目次
プレイオスピロス属の写真
帝玉 | 令和の桃子 | |
鳳卵(出典:Wikipedia) | 帝玉(出典:Wikipedia) | 青巒(出典:Wikipedia) |
鳳卵(出典:Wikipedia) |
基本情報
科 | ツルナ科(ハマミズナ科) |
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属 | プレイオスピロス属(Pleiospilos) |
生育型 | 冬型 |
育てやすさ | やや難しい |
成長速度 | やや遅い |
増やし方 | 種まき(実生) |
耐寒性 | 普通 |
耐暑性 | 普通 |
耐寒温度 | 0℃程度 |
実測温度 | 0℃~40℃ |
原産地 | 南アフリカ |
※4段階評価
育てやすい–普通–やや難しい–難しい
成長が早い–普通–遅い–とても遅い
耐寒性-強い・普通・やや弱い・弱い
耐暑性-強い・普通・やや弱い・弱い
※耐寒温度は水やりを控えた場合の目安値(書籍などによる推奨値)で、状況によりこれより狭くなることがあります。
※実測値は半日陰の場合で直射日光下ではこれより低くなります。
特徴
メセン類の中でも見かけることが多いプレイオスピロス属は玉形メセンの代表種でもあります。日本では主に帝玉と紫帝玉、青巒などが普及していますが、自生地の南アフリカでは30種類程度が知られています。どれもゾウの皮膚の表面のようにごつごつしていて硬くザラザラしていています。
帝玉は黄色っぽいオレンジ色の花を咲かせますが、紫帝玉とさらに紫色の強い紅帝玉はピンクの強い花を咲かせます。その他の種類も冬に1対の葉の間から花茎をのばし、黄色やオレンジ色、ピンクなど派手な花を咲かせます。花は株の大きさに比較しても大きく、昼間に開花し夜になると閉じるタイプの花で数日間繰り返します。この間に受粉していれば結実し大量の種を採ることができます。
大型のメセン類
成長がゆっくりなので種まきから帝玉の場合5~8cmくらいのサイズになるまで数年かかりますが、うまくいくと子株をだし分頭します。といってもリトープスやコノフィツムより成長速度は早いです。5~8cmは帝玉の場合で、「鳳卵」は直径10cm以上、青巒は直径10cm、巨鳳玉が12cmの巨大株になります。プレイオスピロス属はメセン類の中でも大型種が多いです。
令和の桃子について
令和の桃子は帝玉に特殊な薬剤を散布し人工的に葉緑素を抜いた薬錦です。ピンク色でかわいいですが、葉緑素がないため長く生存することはできません。購入する際は、長く育てることはできず、短期間その姿を楽しむ切り花のような存在であることを心得ておく必要があります。
育て方のコツ
- 早く株を大きくするためには、日によく当てることが大切
- 種まきの初期から日差しを必要とし直射日光下でないと徒長しやすい
- 生育期は1週間に1回程度たっぷり水をやる
- 夏に溶けやすいので風通しをよく、半日陰で水やりを控える
育て方
育て方は多肉植物の中では難しく、メセン類の中でもやや難易度が高いです。プレイオスピロス属は、リトープスやコノフィッツムなどと同じく日本の夏の蒸し暑さに弱く溶けたり、腐ったりしやすいです。初夏から夏にかけての夏越しが一苦労でこの時期溶かしてしまうことが多いです。
葉を大きく成長させるには、春秋の生育期にしっかり日光に当て水やりをすることが大切で、この時期日陰などで育てていると花付きも悪く、葉が太らず生育が止まってしまいます。
年間栽培カレンダー
生育型 | 冬型 |
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生育期 | 10~4月 |
休眠期 | 7~8月 |
緩慢な時期 | 1~2月 |
水やり |
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置き場所 |
