目次
アデニウム属の写真
アラビクム | 7月に開花しました。つぼみをつけてから開花まで3週間ほどかかりました。(2022.7撮影) | 原種の花は一重咲きですが、品種改良で八重のものも生まれました。(2022.7撮影) |
オベスムの種子 | 種まき(実生)2ヶ月目の様子(2022.6撮影) | 種まき7ヶ月後の様子(2022.11撮影) |
アデニウム属の基本情報
科 | キョウチクトウ科 |
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属 | アデニウム属 |
生育型 | 夏型 |
育てやすさ | 普通~やや難しい |
成長速度 | 普通~遅い |
増やし方 | 種まき(実生) |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 強い |
耐寒温度 | 8℃ |
実測温度 | 5℃~40℃ |
原産地 | アフリカ~アラビア半島 |
※4段階評価
育てやすい–普通–やや難しい–難しい
成長が早い–普通–遅い–とても遅い
耐寒性-強い・普通・やや弱い・弱い
耐暑性-強い・普通・やや弱い・弱い
※耐寒温度は水やりを控えた場合の目安値(書籍などによる推奨値)で、状況によりこれより狭くなることがあります。
※実測値は半日陰の場合で直射日光下ではこれより低くなります。
アデニウム属の特徴
ナミビア~アラビア半島に15種類ほどが知られている大型のコーデックス(塊根植物)で、基部が肥大し美しい花を咲かせます。花の色は赤紫、赤色、ピンク色、白など様々な色が咲きます。日本の鉢での栽培では30cm程度が多いですが、自生地では1メートルを超え5メートルほどのサイズになる株があります(写真参照)。幹は最初は1本ですが成長するにつれ、複数の細かい枝が出るようになります。
砂漠のバラ
砂漠のバラ(オベスム)はアデニウム属の中でも最も一般的に普及しており、園芸店やホームセンター、通販などで購入することができます。砂漠のバラは春から夏にかけて直径3~4cmの紅色の花を咲かせますが、開花株になるまで5年の歳月がかかることもあります。オベスムの他にアラビクムも普及種のひとつです。
耐寒性が弱い
熱帯性で寒さに弱く理想は15℃以上です。8℃以下で落葉し10℃以上を保てば休眠して翌年新しい芽を出します。最低越冬温度は5℃でそれ以下にすると枯れてしまいます。(これは書籍値で実験ではもう少し耐えられました。)実は挿し木でも増やすことができるのですが、挿し木で殖やした苗は塊根が太らないため、通常種まきから育てます。越冬できたかの確認は、基部を押してみて硬ければ生きていると判断できます。フカフカしたもの、大きな陥没があるものは枯れてしまっています。
生育温度は高め
パキポディウムは25℃程度でも盛んに生育してくれますが、アデニウムはそれよりやや高温を好むのか、25℃程度では盛んに葉を出してくれません。30℃くらいになると新葉が勢いよく出てきます。発芽温度も最低25~30℃は必要な印象を受けました。
育て方のコツ
- 4~10月は直射日光の当たる風通しの良いところに
- 生育期は土が乾いたらたっぷりの水を与える
- 冬は最低5℃できれば10℃以上を保つ
- 冬の休眠中は水を切って断水する
- 冬、室内への取り込みは必須で窓際に置くか、植物育成ライトが望ましい
原生地では乾燥地帯の岩の上などに自生するため、日差しと風を遮るものはありません。そのため日本で育てる場合も夏によく日に当て、風通しを良くする必要があります。また現地では雨季にまとまった雨が降るため成長期には、たっぷりの水やりが必要で、場合によっては雨ざらしにすることもあります。
ただ寒さに弱く地植えはできません。また水はけのよい用土に植える必要があります。日によく当てたほうがよいとされていますが、意外と強い光には弱いのか、冬場室内で植物育成LEDライトを当てたところ1万4000ルクスでかなり葉焼けしてしまいました。(植物育成ライトの光と太陽光は全く同じではないので、あくまでご参考にされてください)
年間栽培カレンダー
生育型 | 夏型 |
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生育期 | 4~10月 |
休眠期 | 12~2月 |
緩慢な時期 | 3月、11月頃 |
水やり |
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置き場所 |
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植え替え |
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増やす |
