目次
スタペリア属の写真
犀角(サイカク)・ヒルスタ | グランディフローラ | leendertziae |
王犀角(オウサイカク) | 王犀角 |
※写真はいずれもWikipediaより引用しています。
スタペリア属(Stapelia)の特徴
科 | キョウチクトウ科(旧ガカイモ科) |
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属 | スタペリア属(Stapelia) |
生育型 | 春秋型~夏型 |
育てやすさ | 育てやすい |
成長速度 | 普通 |
増やし方 | 株分け、挿し木(挿し芽)、種まき(実生) |
原産地 | 東部アフリカ、南部アフリカ |
※4段階評価
育てやすい–普通–やや難しい–難しい
成長が早い–普通–遅い–とても遅い
スタペリアとは?
多肉植物の中でもひときわ異質な姿のスタペリア。水をため込む性質のため葉が退化してほとんど茎だけになってしまっています。葉がないため、葉の代わりに茎で光合成しています。花が特徴的で、大きな星形やヒトデのような形で斑点があり、最初にみかけると不気味にさえ感じられますが、コレクターの中ではこの花が注目ポイントです。スタペリアはアフリカ東部からアラビア半島、南米の比較的暖かい地帯に50種類ほどが生息しています。
特徴
多肉植物の中では高温を好み寒さに弱く8℃が最低気温です。同じキョウチクトウ科(ガカイモ科)のフェルニアととても近い種類で性質も姿も似ています。スタペリアの花はとても風変わりですが、においも変わっており腐った肉のにおいを放ち虫を呼んで受粉をしてもらいます。葉がなく茎だけなので、サボテンと間違えそうになりますが、刺座(しざ)がなくサボテンではありません。
育て方
多肉植物の中では丈夫で栽培もしやすいグループです。育て方のポイントは、冬の寒さ対策を徹底することです。暖かい地域生まれの植物なので寒さに弱く、10℃以下で生育が鈍り休眠します。最低越冬温度5℃となっていますが、できれば8℃を切ったら室内や温室などに取り込んだほうがよいでしょう。凍らせると確実に枯れてしまいます。夏の暑さには比較的強いですが、多湿には弱いので風通しに気をつけて育てましょう。
育て方のコツ
- 冬の寒さに弱く、8℃以下で室内に取り込む
- 多肉植物の中では育てやすく、比較的高温にも強い
- 生育期はよく日に当て、水もたっぷり与える
- 生育が旺盛なので肥料も比較的多めに与える
生育型 | 夏型 |
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生育期 | 4~9月頃 |
休眠期 | 12~3月 |
緩慢な時期 | 10~11月 |
水やり |
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置き場所 |
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植え替え | 5~7月に年1回行う |
増やす | 5~7月が適期。株分け、挿し木、種まき(実生)ができる |
肥料 | 比較的多めを好む。4~7月の植え替え時期に土に固形の緩効性肥料を混ぜ込んでおく。5~7月と9~10月に月1~2回ハイポネックス1000倍などの液肥を与える |
開花 | 初夏に赤褐色、黄色、赤紫色などの色の花を咲かせる。サイズは種類により直径1cm~30cm |
主な種類名
犀角(サイカク) | Stapelia hirsuta |
牛角 (ギュウカク) | Stapelia variegata |
王犀角(オウサイカク) | Stapelia gigantea |
紫水角 | Stapelia olivacea |
グランディフローラ | Stapelia grandiflora |
ピロサス | Stapelia pilosus |
ディバリカータ | Stapelia divaricata |
クラビコナラ | Stapelia clavicorona |
エレクティフロラ | Stapelia erectiflora |
ガリペンシス | Stapelia gariepensis |
