多肉植物の「セネシオ(セネキオ)」について種類や育て方(生育型ごとの水やり、置き場所、夏越し、冬越し、増やし方など)を解説しています。
目次
セネシオ属の写真
大型銀月 | グリーンネックレス | ドルフィンネックレス |
グリーンネックレス斑入り | エンジェルティアーズ | 白寿楽 |
銀月 | 京童子 | 青涼刀 |
美空鉾 | 万宝 | ハリアヌス |
マサイの矢尻 | ヤコブセニー |
※セネシオはセネキオとも呼ばれます。
基本情報
科 | キク科 |
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属 | セネシオ属(Senecio) |
生育型 | 春秋型・夏型・冬型 |
育てやすさ | 普通~やや難しい |
成長速度 | 普通 |
増やし方 | 葉挿し×、挿し木〇、株分け〇 |
耐寒性 | 種類により普通~やや弱い |
耐暑性 | 種類によりやや弱い~弱い |
耐寒温度 | 種類により3~5℃ |
実測温度 | 0℃~40℃ |
原産地 | アフリカ、メキシコ、インド、マダガスカル、カナリア諸島など |
※4段階評価
育てやすい–普通–やや難しい–難しい
成長が早い–普通–遅い–とても遅い
耐寒性-強い・普通・やや弱い・弱い
耐暑性-強い・普通・やや弱い・弱い
※耐寒温度は水やりを控えた場合の目安値(書籍などによる推奨値)で、状況によりこれより狭くなることがあります。
※実測値は半日陰の場合で直射日光下ではこれより低くなります。
特徴
エケベリアやハオルチアなどは、種類が違ってもなんとなく一目でそれと分かり統一感があります。それはある程度原産地が限られるためですね。セネシオは南極大陸以外の世界中全大陸に分布しており、その数は1,500とも2,000とも言われています。(その中で多肉化したものは限られます。)グリーンネックレスが南アフリカのナミビア原産、ケープアイビーが南アフリカ原産など、アフリカ・マダガスカル・カナリア諸島・インドなど、乾燥地帯に生育しています。そのため、それぞれ葉の形や生育する姿、色や特徴が異なり、一つの属と思えないほど多様です。
夏が苦手な種類も
セネシオ属には夏の苦手な種類があります。銀月、大型銀月、グリーンネックレス、万宝・マサイの矢尻など。いずれも高温多湿によるもので、銀月は葉を落としたり茎を腐らせたり、グリーンネックレスは根腐れを起こしたり、万宝・マサイの矢尻は葉を全部落としてしまったりなど、関東以南の35℃以上の環境が厳しいようです。対策方法は温度を30℃以上に上げないことですが、日本の夏にはそれは難しく、かといって室内の冷房の効いた部屋に入れても、通風不足で蒸れて枯れてしまったりします。
生育型が分かれる
原産地が複数地域に渡るため、その気候に合わせて日本では春秋型、夏型、冬型の型に分けて育てます。といっても四季を通しての育て方(水やり、置き場所、遮光など)には差はなく、全部同じ扱いができます。またどの生育型も春・秋によく生育し真夏・真冬は生育を休む共通点をもちます。差を感じるのは増やすときでしょうか。冬型の種類は10~20℃の時に根が出やすく、春秋型、夏型の種類は15~25℃程度の時に根が出やすい印象を受けます。
育て方のコツ
- 分布が広く、1属の中でも種類がさまざまある
- 基本的に生育期は日に良く当て水もたっぷり与える
- 極度の乾燥を嫌うので根をカラカラに乾かさないようにする
- 生育型が3つに分かれるものの、水やりなど管理はほとんど同じでよい
- 冬は3~5℃を切ったら室内に入れる
やや繊細なのが育てにくさの原因
セネシオ属は性質がやや繊細で育てるのがやや難しく、夏越しや水やりの量、日光量などに気を配らないと枯れてしまうものがあります。全体的に根が強い乾燥に弱く、カラカラになってから水やりというより、その少し前に与えます。また挿し木をする時は、そのまま発根を待つのではなく、少し湿った用土に挿すほうが根が出やすいです。
ネックレス系などインテリアに最適な種類もありますが、室内では日光不足や通気不足などが起きやすく、屋外の栽培のほうが難易度が低くなります。
