多肉植物「アエオニウム属」の詳しい育て方(水やり、遮光、夏越し、寒さ対策など)を解説しています。
目次
アエオニウム属の写真
夕映え | 黒法師 | 艶姿 |
愛染錦 | 小人の祭り | サンバースト |
姫明鏡 | 仙童唱(センドウショウ) | 不明種 |
不明種 | レモネード |
アエオニウム属の基本情報
科 | ベンケイソウ科 |
---|---|
属名 | アエオニウム属 |
属名 | Aeonium |
生育型 | 冬型 |
育てやすさ | 育てやすい |
成長速度 | 普通 |
増やし方 | 挿し木 |
耐寒性 | 普通 |
耐暑性 | 普通 |
耐寒温度 | 5℃ |
実測温度 | 0℃~40℃ |
原産地 | カナリア諸島、マデイラ諸島、モロッコ、東アフリカ |
※4段階評価
育てやすい–普通–やや難しい–難しい
成長が早い–普通–遅い–とても遅い
耐寒性-強い・普通・やや弱い・弱い
耐暑性-強い・普通・やや弱い・弱い
※耐寒温度は水やりを控えた場合の目安値(書籍などによる推奨値)で、状況によりこれより狭くなることがあります。
※実測値は半日陰の場合で直射日光下ではこれより低くなります。
アエオニウム属の特徴
アエオニウムは典型的な冬型の多肉植物でカナリア諸島やマデイラ諸島などにおよそ35種が見つかっています。現地は割と穏やかな気候(地中海性気候)で、日本の梅雨~夏の高温多湿、冬の凍結するほどの寒さを苦手とします。多くの種類で葉はロゼット状(バラの花のような形に葉をつける)に生やし、中央から新葉が出て古い葉は枯れて落ち、次第に茎が伸びていきます。長く育てていると直径が5~25cm、高さが25~100cmになる種類もあります。
育てやすく強健な性質
夏は生育が鈍くなり半休眠状態に入り、秋から冬、春にかけての長い期間生育を続けます。茎を切れば挿し木ができますし、切った親株からも脇芽が出てよく増えます。また比較的夏の暑さに強く、遮光ネットを張り水やりを少なめにしておくと、多肉植物の中では比較的楽に夏越しができます。また0℃以下の凍る寒さはダメですが、1~2℃なら問題なく、暖地、関東以南では一年のうちほとんどを屋外で育てることができます。
カラフルで紅葉も楽しめる
アエオニウムは季節によって真っ黒や緑やクリーム色、紅葉など姿の移り変わりが楽しめる人気の種類です。中には「サンバースト」など一年中カラーに色づいている種類もあります。「夕映え」は夏の間は緑ですが、秋から春にかけては紅葉して葉のふちが白、ピンクに染まってきます。人気の「黒法師」には元々黒い「真っ黒法師」、日に当てると紅葉で黒くなる「黒法師(サンシモン)」があります。
育て方のコツ
- 年間を通して特に6月は通気をよく、雨ざらしは避ける
- 休眠期の6~9月は遮光して涼しく過ごさせる
- 夏の水やりは少量で、秋冬春は乾いたらたっぷりと
- ただ水不足で葉落ちしやすいので、土をカラカラにするのは避ける
- 冬3℃を切ったら室内に避難させる
育て方
アエオニウムは葉の薄いタイプが多いためか、他のベンケイソウの多肉植物に比べて水切れに弱いです。水分が過度に少なくなると葉をだらんと垂らしたり柔らかくなったりし、ここで水をやれば復活しますが、水をやらないでいると葉を枯らして全部落とし、棒のようになってしまうことがあります。
また他のベンケイソウ科の多肉植物より寒さに弱く、マイナスになると葉が著しく傷み枯れてしまうことがあります。そのため1~2℃になったら(できれば3℃)早めに室内に避難させる必要があります。
年間栽培カレンダー
生育期 | 3~5月と9~11月 |
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休眠期 | 7~8月 |
緩慢な時期 | 12~2月 |
水やり |
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置き場所 |
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植え替え |
