目次
サボテンにとってよい土とは?
サボテンの栽培では土の選定がとても大切です。でも難しくはありません。実はサボテンにとって良い土も普通の植物と基本は同じです。
サボテンの土の大切なポイントは以下の通りです。
- ①普通の植物の土より通気性がよい
- ②普通の植物の土より水はけが良い
- ③保水性・保肥性はそれほど強くない
です。
①普通の土より通気性がよい
通気性は空気の入れ換えができる性質です。通気性がよい土は粒と粒の間に隙間があり、そこから空気が出入りできます。実はサボテンも根が呼吸していて、根から酸素を取り込んでいます。
通気性が悪いと酸素が取り込めず根腐れの原因となってしまいます。サボテンは通常の植物より通気性のよい土を好むため、軽石やパーライトなど、通気のよい土や改良材を加えます。
②普通の土より水はけがよく保水性は少なめ
サボテンは乾燥に強く、通常の土より水はけがよいことが大切です。水はけがよい土は水やりをした後、乾いた土に水が染みこみ、余分な水がざーっと鉢底穴から出てきます。この時、古い空気が押し出され、同時に新しい空気が供給されます。
排水性がよいのは大切ですが、適度な保水性もあることが大切です。
たとえば大げさな例ですが、中くらいの大きさの軽石を鉢底から上まで積み重ねて作ったような土だと、上からやった水がほぼ全部鉢底から流れ出て植物が水を吸い取る暇がありません。
それではどのくらいの水はけが適しているかというと、「普通の植物に使うには水はけが良すぎるくらい」となります。種類にもよりますが、サボテンの原生地では砂利や細かい砂がサラサラしているというのをイメージすると良いと思います。
③粒サイズが合っている
サボテンも苗のサイズと土の粒サイズが合っていることが大切です。小さい苗は細粒~小粒の土を、大きな苗には中粒を、普通サイズならその中間ぐらいの土を使います。
土は粒サイズが細かいほど水はけが悪く保水性が強くなります。そのため、大きなサボテンを細粒の土で育てると水はけが悪く、根腐れや徒長などのトラブルを引き起こしてしまいます。また逆の場合は細かい根が張りにくくなります。
小さい鉢は口径9cm以下、中くらいの鉢は口径9~15cm程度、大きい鉢はそれ以上というのがひとつの目安になります。
その他大切なポイント
その他にも細かいポイントがありますが、ここではざっくりご紹介します。
清潔な土
清潔な土というのは、細菌やカビ、害虫、雑草の種などがない土のことで、具体的にはカビの胞子や雑草の種、病原菌、害虫の卵、根ジラミなどの害虫がいないことをさします。
保肥性が少しある
サボテンも植物ですので、肥料や微量要素が必要です。そのためには根から肥料分を吸収できるよう、弱い保肥性(肥料を土の中に留めておく力)が必要です。
みじんが少ない土
みじんは小麦粉のように非常に細かい土の粒のことで、どの土にも多少は存在しますが、あまりにも多いと通気性と排水性が低下し、普通の植物にもよくありません。土を使う前にみじんを取り除いておくことが大切です。
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多肉植物や観葉植物の土との違いは?
多肉植物の土との違いと改良
実はサボテンは多肉植物の一つです。そのため基本的には多肉植物の土をそのまま使うことができます。
ただ市販の多肉植物の土の中には、小さな苗に用いられるよう細粒になっているものがあります。細粒など細かい土は、中粒のものに比べて水はけや通気性がやや悪く、中サイズ~大サイズのサボテン向きではないケースがあります。
サボテンも小さい苗であれば細粒の多肉植物用土を流用して全く問題ないのですが、大きな鉢(およそ口径15cm以上)のサボテンなら改良が必要です。
一例ですが、赤玉土や軽石の小粒~中粒を20%混ぜ込んだり、パーライトという水はけのかなりよい改良材を10%加えるなどの方法を取るとよいと思います。
また多肉植物の土の中には粒サイズが元々大きいものがあります。そのような市販用土であればそのまま中~大サイズのサボテンに使うことができます。
観葉植物の土との違いと改良
観葉植物の土はメーカーによって成分が異なります。そのためサボテンに使えるかはその土によります。
中には観葉植物&多肉の土としてもともと兼ねている商品もあります。そのような土は改良なしでそのまま流用できるケースもあります。ただ粒サイズが植えたいサボテンのサイズに合っているかの確認は必要です。
観葉植物用土の中には腐葉土メインのフカフカ系の土があります。そのような種類は通気性が悪く保水性が強いことが多いため、軽石や赤玉土、パーライトなどを30~40%程度加えるなど改良が必要になります。
※もっとも改良するぐらいであれば、サボテン・多肉植物の土を始めから買った方が安くあがるかと思います。
サボテンにおすすめの市販用土ランキング
ここでは詳細な性質をチェックし、結論的にどの市販用土がおすすめか1~7位で掲載しています。詳細な性質の比較はこちらのページで解説しています。
プロトリーフ 室内向け観葉・多肉の土 | |