年間栽培カレンダー(共通)
生育型 | 春秋型・夏型・冬型 |
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生育期 | 3~5月と9~11月 |
休眠期 | 1~2月、7~8月 |
緩慢な時期 | 6月、12月頃 |
水やり |
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置き場所 |
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植え替え |
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増やす |
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肥料 |
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開花 |
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※栽培カレンダーはあくまでも目安です。実際は土や鉢の種類、地域によって大きく異なります。この表は福岡県平野部で多肉植物用の棚を使って育てている場合の情報です。お住まいの地域や使っている土、置き場所によって適宜読み替えて下さい。
主な種類名
大型銀月 (オオガタギンゲツ) | Senecio talonoides |
銀月 (ギンゲツ) | Senecio haworthii |
京童子 (キョウドウジ) | Senecio herreanus |
グリーンネックレス | Senecio rowleyanus |
グリーンネックレス斑入り | Senecio rowleyanus variegated |
ケープアイビー | Senecio macroglossus |
七宝樹 (シッポウジュ) | Senecio articulatus |
七宝樹錦 (シッポウジュニシキ) | Senecio articulatus f.variegata |
新月 (シンゲツ) | Senecio scaposus |
青涼刀 (セイリョウトウ) | Senecio ficoides |
ドルフィンネックレス | |
万宝 (バンポウ) | Senecio serpens |
マサイの矢尻 (マサイノヤジリ) | Senecio kleiniiformis |
美空鉾 (ミソラホコ) | Senecio antandroi |
ヤコブセニー | Senecio jacobsenii |
ハリアヌス | Senecio hallianus |
鉄錫杖 (テツシャクジョウ) | Senecio stapeliformis |
ヘブディンギー | Senecio hebdingii |
白寿楽 (ハクジュラク) | Senecio citriformis |
夏型セネシオの例
- 京童子
- ケープアイビー
- マサイの矢尻
- 鉄錫杖
春秋型セネシオの例
- 万宝
- 七宝樹
- グリーンネックレス
- エンジェルティアーズ
- 美空鉾
- ヤコブセニー
- 青涼刀
冬型セネシオの例
- 銀月・大型銀月
- 新月
- ハリアヌス
- 白寿楽
- (オトンナ属 紫月)
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育て方のポイント
セネシオ(セネキオ)は根腐れしやすい、夏に弱いなど多肉植物の中ではやや難易度が高い印象です。また夏だけでなく冬の寒さにもやや弱いため、エケベリアなどと比べるとやや育てにくいグループだと感じます。ですが、その分やりがいがありますし、種類も色々あるためぜひチャレンジしていただきたいです。
水やり
多肉植物のセネシオは保水性が強く、1週間水やりをしないぐらいはなんともありません。むしろ水やりのしすぎで根腐れを起こしやすいので、水やりは慎重に行います。
土が乾かないうちに次の水やりをしてしまうと、根腐れを起こしてしまいがちな一方、カラカラの状態を続けると乾燥で弱ってしまうことがあるので、最初は水やりのコツを掴むのがやや大変かと思います。