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植え替え |
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増やす |
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肥料 |
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開花 |
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主な種類名
帝玉 (テイギョク) | Pleiospilos nelii |
紫帝玉(ムラサキテイギョク) | Pleiospilos nelii Rubra |
紅帝玉(ベニテイギョク) | Pleiospilos nelii ‘Royal Flash’ |
青鸞 (セイラン) | Pleiospilos simulans |
鳳卵(ホウラン) | Pleiospilos bolusii |
陽光(ヨウコウ) | Pleiospilos compactus ssp.canus |
巨鳳(キョホウ) | Pleiospilos compactus ‘Magnipunctatus’ |
明玉(メイギョク) | Pleiospilos hilmari |
エンビィ | Pleiospilos ‘Envy’ |
令和の桃子 (レイワノモモコ) | Pleiospilos ‘Reiwa-momoko’ |
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育て方のポイント
水やり
プレイオスピロスは季節や苗のサイズ、置かれている環境などによって水やりがかなり異なります。もちろん普通の植物に比べれば非常に少ない量・頻度ですが、控えすぎて年中与えないようだと生育が止まってしまいます。
全般的に生育期は週に1回程度、休眠期はかなり控えめになります。
水やりの基本
ただ「生育期は必ず1週間に1回の水やりが必要」などの決まりはなく、土が乾いておらず株にも水分が多い時は無理に水やりはしません。
水が足りているかは様子を観察すると分かります。帝玉は通常2対の葉がありますが、外側の1対の葉が少しやわらかくなってきたら水分を欲しがっているサインです。また葉の表面はごつごつとして、点々がつぶつぶ濃い状態がちょうどよい状態です。点々が平らになり表面もつるっとしてきたら、水やりをしすぎている可能性があります。
季節別の水やり
3~4月、9~10月は週1回程度、量は充分に与えます。5月に気温が上がってきたら水やりの回数と量を減らします。6~8月は月2回ほど少なめを与えます。11~2月はやや休眠気味なので月2回程度に少なめを与えます。
水やりのコツ
プレイオスピロスの根は直根(太い根がまっすぐ下に伸びていく)ので表面だけ濡らしても水が行き渡りません。そのため春秋の水やり量は鉢底から流れ出るまでたっぷり与えます。冬は表面をさらっと湿らせるくらいにとどめます。
冬は寒い日に水やりをしないようにするか、水やり後1週間程度室内に取り込むようにしましょう。冬は0℃を耐えるものの、水やり後は耐寒性が落ちるので、水やりするのは比較的暖かい日の午前中にすませ、凍結しないよう注意しましょう。
開花にはたくさんの水分を必要とするため葉のしぼみも早く、通常より高頻度での水やりが必要です。
室内取り込みの場合
寒冷地で長期間室内への取り込みが必要な場合、室内は暖かいので水やり回数を減らさないとヒョロヒョロになってしまいます(徒長といいます)。そのため月に1~2回程度に抑えます。量はやはり鉢の深さ3分の1程度です。
実生中の苗