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増やす |
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肥料 |
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開花 |
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※栽培カレンダーはあくまでも目安です。実際は土や鉢の種類、地域によって大きく異なります。この表は福岡県平野部で多肉植物用の棚を使って育てている場合の情報です。お住まいの地域や使っている土、置き場所によって適宜読み替えて下さい。
主な種類名
黒法師 (クロホウシ) | Aeonium arboreum ‘Zwartkop’ |
夕映え (ユウバエ) | Aeonium ‘KEWEONIUM’ |
愛染錦 (アイゼンニシキ) | Aeonium domesticum f.variegata |
艶姿 (アデスガタ) | Aeonium undulatum |
小人の祭り (コビトノマツリ) | Aeonium sedifolium |
オーレア | Aeonium aurea |
サンデルシー | Aeonium saundersii |
ドドランタリス | Aeonium dodrantale |
ベロア | Aeonium ‘Velour’ |
まだら黒法師 (マダラクロホウシ) | Aeonium arboreum var. rubolineatum |
艶日傘 (ツヤヒガサ) | Aeonium arboreum ‘Luteovariegatum’ |
五月雨傘 (サミダレガサ) | Aeonium sp. |
光源氏 (ヒカルゲンジ) | Aeonium percarneum |
明鏡 (メイキョウ) | Aeonium tabuliforme |
姫明鏡(ヒメメイキョウ) | 不明 |
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育て方のポイント
水やり
アエオニウムは他の多肉植物に比べて水切れに弱く、水やり回数が多く必要な種類です。水がしっかり行き渡っている時は葉がピンとしていますが次第に葉がだらんとなったり柔らかくなったりと、水やりが必要なサインを出します。
しかし通常の植物に比べれば水やり頻度、量ともに少なくてすみ、毎日など与えると根腐れを起こしてしまいます。
水やりの基本
栽培している地域や環境、土の種類、鉢の種類などによっても水やり量・頻度は異なります。そのためあくまで以下は目安にお考えください。大切なのは葉がだらんとするか柔らかくなるまで乾いてから水を与え、葉がピンとするように充分な量を与えることです。
生育期の水やり(3~5月、9~11月)
生育期には土が乾いたら、およそ週に1回ほど鉢底から流れ出るまでたっぷり水を与えます。
この間、もし土が乾いていないか葉がだらんと下がっていなければ、10日に1回など調節します。逆に5日で乾いてしまったのであれば5日間でも水やりを行います。
葉がピンピンしているうちに次の水やりをすると、間延び(徒長)を起こすことがあるので、株の状態をよく観察しながら水やりしましょう。
夏の水やり(6~8月)
35℃を超えるこの時期は、10日に1回ほどに減らします。梅雨時は土が乾きにくく、また7~8月は暑さで生育が鈍くなるので1回当たりの量も半分程度に減らします。鉢が重かったら無理に与えないようにしましょう。また水やりはできるだけ涼しい日や曇りの日などに、涼しくなる夕方から夜間にかけて行います。
冬の水やり(12~2月)
冬型の多肉植物ですが、10℃以下の寒さは苦手なので控えめにします。目安は10日~2週間に1回、土の深さ半分程度が湿るぐらいにします。5℃以下に下がったら無理に水やりしないようにします。できるだけ暖かい日を選び、午前中~昼頃の暖かい時間帯に行うようにしましょう。
多肉植物は夏や冬に水やりを控えることで体液が濃くなり、耐寒性・耐暑性をあげる効果が期待できます。
冬に室内栽培の場合は?