基本的な水やり
生育型により若干違う点もありますが、基本的にはどの型も穏やかな気候に成長します。生育期は水をたっぷり与え、休眠期にはほとんど水をやらないのが基本です。大切なのは土が乾いてから水やりをすることで、土が乾いていなければ無理に与えないようにします。
季節ごとの水やりの目安
生育期(3~5月、9~11月)
どの生育型の種類も3~5月、9~11月は1週間に1回程度、鉢底から水が出るまで与えます。この時期は水やりを減らすと充分に育たなくなるので、葉にシワが寄らないようにしっかり与えます。
梅雨・秋雨の時期
6月の梅雨時や秋雨の時期は多湿で土が乾きにくくなっているため、生育期より頻度と量を減らします。そこで10日~2週間に1回程度にします。土が乾いていなければ無理に与えないでください。
半休眠時の水やり(7~8月)
月に2回程度、鉢の深さの半分が湿るぐらいの量を与えます。この時期は暑さのため生育が鈍くなっていますし、土に水気が多い状態が続くと日中に根が煮えて根腐れ、茎腐れを起こしやすいです。水やりはできるだけ涼しい日に、夕方から夜間に行い1回の量も減らします。
休眠時の水やり(12~2月)
この時期は寒さで生育が止まっているので、春秋型・夏型はほとんど水やりが必要ありません。月1~2回程度、鉢内を軽く湿らせる程度にします。冬型も若干生育が鈍くなっているため、鉢の深さ半分が湿るぐらいを月2回程度与えます。
できるだけ暖かい日の暖かい時間帯(午前中~昼間)にごく少量を与えます。また5℃以下の日が続く時は冷害を避けるため水を与えないようにします。
その他の注意点
与えるタイミング
冬と夏は水やり時間のタイミングに注意しましょう。夏は涼しくなった夕方に、冬はこれから暖かくなる朝に与えるようにします。凍るような寒い日や35℃を超えるように時は無理に水やりはしません。水をやる時は葉にかけるのではなく、根元に注ぐようにします。
土が乾いたどうかは、鉢を持ち上げてみて軽くなっていることや、竹串などを刺しておき先が湿っているか確かめる、鉢底の石が濡れているかなどで判断することができます。
植物は体内の水分が少ないほうが、暑さ寒さに強くなる傾向があるため、7~8月や1~2月の寒さ暑さの厳しい時は水やりを減らした方が安全に夏越し、冬越しができます。
冬に室内で育てている場合
北海道や東北地方など寒冷地では、寒さに弱いセネシオを室内にずっと入れっぱなしになることと思います。その場合、置き場所が暖かいと生育が止まらず水を吸い上げ土も乾きます。
この場合どのぐらい水をやればよいのか迷う所ですが、植物育成ライトなどでしっかり日照が確保できている場合は、頻度多めに水やりして大丈夫です。逆に暗い部屋に置く場合は、徒長を防ぐためになるべく水やりを控える必要があります。
置き場所
セネシオを日本の環境で育てるためには置き場所の工夫が必要です。また置き場所に関しては、春秋型も夏型、冬型もあまり違いはないように思います。
夏型だからといって日差しに強いわけではありませんし、冬型だからといって寒さに強い訳ではありません。またグリーンネックレス錦など、斑入り種は強い光や暑さに弱いので、春や秋も直射日光に当てない方が安全です。
日本は降水量が多いため、一年を通して雨の当たらない所に置くようにします。また風通しのよい屋外に置くのが基本です。もし室内に置く場合は、春・夏・秋は扇風機等による送風が必須です。
特に夏の暑さで腐ったり葉落ちする銀月などは室内の冷房の効いたところに避難させざるを得ないことがありますが、その場合無風の状態だと突然腐ってバラバラになることがあるので、とにかく一日中空気が動くようにします。
また季節(概ね4~10月の間)により遮光が必須になります。それ以外の季節はよく日に当てることが大切です。
遮光ネットは様々なものがありますが、黒は熱を持ちすぎ、白は遮光率が低いため春秋用となり、暑い時期のメイン使いではシルバーのものがおすすめです。
季節ごとの遮光の目安
※以下は暖地(西日本)の場合の情報です。
4~5月