実生1年以内の1cm以下の小さい苗(種まき=実生)は、夏の間水を控えると枯れてしまう危険が大きいため、様子を見ながら月に2~3回程度水やりをします。この場合かんかん照りの昼間に与えるのではなく、夕方の涼しい時間に行います。夕方にさらっと少量与えて次の日の朝には大方乾いているくらいの量です。
置き場
帝玉は元々日当たりの非常に良いところに棲息するため、日本でも他のメセン類より明るめ(遮光率低め)の栽培がよいようです。
置き場所の基本
まず雨ざらしの所に地植えすることはできません。多くの場合鉢植えにして、軒下の雨のかからないところや簡易ビニール温室などに置きます。
また一年を通して風通しの良いところに置くことが大切です。特に夏場は通気の悪い高温下で蒸れて溶けやすいため、一日中空気が動くようにします。
0℃以下(特に水のやりたて)では凍結など冷害に遭うことがあります。0℃以下の日は室内の窓辺に避難させましょう。
また夏はやや遮光が必要ですが、それ以外では充分日差しに当て、また冬は日照不足に特に注意が必要です。
※遮光ネットは様々なものがありますが、帝玉は夏でも遮光率少なめでよいため、白のネットを重ねるかシルバーのものがよいと思います。
※最後に苗サイズによっても遮光率が異なります。種まきから1年目は苗が小さく熱や強い日差しに弱いため、成株より遮光を強めにする必要があります。
季節ごとの置き場所と遮光率の目安
※以下は暖地(西日本)の場合の目安です。
5~9月
白いネットを2~3重にするなどして遮光率30%程度にします。この間は強すぎる直射日光を遮るほか、猛暑で年々厳しくなる灼熱を遮る意味もあります。
10月
白のネット1~2枚程度、遮光率10~20%程度にします。残暑の熱を遮る感じです。涼しい年や成株は10月末から無遮光でよくなる場合もあります。実生苗は播種から1ヶ月たったら無遮光でよくなります。
11~3月
無遮光で栽培できます。むしろ日照不足に注意が必要です。
4月
白いネットを1枚かける程度でしょうか。その年の暑さも考慮して枚数を調節します。
※帝玉は他のメセン類よりかなり日照を好むため、遮光のしすぎに注意する必要があります。ただ紫帝玉は緑色の本来の種類より葉緑素が少ない分、直射日光にやや弱いため同じ扱いをすると熱などで溶ける可能性があります。
日当たり具合の調節
日光は周りの建物の関係やその土地の気象条件で、この時期はこの遮光率がよいと一概にいうことができません。そこでよく観察して日照(遮光率)を調節するようにします。
まず株が上に伸びているのはかなり日照不足になっている(徒長している)ので、現在より明るい所に移動させるようにします。模様がのっぺりしたり薄くなるのも徒長のサインです。
逆に株が異様にどす黒くなったり、溶けてしまっているようであれば日差しの強すぎることを意味しています。これらは助かりませんが、そうなっていない株を守るためにすぐに今より暗い所に移動させましょう。
耐暑性と最高気温・夏越しの方法
プレイオスピロスの耐暑性は普通ですが、夏越しはやや苦労するタイプです。
まず帝玉は直射日光には強いグループで、夏でも強めの遮光は不要です。また遮光していれば40℃程度の温度にも耐えます。しかし多湿には弱く、また近年の毎日猛暑日(35℃以上)が続くような異常な夏には溶けて枯れてしまうことがあります。
帝玉は夏でも直射日光下でも栽培できると書いてあるページも多いですが、直射日光下が60℃近くなる異常な猛暑の昨今ではそのようなかつての常識も通用しなくなりつつあります。
夏の管理
管理のポイントは日光、高熱、過湿、風通しです。
遮光ネット
まず遮光ネットで強い直射日光と高熱を遮ることが必要です。遮光率の目安は先ほどの置き場所の項目の通り、夏は30%程度遮光し春秋は10~20%程度、冬は直射日光下での栽培です。
水やり