寒冷地など冬は寒さで室内で栽培することもあると思います。その場合、水やりは栽培する環境に応じて調節します。基本は葉が垂れるか柔らかくなってから与えるようにします。
例えば暖房が入っていて暖かく明るい窓辺などに置く場合は、2週に1回ほど与える必要があると思います。暖かい室内で暗い環境であれば、水やりはかなり控えないと徒長して弱い株になってしまいます。
エアコンや暖房で株の乾燥が気になる場合は、葉水(葉に水のスプレーをする)を行います。
置き場
基本的に雨ざらしにせず、風通しのよいところで管理します。また季節により日よけ(遮光)をする必要があります。
日よけ(遮光ネット)の管理
4~5月
4月の日よけ(遮光ネット)は30%程度で大丈夫です。しかし4月末~5月にかけてはぐんぐん強くなるので50%遮光ネットにします。アエオニウムは比較的、直射日光に弱いグループです。
6~9月
一番日差しの強い時期です。引き続き50%遮光ネットを張るか、半日陰(直射日光の当たらない明るい日陰)に移動させます。6月は雨の日は遮光を外して晴れの日だけ張るのが理想ですが、そこまで細かく管理できない場合が多いので、張ったままにすることが多いです。
10月
初旬は50%遮光ネットですが、中旬から30%程度に下げてよくなります。この時期から生育が再開するので、過度に遮光していると徒長する場合があります。
11~3月
この間は遮光ネットは全くいりません。(ただ3月末は日差しが結構強くなってくるので、30%程度の遮光が必要なことがあります。)むしろ弱くなった日差しをしっかりあてて、生育を促すことが大切です。この間室内に移動させることもあると思いますが、その場合はできるだけ窓辺で直射日光をあてるようにします。
室内に置く場合
基本は一年間を通して外で育てますが、氷点下になる日や寒冷地では最低でも1℃を下回らないよう室内に取り込みます。室内で育てる場合は、直射日光が1日4時間以上当たるところで、エアコンや暖房の風が当たらない所を選びましょう。
室内で育てるとどうしても日照不足になり徒長(ヒョロヒョロになる)してしまうので、水やりを控え、できれば室温も15℃以下に保ちましょう。東北、北海道では長期間室内にいれることになると思いますが、窓辺が確保できない場合は植物育成ライトが必須になってきます。
耐暑性と最高気温・夏越しの方法
アエオニウムは涼しい気候が好きな多肉植物なので、夏の暑さ、特に蒸し暑さに弱いとされます。しかし育てている体感ではそれほど夏の暑さに弱いという印象はなく、暑さが原因で葉が全部落ちてしまったり、腐ったりすることは少なく夏越しがひどく大変という印象は受けません。
遮光環境では40℃も普通に耐えています。(たただ愛染錦などの斑入り種は傷みやすく、夏の高温に弱い印象を受けます。)
夏の管理
夏越し方法のコツは遮光ネットで日光と熱を遮ることです。
直射日光にやられてしまうのを防ぐため、6~9月は50%遮光をします。または直射日光の当たらない明るい日陰に移動させたりします。直射日光下だと30℃も耐えられないですが、遮光しておけば(日陰なら)40~45℃を耐えます。暑さ対策で室内に入れる場合は、直射日光が最低4時間浴びられるところで風通しをよくします。
他の多肉植物に比べると蒸れたり腐りにくいものの、暑い日に水やりすると根が煮えてあっという間に枯れてしまうことがあります。水やりは葉が垂れたり柔らかくなるまで待つくらい、少なめにしたほうが安全です。かといって断水(全く水をやらない)すると葉が全部落ちてしまいますので、細々と水やりします。
越冬最低温度と冬越し方法
アエオニウムは寒さにやや弱く最低越冬温度は3~5℃とされます。しかし実際には0℃や1℃も耐えています。ただこれは夜だけ下がった場合で、寒冷地のように一日中0℃になるなど長期に及んだ場合の影響は未検証です。
冬の管理
屋外の場合
多肉植物は体の水分が少ないと耐寒性があがる性質があります。そのため寒さが厳しい間は、水やりは少なめにしておくのが安全で、うっかり0℃を下回ってしまった夜も、土と株が乾いていたら無事なこともあります。気温の低い夜、強い寒風に当たると枯れてしまうことがあります。