意外にもこの季節は既に直射日光が強すぎるため、まずは30%遮光ネットを張り、4月末には50%のものに張り替えないといけません。
6~9月
引き続き50%遮光ネットを使用するか半日陰(明るい日陰)に移動させます。梅雨で雨が続く暗い日は遮光ネットは剥がしてやるとベストですが、晴れ間は日差しが強くなかなかそこまで細かく見てやれません。
※日よけを行っても暑さで葉がポロポロ落ちるもの(青涼刀や万宝など)の葉落ちは避けられません。温度を下げる以外対策方法はないので、冷暖房完備でなければ回避できません。また根腐れしやすいため蒸れに特に注意して風通しもよくするようにします。
10月
その年の暑さ、天気などを考慮して、初旬~下旬にかけて50%遮光ネットを30%に張り替えていきます。気温の低い年では10月末には遮光ネットが不要になります。
11~3月
11月にもなれば日差しは非常に弱くなり、遮光ネットは不要になります。むしろ良く日に当てて光合成させることが大切になります。12月、1月、2月までそのまま直射日光下で栽培します。(この間1℃を下回る日は室内にいれます。)3月になると急に日差しが強くなってきて、末頃には30%遮光ネットが必要になる年もあります。
耐暑性と最高気温・夏越しの方法
耐暑性は4段階評価(基本情報参照)でやや弱い~弱いです。多肉植物の中では最大限の注意をしないといけないグループになります。
夏の33℃以上の高温に弱く、遮光していても葉が最悪全部落ちて棒のように茎だけ残ることがあります。特に銀月、大型銀月、グリーンネックレス、万宝、マサイの矢尻、青涼刀が特に弱いです。
このような種類を葉落ちさせないためには冷房のかかった部屋に避難させるほかありません。
夏の管理
猛暑の続く近年の日本の夏では35℃など簡単に超えてしまいます。日陰の温度(気温はここで測ります)ですら38℃~40℃になるのですから、日なたは55℃にものぼる場合があります。そこで直射日光だけでなく、熱を遮るためにも遮光ネットが必須になります。
簡易ビニール温室では上段になるにつれで温度が上がり、最上段では(遮光済みの場合でも)45℃を観測することがあります。できるだけセネシオは下段の涼しい所にいれてあげましょう。
水やりは控えめにしますが、かといって乾かしすぎると葉落ちの原因になってしまうので、水やりの加減も難しいです。かくいう管理人も3年連続で真夏に銀月をやられて栽培を諦めるに至りました。
しかし葉が全部落ちてしまっても、茎が生きていれば秋になってまた葉が出てくるので、茎が緑なのであれば諦めずに育て続けましょう。
耐寒性と耐寒温度、冬越し方法
セネシオの耐寒性は普通で3~5℃とされています。しかし実測上は0~1℃も耐えています。3℃程度なら問題なく冬越しできると考えられます。(ただこれは暖地で一晩0℃になる程度の場合のデータで、昼夜マイナスになる寒冷地での影響は未検証です。)
そこで関東以南であれば1℃の予報が出た場合に室内に取り込んだら良いのではないかと思います。(斑入りグリーンネックレスなど斑入り種は寒さに弱いので3℃程度を推奨します。)
最低越冬温度(耐寒温度)の考え方
最低越冬温度は最低限この気温で枯死しないというぎりぎりのラインです。そのため寒さで冬型種でも生育が緩慢になります。冬型でも至適温度は5~20℃です。できれば5℃以上を保ったほうが生育が旺盛になり、生長も早くなりますが、温室が無い限り難しそうです。
冬の管理
屋外の場合
外で育てる場合はできるだけ簡易ビニール温室にいれて冷たい雨や雪、寒風を避けるようにしてください。残念ながら簡易ビニール温室にはほとんど保温効果はなく、外が0℃になれば簡易温室内も0℃になってしまいます。
※実際にプチプチシートもまいて温度データロガー(自動で温度を一定期間ごとに記録してくれる温度計)で実験したところ、日没までは外より暖かかったのですが、日没後3時間ほどで外と同じ温度まで低下していました。
ですが、風の強い日などに直に置くより傷みを軽減することができます。
セネシオは寒さに強いわけではなく凍結させたり、霜に当てたりすると枯れてしまいます。安全に冬越しさせるためには1℃以下にならないようにまた、5℃以下の場合は水やりを控えることで耐寒性が増します。