次に過湿対策です。水やりは1ヶ月に2回程度、さらっと土を湿らせるぐらいを夕方に与え、翌日朝には乾いている程度が望ましいです。また水やり後は体内の水分が多くなっており、一時的に普段より暑さに弱くなります。涼しい日を選んで水やりしましょう。
風通し
風通しが悪いと蒸れて腐りやすくなります。遮光ネットで風通しが悪くならないよう、張る場所に注意します。
猛暑対策
年々猛暑が厳しくなっています。暖地では春の早い時期、秋の始まりまで暑い気候が続くことがあります。その年の気象状況に合わせて置き場所や水やりを工夫する必要が出てきています。
たとえば種まきの時期を遅らせる、猛暑日が続く時は遮光ネットを強いものにするなど。いずれも苗の状態を見ながら調節していくことが大切です。
耐寒温度と冬越し方法
帝玉の耐寒性は普通です。(0℃まで耐えられるため多肉植物の中では強めです。)
また生育型は冬型で、5~20℃でよく生育するとされます。ただ冬型だから寒さに強いわけではなく、あくまで冷涼な気候を好むという意味で、0℃を切った状態が続けば凍結などの冷害に遭う場合があります。0℃以下が予想される日は室内の窓辺に避難させてあげましょう。
越冬温度と耐寒温度の考え方
この0℃は枯死しないぎりぎりのラインの温度です。また水やりを極控えればマイナス2℃程度まで耐えられますが、体内の水分や環境などによって枯れてしまう可能性もあります。
春以降の生育をスムーズにしたい場合、できればもう少し余裕をもった温度で(例えば2℃以上など)室内にいれた方が望ましいです。
特に水やり後1週間程度は体内の水分が多く凍結しやすくなるため、室内へ取り込んだほうがよいかと思います。水やりをする日は夏とは逆で、比較的暖かい日を選び暖かい午前中~昼頃までに済ませるようにしましょう。夕方~夜与えると低温障害を起こしやすくなります。
冬の管理
屋外の場合
西日本など暖かい地域では、ほとんど毎日屋外に置いて冬越しすることも可能です。ただマイナス2℃などの寒波が来る際には、室内にいれましょう。
また外で育てる場合はできるだけ簡易ビニール温室にいれて冷たい雨や雪、寒風を避けるようにしてください。残念ながら簡易ビニール温室にはほとんど保温効果はなく、外が0℃になれば簡易温室内も0℃になってしまいます。ですが風の強い日などに直に置くより傷みを軽減することができます。
室内の場合
西日本では寒波が来るときだけ室内にいれればよいのですが、東日本(寒冷地)では毎日0℃以下になる地域もあり、外での栽培は困難です。その場合室内にいれることになりますが、この時の注意点が日照不足です。室内でも日に4~6時間は日に当てないと徒長しないで栽培することは難しいです。
それが難しい場合は、徒長対策のため植物育成ライトを設置して日照不足を補いましょう。
また室内では暖房のかけ過ぎ(15℃以下がベスト)、空気の乾燥しすぎに注意が必要です。適度に寒さに当てるため5~10℃程度で育成ライトがしっかり当たる部屋がベストです。
冬の日照の必要性
どのグループでも室内への取り込み時の日照不足は課題ですが、強い日照を必要とするプレイオスピロス属の場合特に重要です。冬も含めて一年を通して日照不足が続くと軟弱になり、夏場枯れたり溶けたりする原因になります。
水やりを少なめに育てていると1℃程度は耐えられるようになるので、もし室内で日の当たる所がなければ戸外におく選択もでてきます。(マイナスにならない地域)。室内では暖房がなるべくきいていない10℃程度の涼しい部屋を選びましょう。
寒冷地の寒さ対策
夜間暖房をいれていないなどで、0℃を切る部屋も出てきます。そうなると室内でも寒さ対策が必要になります。
この場合、植物用ヒータマットが役立つ場合があります。植物用ヒーターマットとは防水性のあるホットカーペットのようなもので、鉢の下に敷いて鉢を温めるものです。室温によりますがプラス5~10℃の効果があります。
