スポンサーリンク

モニラリア属(Monilaria)の特徴と種類・育て方

モニラリア属の写真

モニラリアオブコニカ モニラリア5ヶ月目種まき5ヶ月後(2月) モニラリア夏の休眠休眠で茶色になる(6月)
モニラリア1年種まき1年後の様子(10月) モニラリア1年水をやると耳が伸びる(10月)

日本ではうさぎの耳、うさみみなどと呼ばれて近年人気があります。またモニラリアはモニラニアと呼ばれることがありますが、正しくはモニラリア(Monilaria)といいます。

モニラリア属(Monilaria)の特徴

ツルナ科(ハマミズナ科)
モニラリア属(Monilaria)
生育型 冬型
育てやすさ 普通
成長速度 遅い
増やし方 種まき
原産地 南アフリカのケープ州

※4段階評価
育てやすい–普通–やや難しい–難しい
成長が早い–普通–遅い–とても遅い

モニラリア属はこんな多肉植物
人気のウサギの耳の特徴
日本で人気なモニラリアですが、実は南アフリカのケープ州という地域が原産の多肉植物で、原生地では色々な種類があります。モニラリアは2枚(2本)の葉が伸びて最初は緑色のウサギの耳のような形になります。葉の長さや形はまちまちで、20cmを越える長さになる種類もあります。海外では緑のスパゲッティというニックネームがついています。

一年間の生育過程
苗の販売は見かけないため、モニラリアを育てるには種まきから育てる必要があります。冬型のメセン類(リトープスやコノフィツムと同じグループ)なので9月下旬から11月上旬までには種まきします。種をまくと双葉が出ますが、それは普通の植物と同じような形で、次に出る本葉が兎の耳のような形をしています。年を越して暖かくなり夏を迎える5月頃株全体は茶色い皮で覆われたようになり、枯れたように見えます。しかし順調に夏を越すと9月頃皮をやぶって再びウサギの耳(葉)が出てくるサイクルを繰り返します。

種まきからの育て方
日本ではまだ流通も栽培歴も短く、王道な育て方は確立していないようです。通常秋に種まきをして発芽させ、水をやりながら冬を越します。メセン類ですが、種まきの管理は簡単なほうです。冬は凍結させないように注意します。6月ごろから株に元気がなくなり、やがて茶色い塊のようになりますが、休眠期の姿なので完全に水を与えずそのまま過ごさせます。この時期にあわてて水をやったり、諦めて捨てたりしないようにしましょう。

育て方のコツ

  • メセン類の一つでコノフィツムの栽培方法と似ている
  • 夏は全く水をやらず涼しい半日陰で休眠させる
  • 9~11月頃ウサギの姿を楽しめる
  • 苗の流通を見かけないので種蒔きから育てる

年間栽培カレンダー

生育型 冬型
生育期 10~3月
休眠期 5~8月
緩慢な時期 4月、9月

種まき12ヶ月未満

水やり
  • 9~10月頃気温が25℃を切る当たりに腰水(底面給水)をして種を撒き、ラップで覆う
  • 11~12月は腰水をつづけ土を乾かさないようにする
  • 1月頃腰水をやめる
  • 2~4月は水気が絶えないようこまめにスプレーで水やりする
  • 5月は土を乾かし始める。月に2回程度の水やりにする
  • 6~8月は月に1回表面を濡らす程度与える(初めての夏越し)
  • 9~12月(種まきから1年過ぎた秋)は月2回程度の水やり
置き場所
  • 1年間を通して雨が当たらない風通しのよい所に置く
  • 初めの4ヶ月はラップをして常に土が濡れている状態にする
  • 9~11月の種まき直後は室内のレース越しか、屋外の直射日光が当たらない所に
  • 12~2月は屋外の日なたか、0℃を切る場合は室内の窓辺に取り込む
  • 3~4月は屋外の日なた
  • 5月から50%程度遮光を始める
  • 6~8月は70%遮光する
植え替え
  • 1年未満は植え替えしない
増やす
肥料
  • 3~4月に薄い液肥
開花
  • 不明

種まき12ヶ月以降

水やり
  • 3~4月は生育期なので月に2回程度、鉢底から流れ出るまで。5月からは徐々に水量を減らし、10日おきに1回ぐらいに減らしていく
  • 6~9月は休眠期なので、全く水をやらない断水をするか月に1回軽く土を湿らせる程度
  • 10~11月は月2回ほど、だんだん冬に向けて量と回数を減らす
  • 12~2月は1月に1回ほどに抑える
置き場所
  • 1年間を通して雨が当たらない風通しのよい所に置く
  • 5~10月は明るい日陰か遮光した屋外に
  • 11月から直射日光が当たる屋外に
  • 12~2月のうち0℃以下になる日は温室か室内に取り込む、それ以外は直射日光の当たる屋外に
  • 3月~4月は直射日光の当たる屋外に
植え替え
  • 10~11月頃が適期
増やす
  • 9~10月に種まきで殖やす
肥料
  • 9~10月に液肥を月1回程度
開花
  • 不明