ゲッテリフェイ | Stapelia gettliffei |
スキンジー | Stapelia schinzii |
スキツラ | Stapelia scitula |
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育て方のポイント
寒さに弱いですが、全体的には丈夫で育てやすいグループに入ります。日本の草花と同じように春から動き始め夏に活発になり秋まで育ちます。生育期は水が少ないと弱るので、他の多肉植物より多めの水やりをし、じめじめしていない日なたで育てます。
水やり
基本的に生育期は土が乾いたらたっぷりと与え、休眠期は全くやらないというメリハリをつけることが大切です。
生育期の管理
3~4月は夏に向けて少しずつ水やりを増やしていきます。頻度は2週に1回程度、鉢の中全体が湿るくらい与えます。5~9月の生育期は週1回、鉢底から流れ出るまでたっぷり与えます。多肉植物は水やりを控えがちですが、スタペリアは多めが望ましいです。この時期に水を与える時は、真昼など水が暑くなる時間でなく、夕方涼しくなってからにします。
緩慢~休眠期の管理
10~12月は気温が下がり休眠期に近づくため、2週に1回~月1回程度にします。だんだん土の乾きが悪くなるのでそれに合わせて減らしていきます。1回当たりの量も鉢底から流れ出るほどではなく、さらっと鉢の真ん中まで湿らせる程度にします。10月は生育停止ではなく緩慢なので11~12月より多めに与えます。
1~2月は休眠期なので断水します(水を全く与えません)この時期水を与えてしまうと、根が水を吸わないので根腐れを起こしてしまうことがあります。
水やりのコツ
地域や環境、株のサイズや状態によっても必要な水の量は異なります。大切なのは土が乾いたかどうかを確かめ、株の状態に合わせて必要な分だけ与えることです。土が乾いたかどうかは、鉢を持ち上げて軽くなっているか確かめる、竹串を土に挿しておき先の濡れ具合をみる、鉢底穴から土の状態を見てみるなどで判断できます。また水を与えてシャーと音がしながら吸い込んでいくときは、しっかり土が乾いている証拠です。
置き場
耐寒性が弱く耐寒温度は8℃程度です。同じくガガイモ科(キョウチクトウ科)でスタペリアに近いフェルニア属よりさらに寒さに弱いので、室内に取り込んでいる時期が長いです。また年間を通して雨の当たらない風通しがよい所が望ましいです。
季節ごとの置き場所
8℃を下回る間(11月~3月)は室内の窓辺や温室などに取り込んだままとなります。できるだけ日が差して明るい所を選びましょう。寒冷地では冬の夜間の窓辺はかなり寒くなるため、部屋の中央など8℃を保てる所に置く必要があります。暖地などで8℃を上回っている場合は、外に出してできるだけ日光浴させます。遮光は必要ありません。
4~10月は8℃以上になれば戸外に出します。自生地は日光を遮るものがない場所なので日本でも遮光せずに育てます。ただ乾燥した湿度の低い地域の植物なので、日本夏場の蒸し暑さで急に腐ってしまうことがあります。
耐暑性と最高気温・夏越しの方法
スタペリアは春秋型~夏型となっていて15~35℃でよく生育します。他の多肉植物では、夏型でも6~8月に遮光気味にする場合が多いですが、スタペリアの場合、日を遮るものがない場所で自生しているので、遮光は必要ありません。むしろしっかり日に当てることで生育が旺盛になります。
越冬最低温度と冬越し方法
最低越冬温度は8℃です。10℃以下で休眠状態になります。暖かい地域の植物なので日本の寒さには弱いです。秋は休眠期へさしかかるので植え替えは避けて春に植え替えを行い、秋までに株を丈夫に育てておきます。10月以降は少しずつ水やりの量を減らして休眠させていき、1~2月は全く水をやらず室内で8℃以上を保ち暖かく過ごさせます。
具体的な地域ごとの冬の気温と置き場所については以下のページで解説しています。
関西地方の気温と冬の置き場所
暖地の気温と冬の置き場所
関東の気温との置き場所
寒冷地の気温と置き場所
北海道の気温と冬の置き場所
冬は水分をほとんど必要としません。そのため1~2月は一切水を与えない「断水」を行います。断水をすると耐寒性を高める効果もあります。