昼間は植物用ヒーターマットの上に置き、その上から植物育成ライトを当て、夜はライトは消してヒーターマットと鉢をダンボール箱で覆うことで、保温効果を高めることができます。(本体1枚2,000円程度、消費電力20W程度)
参考までに植物ヒーターマットと植物育成ライトの詳細ページを掲載しています。
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増やし方(種まき)
プレイオスピロスは挿し木ができずまた分頭もしにくいので、ほとんどの場合種まきで増やすことになります。
種まき(実生)の適期は8月末~10月頃です。
種まきする場合は、その年に採れた種を冷蔵庫の野菜室に1週間から10日ほど冷やして(寝かせ)、9月ごろ暑さが緩んできたら蒔きます。冷蔵庫の寒さにあてることで発芽準備が整い、発芽がうまくいくようになります。
また、すぐまかない種は、ジップ袋などに入れて冷蔵庫の野菜室で保管しましょう。
種まき
8月末から10月にかけての秋まきをします。メセン類は秋まきの9月頃がよいとされていますが、帝玉はリトープスなどより気温が高くても発芽できるため、8月末から蒔けるとされています。また春に蒔くことも可能ではあります。ただ秋まきより難易度が上がります。
秋まきが推奨される理由は、1回目の夏越しまでにできるだけ株を大きくしておきたいためです。小さい苗は夏の暑さを乗り越えづらいのでなるべく夏から遠い時期に種まきします。
参考までに帝玉の実生方法と実践記録を掲載しています。
植え替え
帝玉は通常1年に1回程度、植え替えを行います。前年から成長して自然と株間が窮屈になってしまっているので1鉢当たりの株数を減らしたり、根ジラミの被害が出ていないかなどをチェックする役割もあります。
特に種まきから1年目(初めての植え替え)は特に重要で、種まきした苗の株間を広げ、きれいに配列しなおします。ただ2年以上経って充分に大きくなったら2年に1回程度の植え替えで問題ありません。
また帝玉などメセン類は乾燥気味に育て根ジラミが付きやすいので、苗を抜いて根ジラミを確認し、付いていたら即駆除し、植わっていた土も流用せず廃棄します。(根ジラミが付くと根を吸汁され、生育が悪くなり酷いと根がほとんど枯れてしまうことがあります。)
植え替えの適期は9~11月ですが、生育期初期の9月~10月中旬がベストで、植え替え以降早く大きくなってくれます。ただ最近は猛暑が9月までずれ込み、暑い秋になることが増えています。そうすると植え替えした苗の活着率(根付き)が悪くなることがあるので、月にかかわらず30℃を切るまでは待った方がよいかと思います。
植え替えの手順
植え替える際は事前に水やりを控えて土を乾かしておきます。土が乾燥すると掘り返した時、太い根が切れにくいので、株へのダメージを抑えることができます。鉢から掘り出したら慎重に根をほぐして土を落とします。
植え付ける時、根の先のほうは切り詰めてしまって大丈夫です。鉢の深さ半分ぐらい土を湿らせ、割り箸、小さい苗の場合は竹串、爪楊枝などで穴をあけます。そこに先ほど根を切り詰めた帝玉を植え、周りからそっと土を抑えるようにします。
土を湿らせているのですぐの水やりは必要ありませんが、プレイオスピロスの場合、根が充分に伸びるためにはある程度の水分が必要なので、鉢が軽くなってきたら水やりを行います。植え替え後2週間程度は、直射日光が当たらない半日陰に置きましょう。
実生開始から1年以内の場合
帝玉は他のメセン類と比べて成長スピードが速めです。そのため9月頃にまいた種が春頃にはかなり大きくなり、鉢がぎゅうぎゅうになってしまっていることがあります。もし窮屈そうになっていたら丁寧に掘りあげてまた等間隔に植え付けます。水気がないと根が伸びないのですぐに水をやってください。
ただ幼い苗は植え替えでダメージを受けやすいので、初めからある程度余裕をもって種まきしたほうがよいと思います。プレステラ90なら3粒ずつ等間隔に9粒でまくのがよいかと思います。