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肥料 |
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開花 |
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※栽培カレンダーはあくまでも目安です。実際は土や鉢の種類、地域によって大きく異なります。この表は福岡県平野部で多肉植物用の棚を使って育てている場合の情報です。お住まいの地域や使っている土、置き場所によって適宜読み替えて下さい。
主な種類名
アラビクム | Adenium arabicum |
オベスム | Adenium obesum var. multiflorum |
クリスプム | Adenium somallense var. crispum |
ソコトラナム | Adenium obesum ssp. socotranum |
ソマレンセ | Adenium somalense |
ボヘミアン | Adenium obesum ‘Boehmianum’ |
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※以下に掲載している目安はあくまで目安です。苗の状態や環境などにより適宜調節してください。
育て方のポイント
アデニウムは適温が25~35℃程度で、日本の4月~9月に主に生育し、10月以降に葉を落とし春まで休眠するというサイクルを繰り返す塊根植物です。
日本では10月以降の低温時に葉を落として休眠しますが、原生地では乾期に葉を落とし休眠します。生育期と休眠期には栽培方法が異なり、メリハリをつけた栽培方法が大切になります。
水やり
生育期には土が乾いたら、鉢底から流れるまで水を与え、休眠時は全く水をやらない断水をするのが基本です。過湿が苦手なので水のやりすぎには注意しましょう。アデニウムは塊根部分に水分をたくさん溜めているため、冬場の休眠時に水を与えなくても枯れることはありません。
生育期の水やり
4月頃休眠から目覚め(休眠明け)、葉を出し始めます。このとき急に水をたくさん与えるのではなく、少しずつ量と回数を増やしていきます。5月以降は土が完全に乾いて数日後にたっぷりの水を与えます。梅雨時も同じように栽培します。4月~梅雨空けまでは雨ざらしにしません。
梅雨空けから9月の生育期にかけては、土が乾いたらすぐに与えます。鉢の大きさや土の種類、苗の状態によっては数日おきの水やりが必要になることがあります。この間は雨ざらしにしても問題ありません。水を与えないでいると塊根部の一部がへこみます。水やりをすると元に戻りますが、何度も繰り返すとダメージを与えるのでそこまで水を切らさないようにします。
休眠期の水やり
冬が近づくにつれて土の乾きが遅くなってきますので、水やり量と頻度を減らしていきます。そして地域により10~11月に落葉したら完全に水やりをストップします。
その後8℃以下で室内に取り込み、室内で育てている時は(休眠時)水やりはほとんどしません。もし冬場室内で15℃~25℃を保ててよく日に当てられる場合は、休眠せずそのまま成長を続けます。その場合は土がよく乾き、場合によっては春秋並みに水やりする必要があります。
水やりの注意点
大切なのは、土が乾いたのを確認してから水を与えることです。土が乾くと鉢が軽くなる、底石が茶色から白色に変わるなどの変化が現れるので、よく観察することも大切です。
実生苗の注意点
種から蒔いて育てることを実生といいますが、実生1~2年の小さな苗は塊根が小さく保水力が弱いため、土の乾きに弱いです。そのため冬でも断水をせず、定期的に少量の水を与え続けます。室内で10℃以上を保てる場合は1ヶ月に1回ほど鉢の半分の深さ程度が湿るぐらいにします。
置き場
生育期の置き場
基本的に生育期は屋外の雨の当たらない所に置きます。アデニウム属は原生地で日差しを遮るものがない場所で生息するため、日本の夏でも直射日光に当てて良く、遮光が全く不要とされています。
しかし思いのほか葉焼けすることがあるので、参考までですが管理人は30%程度遮光した所に置いています。また風通しがよいことも大切です。真夏は特に蒸し暑いため、屋外で十分な風に当てることが大切です。
休眠期の置き場
気温が8℃を切ったら室内の窓辺に取り込みます。室内では昼間は日の当たる窓辺に置きますが、夜間は寒いため室内の中央などに移動させます。休眠中は室内においていますが、葉がないから日光が不要なわけではなく、幹に葉緑素があり幹で光合成しています。そのため葉のない時期もできるだけ長く日光に当てることが大切です。
