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ギムノカリキウム属の種類・特徴と育て方

ギムノカリキウム属の写真

ギムノカリキウム属 花サボテン麗蛇丸(レイジャマル) 勇将丸勇将丸 緋牡丹
ギムノカリキウム 麗蛇丸の開花麗蛇丸の開花
ギムノカリキウム 天平丸(テンペイマル)天平丸(テンペイマル) ギムノカリキウム 新天地(シンテンチ)新天地(シンテンチ) ギムノカリキウム 怪竜丸(カイリュウマル)怪竜丸(カイリュウマル)
ギムノカリキウム 海王丸(カイオウマル)海王丸(カイオウマル)

※3~4段目の写真はWikipediaより引用しています。

ギムノカリキウム属(Gymnocalycium)の特徴

サボテン科
ギムノカリキウム属
生育型 夏型
育てやすさ 育てやすい
成長速度 普通
増やし方 種まき
原産地 南米

※4段階評価
育てやすい–普通–やや難しい–難しい
成長が早い–普通–遅い–とても遅い

ギムノカリキウム属はこんなサボテン
ギムノカリキウムとは?
南米(アルゼンチン・ブラジル・ボリビアなど)に70種類程度が知られているサボテンです。直径数センチから大きくても30cmと割と小柄の種類が多いです。緑色が基調のものが多いですが、斑入り種では赤やクリーム色が混ざることがあります。鋭く大きな棘を持つものも多いです。春から秋までよく開花して白やピンクの花を楽しめます。太い根に水分を蓄える特徴があります。

緋牡丹とは
ギムノカリキウムの一つで赤の斑入り種を日本で改良して作出した品種です。通常のサボテンは緑色をしていますが、緋牡丹は鮮やかな赤色や黄色をしています。それは葉緑素がないためで、自力では生存することができません。そのため接ぎ木という形で栄養や水分を補給してもらっています。台木の種類によっては寒さに弱くなるため、冬場は室内で管理します。

種類紹介
ギムノカリキウム属の代表種「海王丸」は稜がこぶのように突起し、だんだんと稜が増えていきます。花は白色の6~7cmもの大輪を咲かせます。標高1000~3500mの砂利や岩の多い所に生息しています。緋花玉は花が美しいことから花サボテンともいわれ、赤い花が体を覆うようにたくさん咲きます。光琳玉は長い棘が発達しており尖ったものやねじれたものなど変異が多いです。春から初夏にピンク色の花を咲かせます。標高2000~3000mの乾燥地帯に生息しています。その他、新天地錦、翠晃冠錦、緋牡丹錦、光琳錦と美しい斑入り種もあります。

育て方
育てるのは割と簡単なほうです。寒さにやや弱いので5℃を切ったら室内に取り込みましょう。他の種類より早めに休眠を終えるので植え替えなどを早めに行います。草原地帯に生えているものと高山に生えているものの2系統があります。草原地帯に生えているものは夏の暑さに対応するものの、強い日差しにも弱く3~11月の比較的長期間の遮光が必要です。高山に生えているものは強い紫外線にも耐えられますが湿度は苦手です。自生地にあった育て方をしていくことが大切です。

育て方のコツ

  • サボテンだが湿度は好み、生育期にはたっぷり水を与える
  • 強い日差しを避け夏は明るい日陰に
  • 寒さに弱いので3~5℃を切ったら室内や温室に
  • 一年を通して雨ざらしにしないようにする

年間栽培カレンダー

生育型 夏型
生育期 3~6月と9~10月
休眠期 11~2月
緩慢な時期 7~8月
水やり
  • 3~5月は土が乾いたら鉢底から流れるまで
  • 6月は梅雨時で控えめに
  • 7~9月は土が乾いたら3~4日経ってから与える
  • 9~10月の暖かいうちは春なみに
  • 11~2月は断水までは行かず、月に2回ほど軽い水やり
置き場所
  • 年間を通して雨の当たらない風通しのよい所に
  • 3~11月はまで明るい日陰に置くか30%~50%遮光をする
  • 12~2月は雨の当たらない屋外、3℃以下の場合は日当たりの良い窓辺に
植え替え
  • 3~9月頃が適期
増やす
  • 3~8月頃に挿し木、接ぎ木、4~8月に種まきが行える
肥料
  • 植え付け時に緩効性肥料、3~6月、9~10月頃に月2回液肥を与える
開花
  • 3~8月頃まで白やピンクの花を開花