主な種類名

オブコニカ Monilaria obconica
モニリフォルミス(碧光環) (ヘキコウカン) Monilaria moniliformis
ピシフォルミス Monilaria pisiformis
翠環玉 (スイカンギョク) Monilaria chrysoleuca ‘Polita’
クリソレウカ Monilaria chryisoleuca

スポンサーリンク

育て方のポイント(1年目以降の苗)

水やり

水やり多肉植物の中でも水不足に強く、水をあまりやらなくても枯れません。むしろ水のやり過ぎで腐らせないように注意しましょう。基本的には土がカラカラになって鉢が軽くなってから、鉢の中が湿る十分な水を与えます。

春の水やり
具体的な量は3~4月は生育旺盛なので月に2回程度、鉢底から流れ出るまで与えます。5月からは徐々に水量を減らし、10日おきに1回ぐらいに減らしていきます。

休眠期は断水する
6~9月は休眠期なので、全く水をやらない「断水」をするか月に1回軽く土を湿らせる程度与えます。夏の水やりは月1回でもリスクは大きく、できるだけ涼しい日の夕方に鉢の表面から1cmくらいが湿る程度の水を与えます。心配な場合は、6~8月の3ヶ月間は一滴も与えなくても問題ありません。初心者のうちはそうしたほうがよいかもしれません。参考までに…管理人もリトープスは夏でも水やりを続けますが、モニラリアは完全に断水で管理しています。

生育期の水やり
10~11月は生育期なので月2回ほど鉢底から流れ出るまで与えます。11月からはだんだん冬に向けて量と回数を減らしていきます。12~2月は1月に1回ほど表面を濡らす程度に抑えます。10月から冬にかけては水やりを控えた方が耳(葉)の伸びが遅くかわいい姿を楽しめますが、生育が制限されるため大きくなるのに時間がかかります。早く大株にしたいか、毎年のうさ耳を楽しみたいか状況に応じて選ぶとよいでしょう。

※モニラリアは種蒔きから1年以内と2年目以降は大きく水やりの仕方が違うため、種蒔きしたての苗については、実生ページを参考にしてみてください。

モニラリア(ウサギの耳)実生記録-種まきからの育て方を解説!

置き場

置き場1年間を通して雨が当たらない風通しのよい戸外に置くのが基本です。ただ5~10月は日差しが強すぎるので明るい日陰に置くか、70%程度遮光した屋外に置きます。他の多肉植物より耐陰性があるようで日陰に置いてもあまり徒長しませんが、よく生育するためには秋から春にかけては直射日光下においたほうがよいでしょう。直射日光下に置ける時期は10月中旬~2月末ごろまでです。3月以降や10月以前はやや遮光した方がよいでしょう。

モニラリアは冬型の多肉植物ですが、日本の凍るような冬の寒さは苦手で、12~2月のうち0℃以下になる日は温室か室内に取り込みましょう。0℃以上の時は直射日光の当たる屋外に置き、3月まではしっかり日光浴させます。

耐暑性と最高気温・夏越しの方法

夏越し耐暑性は弱く休眠するため、できるだけ涼しい所に置きましょう。真夏の直射日光は55℃にも昇るので、気温が25℃を超えたら直射日光に当てないように50%遮光シートをかけるか半日陰で管理します。水分をほとんど与えず風通しをよくして日陰で管理すれば、実測値40℃程度は耐えられます。

休眠時と脱皮について
6月になると緑色の葉は茶色くなり、まるで枯れているように見えますが中はちゃんと生きていますので問題ありません。夏が終わるころ茶色い皮を脱いで緑色のウサギの耳が生えてきます。このあたりはコノフィツムと似ています。もし9月末になって水やりを再開しても新葉が出てこない場合、残念ながら夏越しに失敗して枯れてしまっています。

越冬最低温度と冬越し方法

冬越し書籍では越冬最低気温は0℃とされています。実際に2℃程度は経験していますが問題なく成長しています。

実は一番寒い1~2月はモニラリアも生育が鈍くなります。冬型の多肉植物ですが、よく生育する気温が5~20℃なので凍結する日本の冬は寒すぎます。凍らせたり霜に当てたりすると枯れてしまいます。メセンの場合根が無事でもそこから再生するのは難しいです。そのため余裕をもって3℃以上を保ちましょう。