耐暑性と最高気温・夏越しの方法
アデニウム属は耐暑性が強いグループになります。本来原産地では真夏もかんかん照りの日なたで、また毎日水を与えるか雨ざらしにしても問題なくむしろ生育が良くなるとされています。
日本では梅雨時がありますが、この場合は雨よけがあるところにおいた方が安全です。また原産地では暑いですが、常に風が吹く環境なので、梅雨時は特に風通し・蒸れへの注意が大切です。
夏の管理
以下は栽培上の私見となります。ご参考までにしていただければ幸いです。
管理人の環境では、他の多肉植物の管理の都合上、アデニウムも雨ざらし、日ざらしにはせず、簡易ビニール温室にいれて雨よけをし、また50%遮光程度の遮光をしています。これでも開花には充分な日照量らしくしっかり花を咲かせてくれます。
開花には冬の間の日照量が結構重要なようで、冬に日や育成ライトに当てていないとつぼみをつけてくれないようです。
もちろん高温には強く、簡易ビニール温室の最上段の45℃になるところでも問題なく耐えています。水やり後に高温になるのは気になりますが、夕方水をやってもたっぷりの量なので翌日までに乾かないのでたぶん昼間、土は煮えていると思いますが、枯れたりはしていません。(小苗、成株共に)
耐寒温度と冬越し方法
最低越冬温度は8℃で、枯死しないぎりぎりのラインとされています。ですが実際には5℃は普通に耐えます。2023年冬に実験を行ったのですが、0℃は無理で凍らせて助かりませんでした。
地域により10月~11月頃に室内に取り込む必要があります。暖地でも5℃は簡単に下回るため、やはり室内ですね。さらに寒冷地、特に北海道では気温が低い月が多く、10月から4月の約半年を室内で越させることになります。
冬の管理
窓辺に置いて時々鉢を180度回転させて幹が太陽の方向に傾かないようにします。最低でも1日4時間日に当てられ環境でないと栽培は難しいですが、窓のない部屋などでは植物育成LEDライトを使うと、全く日の入らない所でも元気に育てることができます。
春(3~4月)になり戸外に出すときは、直射日光に対する耐性が弱くなっています。急に日なたに出すのではなく2週間程度は半日陰などに置き、徐々にならすようにします。
寒冷地での室内での防寒対策
寒冷地では夜間室内でも5℃を切ることがあります。その場合は、植物用ヒーターマットという便利なグッズがあります。植物用ヒーターマットとは、防水性があり薄いシート状になったホットカーペットのようなものです。それを鉢の下に敷いて、さらにダンボールなどをかぶせると庫内が暖かく保たれます。シートは2,000円程度で買え、また消費電力は20W程度で電気代も安いです。
参考までに、植物用ヒーターマットと育成LEDライトのページを掲載しておきます。
葉を落とすか残すか?
暖地で10月中旬など早めに室内に取り込むと、葉を落とさずに越冬することがあります。実は葉を落とさないでいると葉を落とした苗より塊根の太りがよくなります。これは残った葉で光合成ができるためと考えられます。
ただ、中途半端に寒さに当てると葉がパリッと剥がれず、冬に途中で枯れてきて、枯れ葉に黒カビが生えてそれが原因で苗が腐ってしまったことが実生10苗中3苗でありました。そこで、しっかり寒さに当てて葉を落とすか、早めに室内に入れて青々した葉を残すかメリハリをつけることが大切と感じました。
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増やし方(種まき)
アデニウムは通常種まきで増やします。種まきから育てることで塊根を太らせることができます。挿し木や接ぎ木でも増やすことはできるものの、肝心な塊根部を太らせることができません。
種まきの適期は5~7月の25℃~30℃程度が保てる時期です。できれば冬までになるべく大きくしておきたいので、早め(5~6月)に蒔けると理想です。4月も暖房設備(植物用ヒーターマット)があれば蒔くことができます。
種まきの方法
種まきをする際は新品の清潔な細かめの用土を用意し、土を熱湯消毒します。種はオーソサイドで消毒します。覆土は必要ないですが、水の浸透をよくするために土に押しつける形にしてまくとよいです。発芽は光、水、酸素、温度の条件が揃えば自然に行われるため、メネデールなど発芽促進剤は必要ありません。
発芽するまでラップやフタで覆いをして湿度を高めます。発芽したら覆いを取り除きます。水やりは腰水(底面吸水)で行い、種まき以降半年は直射日光に出さず半日陰に置きます。
アデニウムは発芽率がよく80%を超え、また発芽難易度も低いためコーデックスの種まきをするなら、まずおすすめされる種類です。皆さんもぜひ種まきからの栽培に挑戦してみてください!