また屋外ではできるだけ簡易ビニール温室にいれてあげてください。窓を閉めることで、雪や冷たい雨、寒風などを避けることができます。ただ簡易ビニール温室は寒風を避けられるのである程度の寒さ対策効果がありますが、保温効果は非常に弱く庫内の温度は外と同じになってしまいます。マイナスの寒波が到来する際は関東以南であっても室内に退避させましょう。
簡易ビニール温室がない場合は、プチプチシートや不織布シートで覆うのも多少の効果はあります。
室内の場合
室内栽培の難しさの第一に日照不足があげられます。冬場に0℃を下回る寒冷地や寒波の時は室内に取り込みますが、最低半日、日の当たるところで15℃以下(理想は10℃以下)の室温が保てるところに置きたいものです。
冬に暖かい室内で日光不足、過湿が重なると徒長してヒョロヒョロになってしまうので、大変ですができるだけ暖かい日は外に出すなど工夫が大切です。
寒冷地の夜間の寒さ対策
室内で夜間暖房が入っていないとマイナスになってしまう部屋もあります。その場合、植物ヒーターマットが役立ちます。植物ヒーターマットとは、植物用のホットカーペットのようなもので、電熱線が入っており鉢を温めることができるものです。それだけでは保温効果は弱いですが、鉢を置き上に段ボール箱をかぶせることでダンボール内が暖かく保たれます。(室温プラス5~10℃程度)
参考までに植物育成ライトと植物ヒーターマットの詳細ページを掲載しています。
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増やし方
アエオニウムは挿し木、株分けで増やすことが出来ますが、葉挿しは非常に難しいです。
適期は生育期のうち気温が10℃~25℃の間です。10~12月、2~4月が適期で10℃を下回る真冬と30℃以上の夏は失敗しやすいです。作業開始が遅れて真夏や厳冬にずれないよう、季節が来たらすぐ繁殖作業を始めましょう。
アエオニウムの繁殖難易度はやや難しく、やや根が出づらいです。適期に行うことで成功率を上げていきましょう。
挿し木・胴切り・芯止めの方法
アエオニウムで一般的なのが「さし芽」です。挿し芽は挿し木ともいい、親株から枝を切り取ってそこから増やすことです。一部の種類は枝の分岐が少なく、胴切りや芯止めという形になる場合もあります。
手順
やり方は親株の茎を適当な長さで切り取り、乾燥させずにそのまま少し湿った土に挿します。1~2週間は明るい日陰で管理し、直射日光には当てないようにします。室内の窓辺がおすすめです。1~2週間程度で白い根が出てきますので、抜いたり挿したりしないで固定させておきます。2週間程度経ったら挿し穂が根付き、グラグラしなくなりごく僅かに上に引っ張ると抵抗を感じます。
茎を切り取った親株からは、1~2ヶ月後くらいに脇芽が出てきます。通常1本の茎をカットすると、その下から2~4個程度の新芽が出ますので、親株も捨てずに育てましょう。この脇芽が元のサイズまで成長するには1年くらいの時間がかかります。
株分け
アエオニウムの中にはランナー(走出枝)を出して子株を増やすもの、新芽が飛び出して子株が生長するものがあります。そのような種類は株分けという形で増やすことができます。
こちらも挿し木と同じく根は付いていないか出ていてもごく僅かなので、挿し木と同じような要領となります。
子株がカラカラに乾かないうちに、やや湿った土に割り箸や爪楊枝などで穴を空け、そこに子株を植え付けます。早いものだと5日程度、遅くても2週間以内に根が出ますので、土がカラカラに乾かないように水をやります。次第に土を乾かす日数を長くし、通常の管理にしていきます。
接ぎ木
アエオニウムの一部の種類(黒法師、艶姿など茎が太めのもの)は接ぎ木という楽しみ方もあります。接ぎ木とは、ある株の茎を斜めに切り取り、別の株から斜めに切り取った枝の断面を合わせ、テープなどを巻いてしっかりくっつくまで待つ方法です。
例えば、黒法師の幹のうち1本に艶姿やサンバーストなどカラーの異なるアエオニウムを接ぎ木して、風変わりな姿を楽しむことができます。
剪定