関東以北の寒冷地では毎日0℃を切るため、冬場長い期間室内の窓辺などの日当たりのよいところへ取り込む必要があります。そこで室内ではエアコンによる乾燥のしすぎや、暖かすぎを避けるようにしましょう。

具体的な地域別の気温や降雨量、日照時間などと置き場所については以下のページで解説しています。
寒冷地(宮城)での気温と多肉植物の冬越し(置き場所)
関東(東京)での気温と多肉植物の冬越し(置き場所)

増やし方

殖やし方モニラリアは種まきが一般的で、9~10月に種まきで殖やします。種蒔きの方法はそれほど難しくありません。

詳しい方法はモニラリアの実生(種蒔き)ページで解説しています。

株分けもできますが、数年育て大株にならないと難しいです。また葉挿しや挿し木などもできません。

植え替え

10~11月頃の生育期が適期です。昨年度の9~10月に種蒔きした分を初めて植え替えます。植え替える際は、1週間ほど水を与えないで土を乾かし、根と土がほぐれやすくします。1年では根張りもそれほどないと思いますので、スプーンなどで丁寧に株を掘り出して根を切り詰め、混雑した株を間隔をとって植えつけます。根をやや切っていますが、そのまま水を与えても問題ありません。コツは充分に涼しくなった頃に行うことです。日差しが強い9月頃はまだ早く、日中温度が25℃以下になってからのほうが安全です。また植え替えした後の苗は弱っているので、直射日光下に置かず半日陰に2週間程度置きます。モニラリアの場合、苗が途中で枯れるなどして混み合っていない場合、1年目は植え替えをしなくても大丈夫です。

土と鉢と肥料

土土はリトープスと同じような土がよいでしょう。リトープスの土についてはこちらを参照していただきたいのですが、水はけがよく水もちのやや悪い配合で、水がよく通る(貫通する)ような土です。もちろん市販の多肉植物の培養土でも大丈夫です。株が小さいうちは小粒の土のほうが根張りがよくなります。

施肥で生育を良くする
肥料は与えなくても育ちますが、与えた方が生育がよくなり大きくなります。ただ葉の伸びも旺盛になるので、ウサギの耳があまり楽しめないかもしれません。そこで施肥の時期を10~11月にせず、2~4月しておけば秋の耳の伸びを遅らせることができます。赤玉土や鹿沼土、ピートモスなどはいずれも肥料が入っていないので、そのまま何年も育てると肥料不足になってしまいます。1年のうち最低1ヶ月くらいは肥料を与える時期を作ったほうがよいでしょう。

病害虫

病害虫2年半育てていますが、病害虫の被害には遭っていません。あまり心配ない丈夫な品種だと思います。ただ防虫ネットは張って、チョウやカメムシなどが侵入しないようにはしています。

スポンサーリンク

育て方のポイント(種まきから12ヶ月以内の苗)

種まきから1年以内は成長した成株とかなり異なる育て方をします。

水やり

水やり
4ヶ月以内
種まき半年以内は乾燥は厳禁です。発芽してから2ヶ月間は水を切らさないよう、水を張った容器に鉢ごとつけておく「底面給水・腰水」を行います。9~10月頃気温が25℃を切る辺りに腰水(底面給水)をして種を撒きラップをかけ、年内11~12月は腰水をつづけ土を乾かさないようにします。1月頃には苗がだいぶ丈夫になって水切れに強くなっていますので、腰水をやめるが、ラップはしたままで表土が乾かないように絶えずスプレーで水を与えます。

5ヶ月~7ヶ月目ごろ
2月(5ヶ月経過)ごろになったら、ラップをはがし普通の多肉植物と同じようにじょうろでの水やりに切り替えます。あまり長く腰水をしていると徒長したり、冬場の寒さに弱くなったりします。じょうろでの水やりでは、鉢底から流れ出す程度しっかり月3回ほど与えます。その後3月、4月と同じような水やりを続け、5月は土を乾かし始めます。

一度目の夏越し
5月には月に2回程度の水やりにします。6~8月は月に1回表面を濡らす程度与えます(初めての夏越し)。小さい苗は完全に断水すると枯れる心配があるので断水はしないようにします。この頃はまだ根張りも深くはないので、さらっと表土を濡らす程度で充分効果があります。夏を越して9~12月(種まきから1年過ぎた秋)は月2~3回程度の水やりに増やし、以後1年目以降の育て方に準じます。