水やりは月1~2回ですが、できるだけ暖かい日の午前中~お昼頃にして夕方や夜間は避けるようにしましょう。
室内の場合
西日本では寒波が来るときだけ室内にいれればよいのですが、東日本(寒冷地)では毎日0℃以下になる地域もあり、外での栽培は困難です。その場合室内にいれることになりますが、この時の注意点が日照不足です。室内でも日に4~6時間は日に当てないと徒長しないで栽培することは難しいです。
それが難しい場合は、徒長対策のため植物育成ライトを設置して日照不足を補いましょう。
また室内では暖房のかけ過ぎ(15℃以下がベスト)、空気の乾燥しすぎに注意が必要です。適度に寒さに当てるため5~10℃程度で育成ライトがしっかり当たる部屋がベストです。
寒冷地の寒さ対策
夜間暖房をいれていないなどで、0℃を切る部屋も出てきます。そうなると室内でも寒さ対策が必要になります。この場合、植物用ヒータマットが役立つ場合があります。植物用ヒーターマットとは防水性のあるホットカーペットのようなもので、鉢の下に敷いて鉢を温めるものです。室温によりますがプラス5~10℃の効果があります。
昼間は植物用ヒーターマットの上に置き、その上から植物育成ライトを当て、夜はライトは消してヒーターマットと鉢をダンボール箱で覆うことで、保温効果を高めることができます。(本体1枚2,000円程度、消費電力20W程度)
参考までに植物ヒーターマットと植物育成ライトの詳細ページを掲載しています。
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増やし方
セネシオは挿し木(挿し芽)、株分け、実生(種まき)で増やせます。葉挿しは非常に難しいグループです。
増やすのに適切な時期(適期)は生育型により少し異なりますが、実際上はほとんど区別なく行えいています。どの生育型も3~5月と9~11月が主な繁殖時期ですが、冬型の種類は10~20℃の時に根が出やすく、春秋型、夏型の種類は15~25℃程度の時に根が出やすい印象を受けます。冬型のみやや低温でも発根が促進される感じがします。
またどのグループも7~8月と12~2月は失敗しやすいので避けた方がよいと思います。
挿し木(挿し芽)の方法
セネシオのメインの増やし方は挿し木(挿し芽)です。
手順
挿し木は親株から5~10cm程度茎をカットし、湿った用土にすぐ挿して発根を待ちます。他の多肉植物はカットした茎を数日乾かしますが、セネシオの場合は乾きに弱いためすぐにやや湿った土に挿します。このとき土がびちゃびちゃになりすぎないように少し湿っている程度にしておきます。
セネシオは適期以外に挿し木をすると、根が非常に出づらいので、必ず適期に行いましょう。1週間くらい経つと発根してくるので、挿し穂を掴んで少しだけ持ち上げて根が張っているか確かめます。根が出ているようであれば抵抗を感じるので、水やりを始めます。挿し木を開始し発根してしっかり根付く(活着する)までは、直射日光の当たらない半日陰か室内の窓辺などで管理します。
葉挿しの方法
セネシオは葉挿しが非常に難しいです。
管理人も何度も銀月やグリーンネックレス、ドルフィンネックレスなどの葉挿しを行ったのですが、一度も芽も根も出ませんでした。一方オトンナ属のルビーネックレスは根は出るものの新しい芽(葉)は出てきませんでした。
株分けの方法
セネシオでは群生したり、脇芽が出てきたりしたら株分けで増やすこともできます。
株分けは根のついている枝を親株から外して別々に植え付けることで、地を這っているグリーンネックレス系や脇芽が出る銀月などで行うことができます。地下で親株と繋がっている場合は、一旦掘り起こして子株にも根が付くように分けた方がよいです。株分けでは根が付いているので、植え付けたらすぐに水を与えるようにします。(他の多肉植物は4~5日置いてから水やりを始めますが、セネシオはすぐに与えてください。
地上部に出てきた脇芽などでは根が付かないので、そのまま切って土に挿します。(この場合は挿し芽の要領です。)
どちらの場合も株分け後2週間程度は、直射日光下に出さずに半日陰や明るい窓辺などで養生させてください。