長くなりすぎた枝を切り落とす剪定を行うこともできます。これは一年中いつでもできますが、切った枝を挿し木に活用したい場合は、胴切り・挿し木と同じ生育期(気温が10℃~25℃の間で、10~12月、3~5月ごろ)に行うと根の伸びがよいです。
また剪定した部分からは複数の枝が出てしまうので、枝が伸びた後の姿をイメージしながら剪定するようにしてください。
植え替え
株が大きくなって鉢が小さくなってきたり、子株がたくさん出たりしたら植え替えを行いましょう。
植え替えに適した時期は9~11月頃か3~4月頃ですが、一番ベストな時期は生育期の始まり頃かその少し前です。具体的には9~10月または3月です。
頻度は9cm以下の小さい鉢なら毎年1回、それ以上の大株は2年に1回程度です。
植え替えの必要性
植え替え作業は一見不要な作業に思われますが、健康に生育させるためにはとても重要で、古い土を新しくする、土に空気を混ぜ込む、枯れた根を除去する、根につく害虫(ネジラミなど)を駆除するなどの役割があります。
手順
植え替え時は根へのダメージを減らすため、4~5日水やりを控えて土を乾燥気味にさせておきます。
株を鉢から抜き出したら枯れた下葉や茶色く枯れている根などを取り除きます。白い根は生きている大切な根です。株を大きくしたい場合は一回り大きな鉢に植え替え、あまり大きくしたくない場合は、長すぎる根を少し切り詰めて元の鉢に植え戻します。
植え替え後は少なめの水をすぐに与えるようにします。こうすることで新しい根を速く伸ばすことができます。また植え替えから2週間程度は株が弱っているため直射日光に当てないようにし、半日陰か室内の窓辺などに置きましょう。
アエオニウムの下葉が枯れるのは正常な現象で、上に少しずつ伸びていきます。 | 根が回って根詰まりを起こしています。 | 枯れた根を整理します。 |
後は元の鉢か一回り大きな鉢に植え付けます。 | 戸外の日陰か、室内の窓のそばで1~2週間ほど養生させます。 |
アエオニウムの下葉が枯れるのは正常な現象で、上に少しずつ伸びていきます。 | 根が回って根詰まりを起こしています。 |
枯れた根を整理します。 | 後は元の鉢か一回り大きな鉢に植え付けます。 |
戸外の日陰か、室内の窓のそばで1~2週間ほど養生させます。 |
土と鉢
アエオニウムには、水はけと通気がよく、あまり細かすぎない土が適しています。
普通の植物用の培養土は水持ちがよすぎ根腐れを起こす心配がありますし、肥料が多すぎる場合がありあまり向いていません。
多肉植物用の土を買う
まず市販の多肉植物用・サボテン用の土を購入する方法があります。
多肉植物用の土でも各社色々な配合のものがありますが、粒サイズが揃っており小粒で、赤玉土や軽石、腐葉土などが適度に入っているものがよいと思います。あまりにも小さい砂のような土は通気性が悪いため、あまりおすすめできません。逆に1cmもある大粒のゴロゴロとしている土も適していません。
以下は市販されている多肉植物・サボテンの土の比較ページです。
自分で配合する
アエオニウム用の土を自分でブレンドする方法もあります。
素材の種類は赤玉土小粒や鹿沼土小粒などをベースに、軽石小粒やパーライト、腐葉土またはピートモスなどを混ぜ合わせて作ります。単用(1種類の土のみ)より3種類程度かそれ以上の素材をバランスよく使うのがよいと思います。
赤玉土や鹿沼土は保水性が高いのでそれだけだと水はけが悪くなってしまうことがあります。そこで赤玉土や鹿沼土は全体の量の半分程度に抑えて、軽石やパーライトなどの水はけのよい土を混ぜ、軽く水はけがよく、通気性の良い土に改善することができます。
(例)赤玉土1:腐葉土1:軽石1
(例)赤玉土3:ピートモス3:日向土2:川砂1:くん炭1
また9cm以上の大きめの鉢に植える場合は、鉢底の水はけ対策として軽石でできた壊れにくい鉢底石をいれるとよいと思います。逆に6~9cm程度の小さな鉢では、ほとんど鉢底石は不要です。
鉢の選び方
鉢はその苗にちょうど良い大きさのものに植えましょう。大きすぎる鉢は底に水が滞りやすく、根腐れや通気不足の原因になってしまいます。