置き場

置き場凍結する寒い日以外は基本、雨が当たらない外の風通しのよい所で栽培します。種まき直後は室内のレース越しに置きます。1ヶ月程度で全部発芽したら、屋外の直射日光が当たらない所で管理します。日が当たる場所しかない場合は、鉢底ネットをカットしポットにかぶせれば50%遮光になります。12~2月も引き続き屋外の半日陰に置くか、0℃を切る場合は室内の窓辺に取り込みます。3~4月は屋外の風通しのよい日なたで育てる。このころから日よけ用の鉢底ネットを外しても大丈夫になります。5月頃からは日差しが強くなるため50%程度遮光を始め、6~8月は70%遮光するか明るい日陰に置きます。

夏越しと冬越しの方法

夏越し
通常、冬型のメセン類は夏に断水したりごく少量の水やりにしますが、種まき後の小さい苗は乾燥と直射日光に弱いので、なるべく涼しい日陰に置き、月に2回程度はさらっと水を与えます。夏は枯れたように見えますが中は生きているので心配はありません。むしろ心配して水やりを多くすると蒸れて枯れてしまいます。土がカラカラで直射日光を遮っていれば実測値40℃程度も耐えられます。

冬越し
成株と同じように0℃を切る場合は室内の日が当たるところに取り込みます。0℃となっていますが、幼苗は腰水をしており凍結に弱い点から3℃以下で室内に移動させた方が安全です。また冬型の多肉植物なので5~15℃を保ったほうがよく生育します。12月までは乾燥予防のラップが外せませんが、1月以降は腰水もやめ徐々に通常の育て方に切り替えていきます。冬なのでカビが出たり溶けたりはしにくいですが、ラップが直接葉にかかっていると株が溶けることがあるのでセロテープで固定するなどして予防しましょう。

植え替え:

種まきから1年未満は植え替えを行いません。

土と鉢と肥料

土種まきには土選びが欠かせません。土は自分で配合することもできますし種まき用の土を買っても良いです。またモニラリアは人気種なので初心者向けの種と土の栽培キットが販売されていることがあります。モニラリアの栽培キットはアマゾンやメルカリなどで1セット1,000円程度から販売されています。(種だけの場合の目安は10粒500円程度です。)

市販の土を買う場合、表土には種まき用の細かい土を選びましょう。普通のサボテンや多肉植物用の培養土では目が粗すぎて根が伸びづらいため、表面の土は目の細かいものにします。鉢の底には中粒程度の赤玉土などを敷き、その上には通常の培養土を入れ、最後に1.5cmくらいの表土に目の細かい種まき用の土をいれるとベストです。この層のような構造は自分で作る場合も、市販のものを使う場合も同じです。

また病害虫を防ぐため、古い使い回しの土ではなく、かならず新品の土を使うようにしましょう。以前に何かを育てた土は雑草の種や害虫の卵、かびの胞子などが入っていることがあるので避けるようにします。

自分でブレンドする場合は、細粒鹿沼土、細粒バーミキュライト単体のほかに、ピートモスやパーライト、くん炭なども使えます。川砂など重い土は避けます

ブレンド例
鉢の底部は3cmほどボラ土小粒、上部は細かくて水はけが良く軽いピートモス3:パーライト1:バーミキュライト1:くん炭2:鹿沼土1:ボラ土2など

モニラリアの栽培でよくあるトラブル

    種まきしたが芽が出ない・・・種は発芽日数に個体差があるので1ヶ月くらいは待ちましょう。発芽率は100%ではありません。1ヶ月過ぎても出ないものは発芽しない種の可能性があります。また1個も芽が出ないという場合は環境が適切でない(置き場所や土の種類、水やりの状態が合わない)可能性が高いです。また粗悪な種を購入してしまうとほとんど芽が出ないことがあります。
  • 水やりしたら苗が見えなくなった・・・大きさが5mm以内の苗は苗が流れてしまうのでジョウロで与えず底面給水しましょう。苗がしっかりしてきたらスプレーなどで水やりし、最終的には成株のように水やりをします。
  • 5月頃から枯れてきて緑色ではなくなった・・・休眠時の姿なので問題ありません。そのまま水をやらずに秋になると新葉が出てきます。
  • 葉が伸びすぎてしまった・・・休眠から覚めて新葉が出る時水やりが多いと、あっという間に成長して葉が長くなってしまうことがあります。葉の長さ短めを保つにはやや水やりを控えて月2回程度にするとよいです。

実際の種まきの画像についてはこちらを参照ください。
モニラリア(ウサギの耳)実生記録-種まきからの育て方を解説