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特徴 | ◆この土は観葉植物・多肉植物に向けて作られた土ですが、サボテンにも全く問題なく共用できます。また室内向けとあるように腐葉土や堆肥(有機肥料)が使われておらず、カビやコバエなどが湧きにくい土になっています。サボテンでよく使われる鹿沼土・赤玉土などでできていて、水の染みこみがよく水はけが抜群です。 ◆ただある程度サイズのある観葉植物用の土でもあるため、粒サイズが大きめで鉢サイズが大きいサボテンや、水はけと通気のよさを必要とする多肉植物に向いています。多肉用土にありがちなふわふわ浮く土が苦手な方にもおすすめです。逆に6cmポットなどのミニサボテンにはもっと小さい粒の土がよいと思います。 |
メリット |
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デメリット |
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総合おすすめ度 | ★★★★★ 4.5点 |
価格(コスパ) | ★★★ 3.0点 0.6L 240円程度 3.5L 680円程度 8.4L 1,220円程度 |
レビュー Amazon |
花ごころ さぼてん 多肉植物の土 | |
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特徴 |
◆多肉植物やサボテンはいかに根腐れさせないかがポイントになります。この土は水はけがよく、また適度な保水性もあり、根腐れしにくいゼオライトが配合され、水はけのよい軽石とパーライトが多く含まれているため、多肉植物・サボテンに最適です。 ◆また粒のサイズが2号鉢~4号鉢(口径6~12cm)程度にちょうど良く小型のサボテンを植えるのに適しています。ただその分細かめなので大きなサボテンの鉢には向いていないと感じました。百均やホームセンターによくある手に乗るサイズのサボテンに向いていると思います。 |
メリット |
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デメリット |
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総合おすすめ度 | ★★★★★ 4.5点 |
価格(コスパ) | ★★★★ 4.0点 2L 280円程度 5L 570円程度 12L 1,200円程度 |
レビュー Amazon |
ハイポネックス サボテン・多肉・観葉植物の土 | |
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特徴 | ◆水の染みこみや水はけも抜群なこの土は、小型のミニサボテン(およそ6~12cmポット)に最適です。肥料は入っているのものの化成肥料(マグアンプとリキダス)のため虫やカビなどが出にくいです。多肉植物にも用いることができます。 ◆2番目の「プロトリーフ 培養土 室内向け観葉・多肉の土」と性質は似ていますが、そちらは粒が大きく大きめのサボテンに向いています。このハイポネックスの土は小粒のため、小さな多肉植物・サボテンに向けに最適だと思います。ただ2023年5月時点、3L・5Lの取り扱いがなく1L袋の価格が高騰してしまっています。 |
メリット |
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デメリット |
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総合おすすめ度 | ★★★★★ 4.5点 |
価格(コスパ) | ★ 1.0点 1L 450円程度 3L 価格情報なし 5L 価格情報なし |
レビュー Amazon |
サンアンドホープ サボテン多肉植物の土 | |
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特徴 | ◆根腐れ防止成分であるゼオライトやステビアを含み、鹿沼土・日向土・川砂・軽石など様々な素材を含む多肉植物・サボテン共用の土です。 ◆素材も多く含み、粒と粒の間に隙間があり通気性がよく基本的には多肉植物・サボテンに適しているのですが、粒サイズにばらつきがある点がやや気になります。一番小さい川砂は細粒ですが大きな土もゴロゴロしており、事前にふるいでみじんや大きい土を取り除く必要がありそうです。 |
メリット |
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デメリット |
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総合おすすめ度 | ★★★ 3.0点 |
価格(コスパ) | ★★★★★ 5.0点 5L 480円程度 |
レビュー Amazon |
サボテンの種まきにおすすめの市販用土
プロトリーフ さし芽・種まきの土 | |
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特徴 | ◆この土は挿し木(さし芽)や取った子株の発根、種まきなどに最適な配合・粒サイズになっています。やや大きな粒サイズのため、メセン類やエケベリアなど微細な種には不向きかもしれませんが、アストロフィツム・ロフォフォラなどある程度タネの大きいサボテンに向いていると感じます。 ◆土には大きく分けてフカフカしたやわらかい軽い土と、サラサラとした重みのある土の2種類がありますが、この土は典型的な後者です。土への水の染みこみがよく、フワフワ浮いてきたりしないため、排水性・通気性がよく使いやすいです。 |
