた株に追肥は不要です。
肥料の他、ミネラルやビタミンなど微量要素を活力剤で与えてもよいでしょう。
病害虫
乾燥気味に育てるのでハダニが付く場合があります。ハダニはサボテンの汁を吸いサボテンを弱らせます。またカイガラムシが発生することがあります。特に花座ができるタイプはその下にカイガラムシがつきやすくなります。これも吸汁してサボテンを弱らせます。
また根ジラミやネマトーダといった害虫も生育を悪くするので、特に購入したての株が感染していないか調べることは重要です。
害虫は殺虫剤で駆除したり見つけ次第捕殺しますが、ハダニは殺ダニ剤というダニ専用の薬剤が必要になります。
病気ではフザリウム菌による赤腐れ病、カイガラムシが原因で起こるスス病などが起こることがあるので、根腐れを放置せず害虫の駆除をマメに行います。
また、病気ではありませんが、6~9月は強い日差しに当てて株の表面が焼ける日焼けに注意しましょう。
花サボテンによくあるトラブル
- 翌年から花が咲かない・・・買ったときは花が咲いていたのに翌年から花が咲かない場合は、管理の仕方に問題があります。冬の間水やりを多くしていないか、しっかり日に当てているか、適度な温度にさらしているかを確認してみましょう。
- 一度も咲かない・・・開花年齢に達するまである程度の年数がかかります。そのため気長に栽培することが大切です。
- どのくらい水やりを減らして良いのか・・・エキノプシス属やエキノケレウスなどは丈夫で断水ができますが、ロビビア、レブチアなどはそれほど強健種ではないので月1回程度水やりします。
- どのくらいの寒さに当てて良いのか・・・エキノプシス属やエキノケレウスなどは丈夫で0℃を耐えます、ロビビア、レブチアなどはそれほど強くなく3℃~5℃以上を保ちます。