土
プレイオスピロスはリトープスと同じく保水性が低く水はけ・通気性がよい土壌に自生するため、日本で一般的に使われている土(花や野菜の土など)はそのままでは使えません。また肥料分の多い土にも注意が必要です。そのため多肉植物用に性質が改善された土を使いましょう。
市販の多肉植物の土
まず市販の多肉植物用の土が帝玉にも使えます。生育過程に応じて最初は細かめの用土から使い始め、大きくなるにつれ粒サイズの大きなものに変えていきます。
市販の多肉植物・サボテンの土の中には粒が極端にゴロゴロと大きいものがあるのでそのような土は避け、細かめ~小粒で粒が均一に揃っているものを選ぶようにしましょう。
市販の例では花ごころ「さぼてん・多肉植物の土(5リットルバージョン)」、プロトリーフ「室内向け観葉・多肉の土」などが挙げられます。
また種まきから12ヶ月以内の苗は本当にごく根張りが弱いので、細粒や挿し芽・種まき用などを使います。市販の例ではプロトリーフや花ごころの「さし芽・種まきの土」などがあります。プロトリーフのほうはサラサラ系で、花ごころのはフカフカ系で、どちらも一長一短があります。
種まきから時期が経っていつまでもさし芽用土を使っていると、通気性や水はけが悪くなりがちなので根の様子をみながら大きめに変えていってください。
オリジナル用土に配合する
土は購入することもできますが、自分で配合することもできます。
その場合は、赤玉土小粒、鹿沼土小粒、ピートモス(酸性度調節済み)、パーライト、軽石小粒、くん炭などを使い、水はけがよい土をブレンドします。
(例)赤玉土小粒1:軽石小粒1:ピートモス1
種のまきたては赤玉土単用でもよいですが、大きくなるにつれ水はけや通気性が重視されてくるため、軽石やパーライト、ピートモスなどを加えた土にしていきます。土は性質が様々あるため、単用(1種類のみ)よりは3種類ほど混ぜて性質の偏りをなくすのがよいと思います。
水持ちの悪い土の配合にして、水をしっかり与えても乾きやすくする
プレイオスピロスは太い根を下に伸ばすタイプなので横にはあまり広がらず、下に長く伸びます。そのためある程度の深さのある鉢を使うことが多いです。
その場合、土の量が多くなり水やりしたとき土が底まで湿り鉢が重くなります。そうすると水はけが心配ですし、徒長の原因になることがあります。そこで土を水持ちのあまりよくない配合にするとうまくいきます。
具体的にはパーライトやくん炭、軽石などを加えます。そうすると水やりしたときすぐに水が貫通して下から出てきますので、鉢の中に水が大量に残らず、底の方の土もすぐに乾きます。
土は複数鉢で共通のものがおすすめ
帝玉を植えるとき、鉢ごとに別々な配合にすると水やりのタイミングがずれてしまい管理が面倒になります。実験で色々な土を作って植えるのはよいことですが、よい配合がみつかったら、複数鉢共通に植え替えていくことをおすすめします。
鉢の選び方
プレイオスピロスは5cm~10cmにもなる大型種が多いため、毎年鉢を大きくしていくか、深鉢に植え替えるか、1ポットあたりの株数を減らしていくなどの必要があります。
たとえばプレステラ90の場合、最初は9粒種をまき、春の1回目の植え替えで5本程度に、秋の1年目の植え替えで3本程度にするなどです。鉢サイズがぎりぎりだと、株の葉の付き方が曲がってしまったり、うまく成長できなかったりなどトラブルの原因になってしまう可能性があります。
陶器の鉢とプラ鉢
鉢には大きく分けて陶器の鉢(駄温鉢、素焼き鉢など)と、プラスチックでできたプラ鉢があり、それぞれ性質に差があります。
陶器の鉢は夏に鉢の温度を下げる効果がある、多孔質のため通気性がよいなどのメリットがあり、プラ鉢には適度に水持ちがよい、軽くて収納スペースを節約できるなどのメリットがあります。
どちらが向いている?
