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アオムシ・イモムシの多肉植物への殺虫剤と駆除方法や予防

※このページでは、多肉植物に使える農薬について記述していますが、適用外の作物への殺菌剤の使用を推奨する意図はありません。あらかじめご了承ください。(多肉植物に使う場合、観葉植物への適用がない農薬を使うと農薬取締法に抵触してしまうため、自己責任での利用となります)

アオムシ(モンシロチョウの幼虫)やシジミチョウの幼虫など、いわゆるイモムシ系が多肉植物についた場合の駆除方法や効果的な殺虫剤、殺虫剤を使う時の注意点、農薬以外の方法などについて解説しています。また、イモムシの写真が苦手な方もいるため、代表として小さく写っている写真1枚だけを載せています。

アオムシ(イモムシ)とは

アオムシ

出典:Wikipedia

アオムシ(青虫)はチョウの幼虫の中でも体に長い毛がなく、緑色をしているものを指します。その代表がモンシロチョウの幼虫です。またイモムシとは、体の色が緑色でないものも含めたアオムシより広い意味の言葉です。

またケムシは長い毛で覆われているものを指します。いずれも明確な定義があるわけではなく、おおざっぱな区別です。チョウ(蝶)の幼虫が青虫、ガ(蛾)の幼虫がケムシ(毛虫)といわれることもありますが、必ずしもそうではありません。

そこでこのページでは、それらをまとめて解説しています。

どちらにしてもイモムシやアオムシは草木に寄生して葉を食べる食害型の害虫です。いわゆる「虫食い」を起こすもので摂食力は旺盛で、そのまま放置していると葉脈を残してほとんど株全体を食べてしまうことがあります。

付きやすい種類と時期

多肉植物では、アオムシが付きやすいものと付きにくいものがあり、セダム属が被害に遇いやすいです。しかし時に色々な属の種類の多肉植物を食べ、アエオニウム属、アナカンプセロス属、ヒロテレフィウム属などを食害することが確認されています。

エケベリア属やグラプトペタルム属などにも、アオムシ・イモムシの卵が産み付けられますが、孵化しないで卵がそのままになっているのをよく見かけます。

イモムシ・アオムシが付きやすいのは、モンシロチョウ、モンキチョウ、シジミチョウなどが飛来する4~6月と9~11月頃です。冬は被害がなく真夏は被害が少ないです。また寒冷地では夏に多く発生します。

アオムシ・イモムシの駆除方法

アオムシ・イモムシの駆除方法は2通りあります。

手で取る

農薬 殺虫剤

一つ目は手作業で取ることです。

蝶が飛んでくると卵を産み付けるので、それを綿棒などで一つずつ取り払います。また卵は見つけにくい所に産み付けられることが多いので、取り残しが発生してしまいます。

この場合、孵化した幼虫を見つけ次第捕殺します。最初は数ミリのサイズしかなく、見つけづらいですが、大きくなってくるとフンが周りに落とされ食害も酷くなっていきます。

それでも鉢の数がそれほど多くない場合は、なんとかなるケースもあります。問題なのは鉢の数が多い場合です。鉢が20、30個と増えてくると対応しきれなくなってきます。

殺虫剤を散布

農薬

二つ目は殺虫剤を使う方法です。

イモムシを見つけた場合、それはすぐに捕殺しますが、簡単にみつからないところに他のイモムシがいることが多いため、殺虫剤を撒きます。

殺虫剤には直接イモムシにかけて殺すものと、葉に成分を染みこませてそれを食べたときに死んでしまうタイプの2つがあります。直接アオムシにかけて殺すのがよくみる殺虫剤のタイプですね。

この二つは場合に応じて使い分けたり、併用することもあります。

殺虫剤を使う場合

殺虫剤を使う場合について、よくある疑問点や殺虫剤の種類の選び方、使う時の注意点などについて解説します。

多肉植物に使っても良いの?

疑問 質問 答え

まず、多肉植物に殺虫剤を使って良いのでしょうか?

実は農薬はどの植物にどの薬品を使ってもよいのではなく、この作物には何倍で何回使用するなどの適用病害虫と散布方法が定められています。キュウリが載っていればウリ科のもの全般にかけてよいのではなく、記載されている以外の植物には使わないのが決まりとなっています。

それでは多肉植物は適用病害虫の記載があるでしょうか?

残念ながら、多肉植物が適用病害虫に載っている薬はありません。しかし多肉植物は観葉植物の一つでもあります。そのため観葉植物の項目に準じて使えば大丈夫です。

ヒトへの安全性は?