植え替え
株が大きくなり今までの鉢では小さくなった場合や、根詰まり(鉢内が根で一杯になりそれ以上成長できなくなった場合)した場合などは、植え替えを行っていきましょう。
植え替え時期も増やすときと同じように3~5月、9~11月が適しています。また植え替えの場合はできるだけ生育期の初め頃に行ったほうがよく、できれば3~4月か9~10月頃がベストです。(生育期の終わりぎりぎりに行うと、高温・低温で植え替え後に充分根が伸びないことがあります。さらに休眠期の植え替えは株にダメージを与えがちです。)
また頻度ですが、セネシオはそれほど生育旺盛ではないので、9cm鉢以下であれば1年に1回、それ以上の鉢サイズでは2年に1回程度で大丈夫です。
植え替えは単に鉢を大きくして成長を促すだけでなく、根詰まりを解消したり、不要になった根の残骸を取り除いて生育を促進してあげる効果もあります。(鉢をこれ以上大きくしたくない場合は、根の整理をした後、元の鉢に植え戻せばよいです)
植え替えの手順
植え替えを行う前は事前に水やりを3~5日間ほど控えて土を乾燥させておきます。株を鉢から抜きだして土を落としていきます。この過程で茶色く枯れた根は落とします。
引き続き大きく育てたい、群生させたいという場合は生きている根は切らないようにし、今まで植わっていた鉢より一回り大きな鉢に植え付けます。今までの鉢サイズを維持するかあまり大きくしたくない場合は、鉢に入りきらない長すぎる根のみ切り落とし、これまで植わっていた鉢に植え戻します。
この時土には緩効性化成肥料を2つまみほど混ぜておくとよいです。
植え付け後は少なめの水をすぐに与えます。1~2週間で元の水やり量に増やしていきます。また植え替えから2週間は直射日光下に出さずに、半日陰か50%遮光環境に置いて養生させてください。
土と鉢
セネシオは葉や茎に水を溜めることができるため、水はけや通気性がよい土を好みます。また細かすぎる土は水はけが悪いので、適度に粗い土(細粒ではなく小粒程度)が適しています。
通常の植物用の土(花や野菜、果樹など用)は水持ちが良すぎて根腐れしてしまいがちなので避け、多肉植物・サボテン用の土を用意するようにしてください。
市販の多肉植物用土を使う
といっても難しくなく市販の多肉植物・サボテン用の土を購入すれば大丈夫です。鉢数が少ない場合や手軽に栽培を始めたい方にはやや割高ではあるものの、市販品がよいと思います。
市販の多肉植物用土を購入する際は、重すぎないもの、粒が小粒で揃っているもの、カビや藻などが生えていないもの、土の品質表示ラベルが表示されているちゃんとした土を選ぶようにしましょう。赤玉土、軽石、鹿沼土、ピートモス、パーライトなどが適度に混ざっていれば最良です。
参考までに、以下で市販の多肉植物・サボテン用土を比較・紹介しています。
配合する場合
作る場合は赤玉土、鹿沼土、軽石(いずれも小粒)を基本に、くん炭やピートモスなどを混ぜ合わせて、水はけや通気性、重さを調節します。
土は種類によって性質(酸性度、水はけ、通気性、水持ちなど)が異なり、バランスよく配合するために、3種類以上混ぜて作りましょう。
(例)赤玉土1:軽石1:ピートモス1
(例)赤玉土5:パーライト3:腐葉土2 +川砂 など
※赤玉土や鹿沼土、ボラ土などは重さが中くらいです。川砂は一番重く、くん炭やパーライトは一番軽い部類に入ります。
セネシオは太い根のものが多いですが、特に土にこだわりはなく、エケベリアやクラッスラ、アエオニウムなどと同じ配合のものを使い回して問題ありません。
むしろ種類ごとに配合を変えていると水やり頻度と量がバラバラになり手間がかかるので、共通の用土を使った方が管理が簡単になります。
みじんを抜く
土には「みじん」と呼ばれる極細かくなってしまった土が含まれます。これは排水性や通気性を悪くしたり、根の呼吸を阻害してしまうので取り除くことが望ましいです。
土の袋の下の方にたまっていることが多いので、その部分を使わないようにするか、みじんがかなり多い時は細かめのふるいでふるい落としてから使うかしましょう。
鉢底石は必要?