主な種類名

緋牡丹錦(ヒボタンニシキ) Gymnocalycium mihanovichii var.friedrichii f.variegata
緋花玉(ヒカダマ) Gymnocalycium baldianum
海王丸(カイオウマル) Gymnocalycium denudatum cv.
火星丸(カセイマル) Gymnocalycium calochlorum
牡丹玉(ボタンギョク) Gymnocalycium friedrichii
翠晃冠錦(スイコウカンニシキ) Gymnocalycium anisitsii f.variegata
鳳頭(ホウガシラ) Gymnocalycium asterium
怪竜丸(カイリュウマル) Gymnocalycium bodenbenderianum f.
麗蛇丸(レイジャマル) Gymnocalycium damsii
良寛(リョウカン) Gymnocalycium chiquitanum
応天門(オウテンモン) Gymnocalycium castellanosii subsp.ferocior
天平丸(テンペイマル) Gymnocalycium spegazzinii
魔天竜(マテンリュウ) Gymnocalycium mazanense
光琳玉(コウリンギョク) Gymnocalycium spegazzinii subsp. cardenasianum
新天地錦(シンテンチニシキ) Gymnocalycium saglionis variegated
ヒボプレルム・フェロシオール Gymnocalycium hybopleurum var. ferosior
多花玉(タカダマ) Gymnocalycium multiflorum
バリスピナム Gymnocalycium ochoterenae
守殿玉(シュデンギョク) Gymnocalycium ochoterenae
金環食(キンカンショク) Gymnocalycium pallida
蛇紋玉(ダモンギョク) Gymnocalycium paraguayense f. fleischerianum
大祥冠 Gymnocalycium poselgeriana
バッテリー Gymnocalycium vatteri

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育て方のポイント

水やり

水やり
サボテンはあまり水が要らないように思われますが、元気に生育させるためには生育期のしっかりした水やりが必要です。水やりが少なくても枯れませんが、成長速度が遅くなります。生育期は春、夏、秋で冬以外は速度は異なりますが生育します。

土が乾いてから与えるのが大原則で、梅雨時など鉢の乾きが遅いときは無理に与えません。また与えるタイミングにも注意が必要で、暑い季節は涼しい夕方に、寒い時期はこれから暖かくなる朝~午前中が適切です。

目安
3~5月は土が乾いたら鉢底から流れるまで与えます。6月は梅雨時で土の乾きが遅いため控えめに行います。7~9月は春と同様の管理で、土が乾いたら3~4日経ってから与えるようにしましょう。9~10月の暖かいうちは春なみに行い、11~2月は断水までは行かず月に2回ほど軽い水やりしたほうが花付きがよくなります。

実生株
実生株(種まきから育てている株)の1~2年以内は体が小さく乾燥に弱いです。そのため成株とは異なる水やり方法をとります。特に1年目は乾燥に弱く夏でも冬でも土が乾いたら水を与えます。一度カラカラにすると枯れて再生しないので、水切れしないように注意して観察します。2年目はやや乾燥に強くなっていますが、まだまだ大きな株に比べると保水力がありません。そのため断水などをせず、乾いたら水やりをするようにします。

置き場

置き場
種類により異なる
年間を通して雨の当たらない風通しのよい所に置きましょう。日光に対する強さは種類によって異なります。そのため強いものは無遮光~20%程度の遮光で、弱いものは概ね3~11月はまで明るい日陰に置くか30%~50%遮光シートをかけます。天平丸、光琳玉は日差しを好み、牡丹玉や翠晃冠、海王丸などは遮光が必要です。またそれとは別に錦(斑入り種)は日差しに弱いので通常の種類より遮光を強くします。

寒さにはあまり強くありません。12~2月は3℃以下にならなければ、雨の当たらない屋外に置けますが、そうでない場合は日当たりの良い窓辺に取り込みましょう。

あまり過保護に遮光して日照不足になると棘が出なかったり間延び(徒長)したり、花が付かなかったりします。夏でも午前中は日に当てたほうがよいでしょう。

耐暑性と最高気温・夏越しの方法

夏越しサボテンの中では夏の暑さが苦手なほうです。また弱い光を好み3~11月まで遮光が必要なものがあります。高温多湿の日本の夏は厳しくなるべく涼しく過ごさせるようにします。温度を上げすぎると噴火したような傷(南米病)を作ることがあります。