ただアエオニウムは葉を落としながら上に伸びていく種類があり、葉が茎の先について頭でっかちになって安定が悪くなることがあります。そのような場合は大きめで重めの陶器の鉢に植えると、鉢ごと倒れて茎が折れてしまうのを防ぐことができます。
やはりアエオニウムも大きめの鉢に植えると株も大きくなり、小さめの鉢に植えるとコンパクトに収まります。鉢のサイズ(土の量)である程度、サイズをコントロールできます。
鉢はプラスチック鉢と陶器の鉢がありますが、それぞれ性質が大きく違い、水はけ、水やり頻度などに差が出ます。小さいうちは水切れに弱いので水持ちのよい小型のプラ鉢に植えて、大きくなってきたら転倒防止にずっしりとした陶器の鉢に植え替えていくようになるかと思います。
肥料
アエオニウムは元々痩せた土で育っており、基本的にあまり肥料を必要としませんが、全くなしで育てることはできません。
赤玉土や軽石、ピートモス、腐葉土などにはほとんど肥料分がなく、有機質もあまり含まれていないため、同じ土で育て続けていると肥料分や微量要素が不足してきます。自然環境では生態系からそのような成分が補われますが、鉢植えだと消費するか水やりで流れ出てしまう一方です。場合によっては新芽が出ない、葉が黄色くなるなど成長障害が出ることもあります。
そのため植え替えをする年には植え替え時に土に緩効性化成肥料を混ぜたり、植え替えない年には液体肥料を与えたりなど、適度な施肥(肥料を与えること)が必要になります。
施肥の例
①元肥として植え付け、植え替え時に土に緩効性化成肥料(マグアンプなど)を混ぜ込む。
②追肥として生育期に合計3~4回、液肥(ハイポネックス、花工場液など)を水やり代わりに散布する。
肥料をやっても改善がみられない場合は、微量要素が不足している可能性があります。その場合は、リキダスなどの植物活力剤を与えるか、微量要素入りの肥料(ハイポネックス、花工場液など)を与えてみてください。
開花
春に黄色の密集した小さな花を咲かせることがあります。花芽が別に出るのではなく、成長点(葉芽)が花芽となり、突き出るように咲かせます。
開花の頻度は低く、エケベリアやセダムのように毎年は咲かせません。充実した株にのみ花をつけるとされています。また花が咲くとその株は枯れてしまうといわれていますが、管理人の育てている仙童唱が開花した際は、枯れることなくそのまま生き続けました。
病害虫
病害虫には比較的強いグループです。
害虫対策
害虫では、カイガラムシ、イモムシ、ハダニなどが付くことがあります。カイガラムシは葉の付け根の分かりづらいところについていることが多く、イモムシが新芽を食い荒らすこともあります。ハダニがつくと葉がかすり状になったり、白っぽくなったりしてかなり進行した状態で発見される場合が多いです。
いずれも接触型の殺虫剤(虫に直接かけて退治するもの)かあらかじめ浸透移行性の殺虫剤をまいて予防します。
病気対策
病気にはなりにくいグループですが、夏を中心とした5~9月はカビが原因の病気(黒斑病、うどんこ病など)に気をつけて観察する必要があります。
生理障害
生理障害は割と起こしやすいです。
まず夏場にたくさん水をやって日なたに置いておくと、土の温度が上がり根腐れを起こすことがあります。夏場あまりにも乾燥させすぎると葉を全部落とし棒のようになってしまうことがあります。また茎が徒長で突然腐って中身がスカスカになる、茎腐れを起こすこともあります。
冬は0℃以下で凍らせると葉と茎が傷み復活できないことがあります。エケベリアやセダム、グラプトペタルム、クラッスラなどに比べると凍結などの冷害を起こしやすいです。
夏はしっかりと遮光し、水やりは夕方など涼しい時間帯に行いましょう。冬は1℃以下になりそうな日にあらかじめ室内に取り込みましょう。
販売店や値段など
アエオニウムは普及種(流通量が多くなじみ深い種類)からレア種(希少種)までさまざまあり、入手難易度や価格帯が異なります。
最も普及していると思われる種類は、黒法師(サンシモン)、夕映え、サンバースト、レモネードなどです。これらは7.5cm鉢(2.5号ポット)で330円から550円程度と安価で、また店頭に並ぶ頻度も高めです。