以下は2022年春のオベスムの実生記録です。やり方も書いてあるのでよろしければ参考にしてみてください。
剪定
茎が伸びてきたら剪定を行いましょう。
適期は5~10月頃で、伸びすぎてしまった場合に行います。剪定するとその切り口の少し下の所の葉が取れた部分から新芽が吹いてきて、分岐する形になります。分岐させたくない場合は剪定はしないほうがよいです。また、ある程度葉が生えて茎が伸びてから剪定、胴切り、摘芯は行いましょう。
剪定した場合切り口に癒合剤や殺菌剤をつける必要はありません。
もし葉の付け根が残らない場所から切った場合、もう葉が1枚も生えてこなくなりますので幹だけになってしまいます。
植え替え
苗が大きくなって鉢が一杯になったら植え替えを行いましょう。
植え替えは生育期の4~8月に行います。できれば4~5月が最適です。冬や秋などに行うとその後の根の成長が悪く、不調になってしまうことがあるので、根腐れを起こしているなど緊急な必要性がない限り、適期に行うようにしましょう。
オベスム、アラビクムなど砂漠のバラは成長速度が普通程度(とても遅いわけではない)なため、小さい鉢のうちは1年に1回植え替えが必要になります。根の張りが塊根のサイズを肥大させるので小さい鉢に植えたままだと大きくなってくれません。
小さい鉢とは口径12cm(4号鉢)程度までぐらいです。種まきしたら最初は6cmのポットに植え、次は7.5cm、9.0cm、12cmのように毎年大きくしていきます。それ以上大きくなった鉢では数年に一度の植え替えで問題ありません。
植え替え作業では鉢を大きくする以外に土をフカフカの新しいものにしたり、枯れ葉と同じように枯れた根を取り除く作業も行えますので、一見面倒ですがとても大切な作業です。
植え替えの手順
土と鉢
アデニウムは塊根に水を溜める塊根植物のため、土はサラサラしていて水はけと通気性がよいものが適しています。普通の草花の土では保水性が良すぎるので、市販品を購入する場合は多肉植物・サボテン用のものを選ぶようにしてください。
市販品を購入する場合
先ほどの植え替えの項目ではプロトリーフ「室内向け観葉・多肉の土」というものを使っていますが、他社製でももちろん構いません。土の細かさは苗の大きさにより、苗が小さいうちは細粒などの細かめ、大きくなってくると小粒へ次第に中粒へと変えていく必要がありますが、たまたま9cmのポットにちょうど良かったので購入しました。
自分で配合する場合
また自分でコーデックス用のブレンドの土をお持ちの場合は、もちろんそれで大丈夫です。苗のサイズに合った粒サイズに気をつけながら、赤玉土や鹿沼土をメインに、軽石やパーライトで水はけをよくして、できれば3種類程度の土を混ぜると性質が中和されて良い土になります。
鉢底石を敷く
7.5cm以下のポットであれば正直鉢底石は必要ないのですが、9cmを超えるものは鉢底に中粒程度の軽石をいれると水はけが良くなります。赤玉土や鹿沼土は繰り返す水やりで次第に崩れていくので、鉢底石には軽石・日向土がおすすめです。
鉢の選び方
鉢サイズ
まず鉢サイズですが、鉢は根が伸びて鉢の側面や鉢底に到達するぐらいがちょうどよいサイズです。
塊根の太さが1cm程度の時は鉢サイズは6cm程度、塊根が1.5cmを超えると7.5cmポット程度、3cmを超えると9cmポットぐらいがちょうどよいです。
鉢の種類
鉢にはプラスチック鉢と陶器製の鉢がありますが、実生(種まき)では主にプラスチック鉢を使います。カントーのA-25、A-30などの丸型プラ鉢や、日本ポリ鉢販売のプレステラ90、105などの角形プラ鉢がおすすめです。
プラ鉢の主な利点は清潔さ(陶器製のように多孔質でないため病原菌が入り込みにくい)、適度な水持ちのよさ、鉢の軽さ、根に対する効果(スリット構造)、収納性などです。
肥料
アデニウムは多肉植物・塊根植物であり成長速度も普通の草花よりかなり遅いため、野菜や果樹、草花ほどの大量の肥料は不要です。しかし成長過程に応じて肥料が必要になります。