結論ですが、プレイオスピロスはどちらでも育てることはできますが、水やりのコントロールがしやすい、深鉢が選べる、収納性が高いなどの理由でプラスチック鉢がよく使われています。
またプレイオスピロスは種まきから育てる機会も多く、種まきには陶器の鉢は適さないため※2、新品のプラスチック鉢を使うことが多くそのままプラ鉢に植えているケースも多いようです。
おすすめなプラスチック鉢は日本ポリ鉢が販売しているプレステラ90です。これは軽くて硬質で持ち運びしやすい他、使い捨てできるため清潔を保ちやすく、スリット鉢のため根の健全な伸長にも役立ちます。また百均のA4サイズカゴにぴったり12個入るため、収納性も抜群です。
プレステラ鉢については以下で解説しています。
※2 陶器の鉢はプラ鉢のように気軽に使い捨てできないので、種まきの時、底面吸水の時の清潔を保ちづらいです。また陶器の鉢は多孔質で病原菌が入り込んだりカビが発生したりしやすく、使い回すとプラ鉢より不潔になりがちです。
肥料
帝玉は普通の花や野菜、果樹などのような大量の肥料は必要としません。
しかしメセン類の中では成長が速いので他より肥料を多く必要とします。肥料なしではなかなか大きくなりませんし、特に種まきから1年以内は無肥栽培だとまともに育たない印象を受けます。そのためこの時期は成苗より肥料を多く与えることをおすすめします。
また、実生から数年経ち成苗に育った場合も肥料は必要です。
それは自然界では生態系(降雨、動植物の死骸、土壌中の成分など)から肥料分、微量要素が供給されるのでヒトが与えなくても育つのですが、鉢内で人工的に栽培している場合はそれがないため、補ってあげることが必要だからです。
成株(概ね3年以上)の場合
成株を買った場合、植え替えの時期であれば新しい土に植え替え、そのとき土に緩効性化成肥料(マグァンプK小粒など)を1~3つまみ混ぜ込みます。もし植え替えに一番適した時期ではなかった場合で、生育期である場合は液体肥料(ハイポネックス原液の1,000倍希釈液など)を合計3回ほど与えるとよいです。
追肥・元肥はどちらか一方でよく、与えすぎになってしまいますので両方与える必要はありません。
与えすぎに注意
ただ成株、幼苗(種まき数年以内)共に、肥料を与えすぎると徒長して軟弱な株になり、直せないあるいは直すのが大変になります。早く大きくしたいからと過度に与えすぎないようにしましょう。
特に肥料の与えすぎは帝玉にとって害で、一度徒長させると夏期に高確率で溶かして(枯らして)しまいがちです。
開花
開花時期は種類により異なりますがおおよそ12~3月頃に咲くものと秋咲きのものもあります。
代表種である帝玉は2月頃花を咲かせることが多いようです。帝玉は黄色~オレンジ色の花を咲かせ、紫帝玉は濃いピンクの花を咲かせ、その他の種類もピンクや黄色で本体を覆うようなサイズの花を咲かせます。
種まきから1年、2年では咲かず、生育がよく株が充実するとつぼみを付けるため、開花株になるまで通常3年程度はかかります。
病害虫
帝玉はそれほど病害虫の心配がありません。ただ以下のような病害虫が付くことがあるので栽培時は注意して観察しましょう。
害虫
根にネジラミという白い虫が発生することがあります。根ジラミがつくと根から体液を吸われて生育が悪くなるので、生育が悪いと感じたら植え替え時期ではなくても、鉢から抜き出して根を点検してみましょう。根にびっしりと白い粉のようなものがついていたら根ジラミの可能性が非常に高いです。
この場合はカットできる部分であれば切り捨て、そうでない場合は水で丁寧に洗い流します。その後根に速効性のある殺虫剤を散布しておきましょう。種まきでは新品の用土を使うため、根ジラミが出にくいのですが、ホームセンターや園芸店から持ち帰った鉢に付いていることは案外多いので、買ってきたら初めての植え替え時期に植え替えてチェックしましょう。
花やつぼみにはアブラムシが付きやすく、地面に近い所に置いている鉢にはナメクジが入り込み、花を食い荒らすこともあります。
病気
花がらや脱皮したカラカラの葉には黒カビが生えやすいので、ピンセットなどで早めに取り除きましょう。
生理障害
夏は暑い時間帯に水をやると水分が熱されて蒸れて溶けたりします。また徒長して軟弱な株には腐敗菌が入りやすく突然枯れることがあります。いずれの場合も正しく栽培すれば多くを防げますので、夏場の水やりや日の当てすぎ・日光不足には特に注意しましょう。