本来鉢底石は鉢底の水はけを良くする目的でいれられます。深い鉢や大きい鉢では鉢底石は必須ですが、9cm鉢程度であればいれなくても問題ありません。また赤玉土や鹿沼土を鉢底石として代用すると、徐々に崩れてかえって水はけが悪くなるので、使う場合は軽石でできたくずれにくい素材でできているものを使うようにしてください。
鉢の選び方
苗サイズに応じて鉢サイズを変える
セネシオは特に鉢を選ばず、エケベリアやクラッスラ、セダムなどと同じような鉢を流用できます。
鉢にはプラスチック鉢や陶器製の鉢などさまざまあり性質が異なりますが、正直どれにでも植えられます。ただ、プラスチック鉢に植えるのと陶器の鉢に植えるのでは、水やり頻度など扱いが少々異なります。(陶器製の鉢は多孔質で水分が乾きやすいので、水やり頻度はプラスチック鉢より多いです。)
また最初は穴のある容器(鉢)で栽培することをおすすめします。
また大切な点があり、それはその苗サイズにあった鉢サイズを選ぶことです。挿し木したてでとても小さな苗には小さい鉢が適していますし、大きな苗にはそれなりの鉢サイズがないと根詰まりしてしまい大きく育ちません。
生育段階に応じて、鉢サイズを変えていく(大きくしていく)ことが大切です。
おすすめの鉢
家にある普通の植物用の鉢は5号鉢など(直径が15cm)大きなものが多いと思います。これはセネシオには少々大きすぎます。大きすぎると鉢の底の方に水分が溜まり、水はけが悪くなってしまいます。
そのため多肉植物用にプラ鉢を買うことになると思います。ご家庭に2~3号鉢(口径6~9cm)など多肉植物に適したサイズがない場合、日本ポリ鉢製造の「プレステラ」という鉢を準備しておくと良いと思います。これはスリット構造で多肉植物に適した7.5cm程度のサイズの鉢で、セネシオ以外に色々な多肉植物に使い回すことができます。
管理人はセネシオを含むほぼ全部の多肉植物の種類(小・中苗)でプレステラ90または105を使っています。
肥料
セネシオは肥料の少ない乾燥地帯に棲息する植物のため、野菜、果物、花木などのような大量の肥料は不要です。
しかし長く鉢植えしていると肥料切れしたり微量要素が不足したりしてきます。そのため生育期に液肥を与えるか、植え替え時に土の中に緩効性化成肥料を入れておきます。
肥料の特性として、液肥は与えてすぐ効果がある反面、鉢底から流れ出てすぐ効果がなくなってしまう点に注意が必要です。また固形肥料はそのままでは効果がなく、水やりの繰り返しで水に溶け出さないと効果が出ない点に気をつけましょう。
肥料の与え方
植え替えをする年には、植え替えの際に土にマグアンプK小粒などの緩効性化成肥料を2つまみほど混ぜ込んで元肥とします。
植え替えない年は、生育期にハイポネックス原液や花工場原液などの希釈水を、水やり代わりに与えて追肥とします。
どちらか一方でよく、両方与えると肥料の多すぎになってしまうことがあります。
また、ビタミンやミネラル、植物が育つのに必須の元素が不足する場合は、植物活力剤や微量要素入りの肥料を与えてあげましょう。
※元々肥料が入っている(元肥済み)多肉植物用の土に植える場合は、植え付けてから1年間は追肥する必要はありません。
肥料が多すぎる茎ばかり生長し葉と葉の間が広がってしまったりするので、与えすぎには注意します。
開花
ある程度株が大きくなり株が充実してくるとつぼみをつけ、花を咲かせます。秋~冬につぼみをつけ、冬~春にかけて開花する種類が多いようです。通常つぼみをつけてから開花するまでに2~3ヶ月かかります。
グリーンネックレスのような特徴のある花をつける種類や、タンポポのような花をつける種類など花の姿は種類により異なります。花が終わると結実し、綿毛のついた種が飛ばすことがあります。
花を咲かせるコツは生育期にはしっかり水をやること、遮光が必要な時期以外(冬など)にはできるだけ日に当てることなどです。また今年挿し木したような小さな苗では花は付かず、1~2年以上栽培することで開花株となります。
病害虫
セネシオはあまり病害虫の心配がないグループです。
害虫対策
あまり心配ありませんが、もし害虫を見つけた場合は速効性のある接触型殺虫剤(オルトランCスプレーなど)をまくか、予防と速効性の両方があるベニカXファインスプレーを散布する、などの方法が考えられます。
また葉に農薬を散布したくない(葉を汚したくない)場合は、土にばらまいて根から吸収させるタイプで、持続性・浸透移行性のあるオルトランDX粒剤という選択肢もあります。
病気対策
軟腐病にやや罹患しやすいです。軟腐病は突然茎、葉が腐って悪臭を放つ病気で、一度なると助かりません。