その他、小人の祭り、仙童唱、姫明鏡、艶姿、愛染錦なども入手が比較的容易です。入手困難なのはドドランタリス、韓国苗、その他斑入り種(~錦とつくもの)などです。
店頭販売と通販
普及種はホームセンターや園芸店の多肉植物コーナーに並ぶことが多いですが、その他の種類はなかなか店頭では出会う機会が少なく、通販に頼らざるを得ない場合が多いです。通販ではありませんが、メルカリやヤフオクなどフリマではかなりの希少種も高額ではありますが、販売されていることがあります。
店頭では春や秋など穏やかな気候の時期に入荷することが多く、3~5月、10月などは狙い目です。通販では一年中ラインナップされていますが、輸送(中の傷み、枯れなど)の関係で春や秋など温暖・冷涼な時期の購入をおすすめします。
購入時の注意点
店頭で購入する際は、なるべく入荷したてのものを、土がびしょびしょになっているものは避け、株が締まり色が鮮やかで葉が反り返っていないものがよい苗です。逆に色つやがなくなっているもの、カサカサになっている苗、土に苔などが生えている鉢は避けた方が安全です。
通販で購入する場合は、いつでも購入できますがトラックなどで遙々輸送されてくるため枯れが気になり、気温の高い時期、低い時期は避け、春秋に注文することをおすすめします。
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よくあるトラブルとQ&A
トラブル事例
葉の黒っぽさ、ピンク色が薄くなってきた
これは日照不足が原因で、紅葉が冷めていることが原因です。しっかり色づけるためにはかなりの照度が必要で、真夏であれば半日陰程度、11~2月頃までは直射日光、その中間の季節では30%程度の遮光環境での栽培が必要です。
葉と葉の間隔が伸びた
アエオニウムは黒法師、夕映え、艶姿など種類によっては、生育期に葉と葉の間隔が少し伸びてしまうのはある程度自然な現象です。しかしあまりにも伸びる場合は、日照不足や水やりのしすぎ、風通しが悪いなどが考えられます。サンバースト、レモネード、小人の祭りなどは葉を密につけるのが通常なので、葉と葉の間隔が伸びたら徒長(間延び)と考えましょう。
下の方の葉がカリカリに枯れて落ちる
種類によりますが、黒法師、夕映え、サンバーストなどは下の方についている葉が次第に枯れてパラパラと落ちてくるのは生理現象で問題ありません。しかしロゼットのサイズが小さくなるほど葉が落ちたり、枯れるようであれば水やり不足、日照の強すぎなどか考えられますので、環境を見直してみましょう。
季節により葉が開いたり閉じたりする
アエオニウムは休眠期の夏にかけて葉がつぼまり、冬にかけて大きく広がる特徴があります。これは葉のむきを変えることで光の強さを調節しているとされ自然な現象です。
Q&A
室内で枯らさないコツは?
室内で健康に育てるコツは明るさと風通しを外並みにできるかにかかってきます。しっかり光合成できる照度の植物育成ライトを使い(1万ルクス程度)、夏であれば更にミニ扇風機などで風を常に送り、自然に近い環境を再現できれば健康に育てられます。
葉を紅葉させたい時は?
葉のふちや葉全体を紅葉させたい場合は、日光によく当てること、適度な寒さ(5~15℃程度)に当てること、水やりをしすぎないことが大切になります。このような育て方をすると、例えば夕映えの場合、夏に緑色になりますが、秋から春にかけては葉のふちがピンク色になり葉全体の色も白っぽくなります。寒い時期でも日陰においていると葉は緑色のままになります。
アエオニウムはくさい?
レモネードや黒法師に似ているベロア(カシミアバイオレット)など、アエオニウムには葉が臭いにおいのする種類があります。においは季節により強くなったり弱くなったりします。
アエオニウムは綴化しやすい?
サンバーストの綴化
アエオニウムの中にはサンバーストなど綴化しやすい種類があります。綴化とは成長点が帯状に広がって無数の葉が出てくるもので、害虫の影響、遺伝的な影響、ウイルス病によるものなどがあります。サンバーストは非常に綴化しやすく、写真のような姿でみかけることも多いです。