※ただ紫帝玉など繊細な種類はどれほど気をつけていても、夏場に溶ける現象を完全に防ぐことはできません。そのためあらかじめたくさん蒔いておき、万一の枯死に備えておくしかないのではないかと思います。
販売店や値段など
苗の入手
プレイオスピロスはリトープスと異なり比較的マイナーな種類で、一般的な園芸店やホームセンターなどでは時折取り扱いがある程度です。
また価格帯もリトープスより高いことが多く一鉢3,000円以上で売っていることもあります。
店舗ではなかなか出会うことができないプレイオスピロスですが通販ではどうやら入手可能です。
ヤフーショッピング、楽天市場など。通販ではありませんが、フリマ(メルカリなど)やオークション(ヤフオク)では、様々な苗を写真で確認して購入できるようになっています。
種子の入手
種子の入手先はほぼ通販サイト限定になってきます。アマゾン・楽天市場・ヤフーショッピング、海外通販、フリマサイトなどで多数出品・商品の取り扱いがあります。
種子は多めに買って何回かに分けて蒔き、コツを掴むことがとても大切と感じます。1年目はうまくいかないかもしれませんが、反省点を探し出し、2年目、3年目と育てているとだんだん生存率を上げることができるようになってきます。
オンラインショップでも購入できますメルカリでも多肉植物・サボテン・エアプランツ、種子などを多数取り扱っています。 メルカリで新規登録する方は、お友達紹介コードの入力で、メルカリの購入で使える500円分ポイントがもらえます。 よろしければ、下記のコードをお使いください。(キャンペーン時は2,000円分相当ポイントがもらえます)
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よくあるトラブルとQ&A
株が消えてしまった(溶けた・カビた)
これはいわゆる「溶ける」現象で、傷口などから腐敗菌が入ることで、枯れてしまうものです。また真夏のかんかん照りの時間に直射日光に当てたり、冬に0℃以下に凍結させてしまった後に起こることもあります。いずれの場合も、カラカラの皮を残して跡形もなくなってしまいます。徒長させないように育てる、真夏・真冬の環境整備に気をつけるなどで極力防いでいきましょう。
葉が割れてきた
葉が割れたり裂け目が入ったりするのは身割れといい、水やりのしすぎで体内に余分な水が溜まっていることを表しています。一度裂け目ができてしまうとその部分は治らず、そこから腐敗菌が入って腐ってくることがあります。予防方法は水やり頻度や量を適切な量に抑えることです。
Q&A
大きくするには?
帝玉を大きくさせるには、なによりも自然光が必要で、1年目はそれに加えて肥料が必要だと感じています。しっかり光合成することで健康に育ち、日の弱い所に置くと徒長して軟弱になり溶ける原因になります。あまり大きくならない場合は、日当たりを再度確認し肥料を与えていない場合は少なめから与えてみることをおすすめします。
根がない苗はどうすればよい?
購入した苗に根がほとんど生えていないことがあります。また根ジラミ被害で根の大部分を切り捨てないといけないことがあります。完全に根がないと復活は難しいですが、根の付け根が残っていてその中心部が白ければ、そこから根を出せることが可能な場合があります。根の中心部が茶色い時は、白くなるまで少しずつハサミで切り詰めていきます。全部茶色になってしまっていたら残念ながら復活はできません。
新しい根が出るには水分が必要なので、かなり湿らせた土にやさしく挿して安静にしておきます。1週間ほど経って苗を少し触ってみて、わずかに抵抗を感じるようであれば根が出ている可能性が高いです。抜いて確認するとせっかく出た根が切れてしまいますので抜かないように、また土をカラカラに乾かさないようにしながら1~2週間ほど待ちましょう。
植物育成LEDライトで育てられる?
色々なメセン類を植物育成ライトで栽培してきましたが、意外にも帝玉は植物育成ライトでの栽培に向かないようです。外ではこがすほどの光を必要としますが、植物育成ライトだと太陽のように一日を通して移動しないため、一面に焦げ目がついてきます。そうするとそこから徐々にしぼんで最後には溶けてしまいます。
リトープスは窓が上についていてそこにLEDが当たれば充分なのですが、帝玉はまんべんなく当たることが必要のようで、外での栽培一択かと思います。