農薬(園芸薬品)は農薬取締法という法律で厳しく規制されており、市販されている農薬は全て国の厳しい基準をクリアしています。

  • 病気・害虫への効果
  • 使用者(人間)
  • 自然環境(土壌や魚類への影響)
  • 作物に対する影響

など様々な試験を行い安全性が確認されたものだけを市販しています。

そのため一般の植物でも多肉植物に使うにしても、市販された農薬を決められた方法で使うのであれば、安全に使うことができます。

しかし農薬は正しく使わないと、人体に深刻な被害をもたらすことがあります。原液を薄めて使うタイプは濃厚な薬剤なので、スプレー剤やペレット剤より濃く眼や皮膚への刺激性が高いです。そのためラベルや中に入っている説明書をよく読むことが大切になります。

説明書には調合時や散布時「保護めがねを付ける、不浸透性手袋をつける、ゴム長靴を履く」などの使い方の注意点や、万一眼に入ってしまった場合の対処方法が書いてあるので読み飛ばさないようにしましょう。

多肉植物への害は?

火祭りの薬害

クラッスラ属「火祭り」の薬害

農薬の種類によっては特定の作物に使用すると奇形など薬害が生じることがあります。その場合、農薬のラベルや説明書に使わないようにする旨が書かれているので必ず確認します。

多肉植物の中には薬害がでやすく、数回かけただけでも葉に奇形を起こしたり薬害が出る場合があります。

管理人の環境ですが、たとえばクラッスラ属の火祭りはベンレートをかけると葉の出方がおかしくなり、新芽に奇形が出てしまう薬害があります。

また金のなる木(花月、黄金花月)などでは、葉が小さくくびれるといった現象を確認しています。そのため初めて農薬を使う場合は、多肉植物の目立たない所に散布して、薬害が出ないか確かめてから使うようにしたほうがよいでしょう

天然成分のものもある

殺虫剤の中には化学薬品でできたものばかりではなく、天然成分(デンプン由来の成分や除虫菊の成分、シイタケ菌由来のもの、油など)でできているものもあります。そのような殺虫剤はより安全性が高く安心して使うことができます。

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効果的な殺虫剤

農薬

殺虫剤には効果・使い方でいくつかの種類があります。

直接殺すタイプ

一つ目は接触剤といわれるもので、害虫の体にかけたり植物の葉や茎にかけてそれに害虫が触れて退治するものです。一般的に使われているのがこれで、害虫を見つけてそれに吹きかけるタイプです。速効性があり、見た目で効果も分かりやすいです。

ベニカXファインスプレー <ベニカXファインスプレー>
ベニカXファインスプレーは害虫と病気に対応する殺虫殺菌剤のひとつで、クロチアニジン、フェンプロパトリン、メパニピリムを含んでいます。害虫に対して予防と殺虫効果、病気に対しては予防効果があり、観葉植物(多肉植物)や花卉類、などに広く使うことができます。害虫ではアオムシ、アブラムシ、ハダニ類、カイガラムシ、ケムシ、コナジラミ、アザミウマなどに効果があります。速効性と持続性があり、アブラムシでは1ヶ月程度効果が続きます。観葉植物への適用があります。
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GFオルトランCスプレー <オルトランスプレー>
GFオルトランC(オルトランスプレー)は害虫と病気に対応する殺虫殺菌剤のひとつで、アセフェート・MEP・トリホリンを含みます。害虫に対しては速効性と持続性があり、病気に対しては予防効果と治療効果があります。この中でアセフェートとMEPがアオムシに効果がある成分で、アセフェートは持続性がありMEPは速効性があります。※ただし観葉植物への適用がないため自己責任での使用になります。農薬の適用外の作物への使用は農薬取締法に抵触しますので気をつけましょう。
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マラソン乳剤 <マラソン乳剤>
マラソンはマラソンという成分を主成分としており、広範囲の害虫に効果を発揮する代表的な殺虫剤です。直接害虫の体に働きかけ防除します。アブラムシ、ハダニ、アザミウマ、アオムシ、キアゲハ、カメムシ、カイガラムシ、コガネムシなどに効果があります。観葉植物にも適用があり、植物への薬害も少ないです。
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スミチオン <スミチオン乳剤>
スミチオン乳剤はMEPという成分を主成分としており、広範囲の害虫に効果がある代表的な殺虫剤です。アオムシ、バッタ、ハマキムシ、アブラムシ、カメムシ、ヨトウムシ、ケムシ、コガネムシなどに効果があります。観葉植物にも適用があり多肉植物に使いやすいです。
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予め撒いておくタイプ