サボテンの栽培には昼夜の温度差が必要です。昼間は25~40℃まで上がりますが、夜は一変して15℃に下がるような環境で生息しています。そのため熱帯夜(夜の最低気温が25℃を下回らない)はとても苦手な環境です。

越冬最低温度と冬越し方法

冬越し最低越冬温度は5℃と寒さに弱いです。そのため5℃を切ったら室内に取り込むようにしましょう。

室内で育てる場合は、なるべく長時間日が当たる所に置き、1週間に1回程度鉢の向きを反対に回しまんべんなく日が当たるようにします。寒冷地や北海道では夜間の窓辺は寒いですので、室内の中央に寄せるなど工夫が必要です。

増やし方(種まき)

殖やし方ギムノカリキウム属は主に種まきで繁殖することができます。子株が出にくいので、種まきで増やすことが多いようです。ここで種まきから殖やすことを実生(みしょう)といいます。時期は25~30℃が保てる5~6月に蒔くのが一般的です。

実生はわりと簡単なほうです。その中でもタネが採りやすい種類には緋花玉、竜頭、海王丸、新天地、天平丸などがあります。種まきには2つの苗が必要で、挿し木でたくさん殖やした子どうしでは難しく、別々の親株が必要です。

種の採取
開花した日の翌日13時ごろ、おしべをピンセットで挟み別の株のめしべに付けます。1ヶ月ほどして果実が熟したら取り出して洗って乾かし、1ヶ月ほど冷蔵庫に入れてから種まきします。

種まき(実生)
土はタネまき用土やさし芽用土などの市販品を使うほか、バーミキュライトの単体や赤玉土、日向土の単体などを使うこともできます。土のサイズは細粒のもので肥料分が入っていないものを選びます。(肥料が入っているとコケや藻が生えやすくなってしまいます。)種まきでは水分が多い環境のためカビや雑菌が出やすいので、新品の土を使います。念のため新品の土に熱湯消毒などをしてから用います。また蒔くタネも消毒が必要で、皿の上などに種を入れオーソサイドやベンレートなどをまぶしておきます。

種まきでは種が流れてしまうため、上からじょうろなどで水をやることができません。そのため土を入れた鉢をさらに大きな水を張った容器に浸けて底面給水させます。これを腰水といいます。土に充分水が行き渡ってから種を蒔きます。このとき覆土(土をかぶせる)はしません。種を撒き終わったら鉢をラップで覆い湿度を保ちます。その後直射日光下ではなく、半日陰の環境に置きます。早いと1週間、遅くても1ヶ月以内に発芽が揃うので、発芽が始まったらラップにプチプチ穴を空けて通気をはかります。同時に腰水も終了します。その後は半日陰で育てつつ、時々ハイポネックスをスプレーして肥料分を補います。半年後に1回目の植え替えを行います。

サボテンの種まきについては別ページで解説しています。
サボテンの種まき方法

植え替え

ギムノカリキウム属では植え替えがとても大切です。植え替えを怠ったり細かい用土をつかったりすると、空気の通り道が遮られて根腐れしたり栄養吸収も悪く花がつかないことがあります。

小苗(実生から1~2年)は年に2回、中苗(実生から3~4年)は年に1回、それ以上では2~3年に1回の植え替えが必要です。1年の1回の場合は休眠から目覚めて生育期に入る頃に(3~4月)行いますが、1年に2回行う場合は3~4月の春の植え替えと、9月に植え替えます。

植え替えは3~8月にできますが、一番良いのは3~4月です。開花時期と重なりますが、その間に植え替えて問題ありません。
株を掘り起こして根腐れを発見した場合、根は赤茶色や黒っぽくなっていますので、そこは切り落とします。赤い部分がなくなってからも1cmは余裕をもって切り取り、株に腐れが移らないようにします。1週間程度半日陰において断面を乾かし、清潔な用土に挿します。半日陰で管理していると2週間程度で発根してきますので、徐々に普通の管理や置き場所に戻してきます。

土と鉢

土
基本
土には他のサボテンと同じように水はけがよく適度な水持ちがあり、通気性がよく肥料分の少ないものを選びます。水はけは水を与えた時に鉢底からさーっと抜けることで、水持ちは水を土にとどめておくことです。通気性は土の粒の間に細かい余白があり、空気が通ることです。サボテンの根から水を吸収するまもなく水が全部抜けてしまったら困ります。そこで水はけはよいけれど、適度に保水性ものある土がよいのです。