また長期間鉢に植えっぱなしのものには追肥をしていくことも大切です。それは鉢植えしている限り、自然界から栄養分や微量要素が補給されないためです。
まず実生苗(種まきから数年以内)では成長速度を上げてしっかり塊根を太らせるために肥料が必要となります。無肥でも育てることはできますが、なかなか大きくなりません。元肥として植え替え時に土に緩効性化成肥料を混ぜ込んだり、液体肥料を生育期に与えたりします。元肥と追肥は両方は不要でどちらか一方で大丈夫です。
カビやコバエなどの原因となるため有機肥料ではなく、緩効性化成肥料(固形肥料)や速効性化成肥料(液体肥料)などを使う場合が多いです。
施肥(肥料のやり方)の例
あくまで管理人の場合ですが、元肥には緩効性化成肥料としてマグァンプK小粒を、追肥には速効性化成肥料として花工場原液やハイポネックス原液の1,000倍希釈水を与えています。
固形肥は4~5月の植え替え時期に土に入れ込むか植えた後、土にパラパラしたり、液肥は固形肥料をいれていない場合に4~6月頃や9月頃に与えています。
市販の多肉土に肥料が入っているものは、追加では与えないようにしています。
開花
アデニウム属はオベスムやアラビカムなどの「砂漠のバラ」は名前の通り、白や赤、ピンク色のラッパ状のバラのような花、八重咲きの花などをつけます。品種改良され、色々な形の花を咲かせるようになりました。
直径は5cm程度で茎の新葉の出る付近に花芽を付けて咲きます。通常花期は5~7月とされていて自然に育てると7月に咲きますが、通年20℃以上を保つと一年中花を咲かせるそうです。
つぼみが付かない場合は、冬の日照時間を長くするようにしましょう。
病害虫
害虫
花にはアブラムシ、葉にはハダニ、アカダニ、塊根部にはカイガラムシなどが付きやすいです。
アブラムシやカイガラムシは通常の殺虫剤(オルトランなど)で駆除することができるのですが、ハダニなどダニ類は「殺ダニ剤」という特殊な農薬で駆除しないといけません。ハダニは目に見えないほど小さいですが、葉の色が悪くなり株を弱らせます。葉が元気なくかすり状になってきたら葉の裏に殺ダニ剤(ダニ太郎など)か、殺ダニ成分入りの殺虫剤(ベニカXファインスプレーなど)を散布するようにしましょう。
病気
病気は特に心配ありませんが、生理障害である根腐れや蒸れ、塊根の腐敗などに注意が必要です。これらは風通しをよくすることでだいぶ防ぐことができます。
生理障害
冬の寒さに弱く、5℃以下が続くと冷害(低温障害)を起こします。雪がかかったり凍結させたりすると助かりません。なるべく8℃以上を保ってせっかくの苗を枯らさないようにしましょう。
販売店や値段など
アデニウムは園芸店などで販売されていることがあります。より成長スピードの速いアラビカムが砂漠のバラとして出回るケースがあります。アラビカムとオベスムでは成長したときの形が異なるので、購入時は学名をよくチェックすることが大切です。
チャンスがいいと開花サイズの大きめの鉢で2,000円程度で購入することができます。
とはいえなかなか園芸店でも頻繁に行かないと出会うことは難しいです。近くに多肉植物専門店があればよいのですが、そうでない場合はネット通販で購入する方法があります。
通販と種子の入手
確認したところ、アマゾン、楽天市場、ヤフーショッピングなどで苗が販売されていました。ネット通販では、苗の販売のほかに種子の販売も盛んです。またフリマをお使いの方は、ヤフオクやメルカリで色々花の色も選べる種子なども販売されているので、一見の価値があります。
種子は10粒500~600円程度とコーデックスの中では比較的安価で、種子なら小さい封筒に入るので送料も安いです。植物の種子は第四種郵便という安価で送れるサービスが利用できるため、最安ではなんと送料73円です。その代わり追跡はできずに配達にも時間がかかります。
種子を買うときは正直、ヤフーショッピングの多肉植物種子専門店が安心です。他だといつ採取されたか分からないタネやアデニウムでない種子が送られてくることがあるためです。鮮度が重要なので、できれば入荷日の書いてあるショップがおすすめです。