もう一つがあらかじめ多肉植物に撒いておき、害虫が多肉植物を囓った際に死んでしまうものです。浸透移行性剤といいます。多肉植物の栽培が大規模になってくると、このような殺虫剤を予防的に撒いておくことが一般的になります。

オルトランDX粒剤 <オルトランDX粒剤>
オルトランDX粉剤は害虫に効果がある殺虫剤で、アセフェート、クロチアニジンを含みます。害虫に対しては予防的な持続効果があります。害虫ではアブラムシ、アオムシ、コガネムシの幼虫、コナカイガラムシ、コナジラミ、ハモグリバエなどに効果があります。観葉植物にも適用がありアブラムシでは約1ヶ月の効果が持続します。速効性はないので、害虫発生前に蒔いておく必要があります。
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オルトラン水和剤 <オルトラン水和剤>
オルトラン水和剤はアセフェートを主成分とする殺虫剤で、植物の体に行き渡り株全体に効果がある浸透移行性をもちます。速効性はありません。幅広い害虫に効果があり、アブラムシ、アオムシ、アザミウマ、カイガラムシ、テントウムシだましの幼虫、ハナムグリ、ハマキムシなどに効果があります。観葉植物も適用作物なので多肉植物でも使いやすいです。
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ベニカ水溶剤 <ベニカ水溶剤>
ベニカ水溶剤はクロチアニジンを主成分とする殺虫剤で、植物の体に行き渡り株全体に効果がある浸透移行性をもちます。速効性はありません。幅広い害虫に効果があり、アブラムシ類、アオムシ、アザミウマ類、コガネムシ類、コナジラミ類、ハモグリバエ類、カイガラムシ類、ケムシ類、カメムシ類、テントウムシダマシ類、ウリハムシ、コナカイガラムシ、アゲハ類などが対象です。観葉植物にも適用があるので、多肉植物に使いやすいです。
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病気に対応するものも

イモムシ・アオムシに効く以外に、病気にも対応してくれる農薬もあります。両方に悩まされた場合は、このタイプが便利です。

先ほどのオルトランCスプレー、ベニカXファインスプレーなど

農薬・殺虫剤を使う時の注意点

注意点

スプレー剤でも、薄めて使うタイプのものでも、本体ラベルに使う上での注意点が書いてあるので、しっかり確認するようにします。

一般的に

  • 体調の優れない時は薬剤散布を行わない
  • 雨が降りそうなときや風が強い時は避ける
  • 夏の高温時は薬害防止のため、夕方など涼しい時間帯に散布する
  • 作業後は手足や顔を石鹸で良く洗いうがいをする
  • 子供やペットに触れないようにしする
  • マンションなど集合住宅では隣、上下に飛ばないように注意する
  • 洗濯物にかかったり室内に吹き込んだりしないようにする

などの注意が必要です。

また殺虫剤の種類によって

  • 希釈するタイプは倍率を守る
  • 液が残ったら排水には流さず土にかける
  • エアゾール剤では多肉植物に近づけすぎないようにする

などの注意点を守りましょう。

※エアゾール剤とは、ボタンを押すとシューと自動で出てくるもの

アオムシ・イモムシの予防方法

観察 病害虫
既に発生してしまっている場合は、それ以上広げないことが先決ですが、予防することもとても大切です。

普段からよく観察する

まず普段から多肉植物をよく観察しましょう。アオムシ・イモムシの被害は早期発見が大切です。そのためには葉や茎を観察するだけでなく、チョウが飛び始めたら卵を産み付けられることを警戒することも必要です。

購入時にチェックする

新しい株を買ってきたら、そこにアオムシ・イモムシの卵がついていないか、また幼虫がいないかしっかりチェックしてから、多肉植物の置き場所に置くようにしましょう。

防虫ネットを張る

防虫ネットを張るのは根本的かつ効果的で安全な対策方法です。防虫ネットを張っているとチョウが侵入できないため、駆除の手間が省けるほか、農薬を使わないでよいので無農薬栽培ができます。

薬剤を散布しておく

多肉植物の鉢が数十個を超えるなど多い場合で防虫ネットを張れない場合は、事前に殺虫剤を撒いておく予防散布が効果的です。この場合、薬剤の効果期間に合わせて1ヶ月に1回など定期的な散布が必要になります。ですが被害が広がることがないので、多肉植物への食害・吸汁ダメージを最小限に抑えることができます。

病害虫対策
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