病気を予防治療できる農薬には大きくわけて3つの種類があります。予防できるものと予防の他に治療ができるもの、予防効果はないものの治療効果があるもので、いずれも殺菌剤と呼ばれる農薬です。水で薄めて使うタイプと手軽なスプレータイプがあります。
鉢数が少ない場合はそのままスプレーするだけで使えるスプレー式が便利ですが、鉢数が多くなってくると希釈するタイプがコストパフォーマンスがよくなります。
生理障害
生理障害は病気ではないものの、さまざまな原因・環境などから植物の正常な生育を阻害してしまう状態をいいます。
夏の高温による葉落ち、茎腐れ、風通し不足による根腐れ、蒸れ、強い日光に当たって起こる葉焼け、日焼け、冬の寒さによる凍結や冷害、肥料・微量要素の不足による発達不良などがあります。
いずれも遮光、送風などにより環境を整えたり、適切に肥料や植物活力剤などを与えることで防ぐことができます。
販売店や値段など
一部のセネシオの種類(グリーンネックレス、ドルフィンネックレスなどの普及種)はホームセンターや園芸店、近くの花屋さんなどで目にすることが多いです。他方で銀月やケープアイビーなどのマイナーな種類は、滅多に店頭には並ばないようです。品揃えは種類により差があるのが実情です。
お店で購入する際は、できるだけマメに足を運び入荷したてを購入するようにしましょう。ホームセンターや百均などはあまり多肉植物に詳しくなく、不適切な管理で苗がだめになってしまっていることがよくあります。
ひょろ長くなっているものは水やりのしすぎや日光不足により徒長していると考えられ、弱っているためできるだけ避けた方が安全です。ずっしりと重い鉢は毎日水やりされている可能性があります。
図鑑などでみる本来の姿形を保って、色もよいものがベストな苗です。
価格帯は種類や鉢サイズにより一概にはいえないのですが、7.5cmポットで330円~9cmポットで550円程度を目安にすると良さそうです。(メーカーによっては小さい苗でも非常に高い値段で販売していることがあります。)
通販での購入
セネシオはホームセンターや園芸店、多肉植物専門店以外に通販でも購入可能です。
ネット通販大手の楽天市場、ヤフーショッピング、アマゾン、を始め多肉植物専門通販店もあります。
また、通販ではないもののヤフオク・メルカリなどフリマアプリでも、かなりの量の苗が入手可能になっています。希少種や大苗、カット苗などを希望されるのであれば、フリマの利用は必須ではないかと考えられます。
ネット通販はいつでも購入でき種類も豊富などとても便利ですが、店頭購入にはない注意点もあります。
それは購入する時期です。通販で購入した苗は長い時間かけて自宅まで運ばれるため、真冬・真夏は低温・高温にさらされます。蒸れて腐っていた、凍結してシナシナだった、葉がボロボロ落ちて傷んでいたなどのトラブルも起こりがちです。
できるだけ真夏・真冬を避け、暖かい~涼しい春・秋に注文することをおすすめします。
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よくあるトラブルとQ&A
トラブル事例
葉がボロボロ落ちてきた
特に下葉が全部落ちるようなときは、根腐れを起こしていたり鉢の中で根が一杯になっていたり、水やりが多すぎる証拠です。植え替えや通気をよく環境を整えましょう。傷んだ葉はカビの元になるのでピンセットなどで取り除きます。
葉にしわがよってきた
水不足か日の当てすぎ、または根腐れによる地上部の水分量の低下が考えられます。水は完全に切らさないようにしたほうがよいですが、葉にシワがよるくらいでは心配要りません。また水をやっても葉にシワがよる場合、根腐れにより水分を吸い上げなくなっていることがよくあります。この場合、すぐに挿し木などの手当てを行います。
茎が腐ってきた
通気不足で細菌が混入し根腐れ・茎腐れを起こしています。茎を切ってみて黒くなっているようなら残念ながら救えません。また根腐れした株から取った茎は挿し木に失敗することが多く、全滅してしまうこともあります。
Q&A
室内で飾りたい
本来多肉植物は室内育てには向きません。しかしどうしてもという場合は、3日室内に飾ったら1週間外に出すなど、通気や日光不足対策をしましょう。夏は1週間、春秋は2週間、冬は1ヶ月程度が室内で連続で飾れる限界です。
挿し木がうまくいかない・根が出ない
挿し木がやや難しいタイプなので練習が必要かもしれません。コツは少し湿らせた土に挿すことです。根が出るまでは半日陰で乾燥しづらい室内などに置くと良いです。また季節にも注意が必要で、真夏・真冬は根が出づらく枯れてしまうことがあります。