増やし方
スタペリアは挿し木、株分け、種まき(実生)の3種類の方法で増やすことができます。スタペリアの体はほとんど茎でできているため葉挿しはできません。
挿し木の方法
挿し木は生育期の5~7月に行います。挿し木は茎を5cm程度切り取り切り口を4~5日ほど乾かします。その後新しい乾いた土に挿して1週間ほどしてから水やりを開始します。根が出るまで土は少し湿った状態を保ち、根が出るまでは日なたに出さずに日陰に置いておきます。根がしっかり出て株が丈夫になったら本来の置き場(日なた)に出します。
株分けの方法
スタペリアはよく増えます。株分けは4~7月の植え替え時期に同時に行うとよいです。株元から子株が出てきたら、数センチ程度に成長するまで待ち、丁寧に親から取り外します。そして新しい乾いた用土に植え付けて発根を待ちます。根が出てきたら水やりを始めま、その間は日なたではなく日陰で管理します。
植え替え
スタペリアは繁殖力が旺盛で、鉢で育てていると根で一杯になってしまいます(根詰まり)。そのため年に1回植え替えを行います。植え替えは生育期4~7月に行います。
事前に鉢の中の土を乾かし気味にしておき土をほぐしやすくします。鉢から抜いたら根を整理し、古い根は切り捨てます。鉢の周囲と底の土を三分の一ほど落とし、一回り大きな鉢に植え付けます。このときマグアンプKなどの緩効性肥料と腐葉土(土の10%程度)を混ぜ込んでおくとよいでしょう。水やりは植え替え後4~5日後から開始します。
土と鉢
土を選ぶときのポイントは排水性がよいことですが、スタペリアの場合は他の多肉植物よりやや保肥性と保水性がある土を好みます。多肉植物用の土を使う場合は、腐葉土やバーミキュライトなどを追加して水持ちをよくする。花や野菜に使う一般の園芸用の土は肥料が多すぎたり、排水性が悪すぎたりするのでそのまま使うことはできず、赤玉土や軽石などを混ぜて使う必要があります。
自分で配合した土を使ってもOKです。自分で土を作る場合は、1種類ではなく4種類以上の色々な土を入れることが大切です。
(例1)腐葉土2:赤玉土2:くん炭1:川砂1
(例2)多肉植物の土4:腐葉土1
肥料
スタペリアは生育が旺盛で肥料をやったほうがよく育ちます。4~6月の植え替え時期に緩効性肥料を土に混ぜ合わせるとよいでしょう。生育は旺盛なので春だけでなく、秋(9~10月)にもハイポネックス1000倍などの液肥を月2回程度与えます。
開花
旧ガガイモ科の植物は変わった花を咲かせるものが多いですが、スタペリア属もたいへん珍しい花を咲かせます。種類によって星形やヒトデ型で赤色に毛が生えている、黄色に黒の斑点など目立つものが多いです。全てではありませんが、花の香りが腐った肉のようなニオイで虫を呼び寄せるものがあります。このニオイはハエをおびき寄せ、卵を産み付けさせウジ虫が受粉を手伝います。犀角は赤紫色の花(直径1.5cm)、牛角は黄色に暗赤色の斑点のある花、王犀角は黄色に紫色の斑点が入った花を咲かせます。直径30cm
スタペリアの花芽は若い茎にできることが多いです。花を観賞するには、定期的に茎の先を切り取り(摘芯)そこから新しい茎を出させ、そこに花芽が付くのを待ちましょう。また株元から花芽が伸びてくる種類もあります。
病害虫
乾燥がちに育てるので、根にサボテンコナカイガラムシ(ネジラミ)がついたり、葉の付け根にカイガラムシが発生しやすいです。根に白い虫が付いていたらその部分を取り除くか、オルトランなどの殺虫剤を撒いておきます。根ジラミが付くと生育が悪くなるので、生育が悪いなと感じたら抜き取ってチェックしましょう。
スタペリアによくあるトラブル
- なかなか花が咲かない(花芽がつかない)・・・若い茎に花芽がつきやすいので、茎を途中で切って新しい茎を出させてみましょう。
- 花付きが悪い・・・植え替えを怠ると根がいっぱいになり花がつきにくくなるので、1年に1回植え替えを行います。
- 生育が悪い・止まっているように感じる・・・根にネジラミがついている可能性があります。一度掘り出して白い虫がついていないか調べましょう
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