種まき用土のような細かい土や砂だけでできた用土は避け、みじん(粉状になった土)は取り除いてから使うようにします。

土の酸性度pHは、原生地の土壌によって異なりますが、中性に近いものを使えば他のサボテンとも共用できて便利です。市販の土はそれほど酸性・アルカリ性に偏った土は売っていませんが、土を購入する時ラベルなどをみて参考にするとよいでしょう。

土の配合
土にはこだわりがあり、自分で配合したい方もいらっしゃると思います。その場合、赤玉土、鹿沼土、ピートモス、パーライト、バーミキュライト、川砂、くん炭などが適しています。通常この中で3~5種類を混ぜ合わせて作ります。配合目安としては以下のようなものが考えられます。ここで注意点があり、土は性質が異なります。鹿沼土は微酸性で、ピートモスは酸性、くん炭は強めのアルカリ性です。複数種類を混ぜることで、性質を調節することができます。

(例1)赤玉土6:日向土2:川砂1:ピートモス1
(例2)赤玉土6:ピートモス3:くん炭1

市販品、配合土どちらを使うにしても、使う前にみじんを取り除いてから使いましょう。

鉢の種類
植物を鉢植えするとき、鉢の選定は重要ですが、サボテンの場合、特に鉢のサイズ・素材が生育に影響してきます。まず鉢の種類ですが、プラスチックで黒い鉢が適しています。サボテンは根を温めることが重要ですが、プラスチック製の黒い鉢はそれに一番適しています。

次にサイズですが、鉢はその株がすっぽり入って鉢と株の間に指1本くらい入るぐらいのサイズが最適です。大きすぎる鉢は過湿になり、小さすぎる鉢は生長できないので、例えば7cmの直径のサボテンであれば9cm程度のものがよいです(3号鉢)。サボテンは植え替えで育てるという言葉があるように、ちょうど良い鉢に植えてこまめに一回り大きい鉢に植え替えていくのが一番よい栽培方法です。

肥料

肥料玉サボテンは柱サボテンやウチワサボテンより生育がゆっくりなので、肥料もそれほど多くは必要としません。しかし鉢植えだとどうしても肥料分は流れていきますし、微量要素といった肥料以外の無機質も必要です。

そこで植え替え時に用土にマグアンプKなどの緩効性肥料を混ぜて元肥とします。また肥料が切れてきた場合は追肥として4~7月と9~10月はハイポネックスなどの液肥を月1回程度与えます。その他活力剤などを使ってもよいですが、ハイポネックスには肥料の3要素と植物に必要な15種類の微量要素が入っていて、ミネラル分も補うことができ便利です。

病害虫

病害虫
害虫
球体にはカイガラムシが付きやすく、ハダニが発生する場合があります。花はナメクジに食べられることがあるので、鉢を地面に直置きするのは避けましょう。根には根ジラミネマトーダが発生することがありので、生育が悪く感じられたら鉢から抜き取って根を点検します。根ジラミでは白い粉のような虫が発見でき、ネマトーダでは根がコブのようになっています。

害虫は3月から夏を中心に発生しやすいので、3月、7月、9月頃に殺虫剤を散布しておきます。またハダニは通常の殺虫剤は効かないので殺ダニ剤を別に散布します。

病気
生育の悪い苗は根腐れしている可能性があります。その場合は抜いてみて根を切り腐っているところを外します。このとき切り口をよく見て赤くなっているところは切り捨てます。根を切っているので1週間ほど乾かしてそれから清潔な土に植え直します。植え直した後は半日陰に置いておくと発根するので、だんだんと元の置き場に戻します。

棘が大きいものには棘にカビが生えることがあります。棘の根元にはスス病や黒斑病などカビが原因の病気が出ることがあるので、休眠期には乾かし気味に育てて予防するか、生育期では殺菌剤(ベンレートなど)を撒いて予防します。

開花

開花は4月から9月まで長い期間、数回開花します。1つの花の寿命は3日以下ですが、緋牡丹錦などは11月まで咲き続けます。花が付かない原因には、植え替え不足、日光不足が考えられます。

属ごと(サボテン科)
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