オンラインショップでも購入できますスポンサーリンク
よくあるトラブルとQ&A
トラブル事例
枝が腐ってきた
枝が腐ってきた場合、可能な限り切り捨てます。しかし葉の取れた跡が最低1つは残るようにしてください。そうしないと成長点がなくなり葉が出なくなってしまいます。また枝が腐る場合、枯れ葉が黒カビの原因になることがあるので、枯れ葉の除去は大切です。(中途半端に暖かい所で冬越しさせると、半分枯れた葉が途中で黒カビにやられることがあります。)
冬に枯れてしまった
アデニウムは秋から冬にかけて落葉します。冬は塊根だけで越冬し、再び春に葉が出てきます。冬場丸坊主になるのは正常なことです。もし冬に枝や塊根がブヨブヨになったり、大きく陥没してきたりしたら残念ながら枯れてしまいます。
花が咲かない(蕾みが付かない)
アデニウムは花が咲くまである程度の年数がかかります。開花株にならないと花は咲きません。開花年齢に達しているのに(買ってきた年は咲いたなど)蕾みが付かない原因は生育環境にあると考えられ、根詰まり、日照不足、水やり不足などいくつか考えられます。植え替えや冬の日当たり、水やりの不足などに気をつけてみましょう。
ひょろひょろと徒長する
間延びするのは日照不足によるところが大きいです。茎が異様に伸びてしまったら伸びた茎を切り落とすことができますが、塊根が長細くなってしまった場合は対処方法がありません。気長に育てて細かった部分が太くなるように待つのみと思います。
根腐れする
根腐れの原因は、いくつか考えられます。大きすぎる鉢に植えている、水持ちのよすぎる土を使っている、風通しの悪いところで育てている、水やりをしすぎているなどです。適度なサイズの鉢に植え、パーライトや軽石など水はけがよくなる土を足すなど工夫してみましょう。また根腐れを発見したら、植え替えの適期でなくてもすぐに抜き出して、腐って赤くなった根を充分に切除することが大切です。
幹がへこむ
へこんだりシワがよったりするのは、腐って枯れる時に起こる場合と、単純に水不足になって水をほしがっている時があります。まずは水不足を疑い水をたっぷり与えてみます。それで半日~1日ほどでカチカチになれば問題ありません。もし水をやっても戻らない場合は腐っている可能性が高いです。また、塊根が凹むほど乾かすと繰り返すうちにダメージになるので、生育期は週に1回ほどたっぷり与えてください。
目覚めない・芽吹かない
アデニウムは新芽が吹くのが遅めで25℃程度を超えてくるとようやく葉を出し始めます。そのため地域にもよりますが、5月末頃まで待ってみましょう。もし6月になっても芽吹かない場合は、冬の間に枯れてしまった可能性があります。
落葉しない
秋から冬にかけて10℃以上を保つと落葉せずにそのまま越冬します。そして春が来てそのまま葉がついて成長するか、この時期になって新芽が出る頃に落葉する場合があります。
Q&A
枝を増やしたい
枝を1本でなく複数にしたい場合は、芯止めといい先端部分を切り落とします。そうすると葉の付け根の部分が成長し始め、やがて新芽が伸びて数本の茎になります。
塊根(幹)を太らせるためには?
塊根を太らせるには、まず充分な日当たりが大切です。葉や塊根に日が当たることで光合成しデンプンが生成され太くなります。他には小さな苗のうちは成苗より肥料を多めに与えることも必要です。また冬場早めに室内に取り込み(室温10℃以上)植物育成ライトを当てると、葉落ちせず冬でも塊根が生長し、落葉したものより肥大します。
植物育成ライトは何ルクス必要?
以下はあくまで私見(実験データ)ですが、管理人の場合、1万ルクス程度で冬越しした所、徒長せず育ち続けました。冬から室内取り込みを開始し、春から夏にかけてもおよそ10ヶ月ほど育てていますが、問題なく葉が出て茎の徒長は見られませんでした。しかし室内では温度が足りないのか(室内は最高でも30℃程度)、葉の出方が悪いです。