メリット |
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デメリット |
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総合おすすめ度 | ★★★★ 4.5点 |
価格(コスパ) | ★★★ 3.5点 2L 540円程度 5L 730円程度 14L 1,800円程度 |
レビュー Amazon |
花ごころ さし芽・種まきの土 | |
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特徴 | ◆この土は上のプロトリーフさし芽・種まきの土と対照的で、フカフカとしており土の粒がかなり細かいです。水の染みこみがやや悪く水はけ、通気性は若干劣ります。※他の土と混ぜる方法で改善可。しかし細かい種のサボテンにはプロトリーフさし芽・種まきの土はやや粒が大きいため、こちらのほうがうまくいくかもしれません。 |
メリット |
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デメリット |
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総合おすすめ度 | ★★★★ 4.0点 |
価格(コスパ) | ★★★★ 4.5点 2L 340円程度 5L 570円程度 12L 1,100円程度 |
レビュー Amazon |
サボテンによく使われる基本用土と配合割合
よく使われる基本用土と改良材
性質 | |
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赤玉土 | 一般植物でもごくメインに使われる基本の土で、関東ローム層の中から産出されます。赤玉土は排水性、保水性、通気性がよく、雑草の種や病原菌がほとんどない清潔な土です。デメリットはみじん(粉になった土)が出やすい点ですが、みじんが出にくく改良された焼き赤玉土も販売されています。 |
鹿沼土 | 鹿沼土も赤玉土と同様火山性の土で、関東ローム層の赤土の下にある層から産出する土です。軽石の仲間で通気性、保水性がよく、弱酸性を好む植物にも使うことができます。赤玉土と同じく使用していくうちにみじんが出やすいため、硬質鹿沼土も販売されています。 |
軽石 | 火山性の砂礫(されき)で通気性や排水性がよいのが特徴です。多孔質で軽くまた強度があるため、水はけの悪い土に混ぜ込んで通気性・排水性を高めるのによく使われます。 |
川砂 | 花崗岩などが細粒化し角が取れたもので、川底や河川敷に積もっている砂です。保水性・保肥性が弱く重い特徴があるため、土に重みを持たせたい時にも用いられます。使う前にはあらかじめ水洗いしてみじんを取り除く処理が必要です。 |
ピートモス | ピートモスは水ゴケが堆積し腐植化した泥炭を脱水、粉砕、選別したものです。通気性、保水性、保肥性が高く、有機酸を含むため元々は強い酸性の性質をもちますが、石灰を加えて中和し中性にしたpH調節済みの製品もあります。細かく無菌のためサボテンの土の改良材としても用いられます。 |
パーライト | ガラス質の火成岩である真珠岩・黒曜石を高温処理したもので、多孔質の構造を持ち内部に多数の気泡をもっています。空気をたくさん含み非常に軽く、また非常に排水性がよいのが特徴です。パーライトは高温で加熱され無菌で衛生的な改良材です。そのためサボテンの種まきにも用いられます。 |
以下のページに土の詳しい情報を掲載しています。
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目的別の配合例
シンプルに作りたい場合
取り敢えずサボテンの土をシンプルに作りたい、という場合は以下の例がひとつの目安になります。(多肉植物の土の配合ページより引用しています)
バランス重視で素材を多配合にする場合
適度に重くバランスを重視したい場合は、以下の例が目安になります。赤玉土をメインにし、川砂は非常に重いので少なめに、酸性のピートモスとアルカリ性のくん炭でpHを中和しています。
大きめの苗を植えたい
大きめの苗は軽い土だとぐらぐらしてしまいます。大きな鉢を使うのはもちろんですが、土にも重みのある素材をいれて苗がぐらぐらしないようにします。鉢サイズは口径15cm以上(5号鉢)以上程度です。
小さめの苗を植えたい
小さなの苗は大きな粒サイズの土だと根張りが悪くなってしまいます。そこでバランスを整えつつ、細粒~小粒の土を配合します。鉢サイズは口径6~12cm以上(2~4号鉢)程度です。
保水性が良い土にしたい
この場合、パーライトや軽石を避け、赤玉土や鹿沼土、バーミキュライトなどを多めに入れるようにします。
水はけが良い土にしたい
この場合、パーライトや軽石を多めに入れると水はけが抜群になります。
大きく育てたい
この場合は、水持ちがよい土を入れたり肥料を多めに入れます。
コンパクトにしたい
この場合は、保肥性・保水性が低めの土を作ります。
鹿沼土2:軽石2:川砂2:バーミキュライト1:腐葉土2
根腐れしやすい種類
根腐れしやすい種類は水はけをよくしつつ、腐敗防止効果があるゼオライトを入れるようにします。
軽い土にしたい
ハンギングなどで軽い土にしたい場合、パーライト、バーミキュライトは比重が軽いため多めに入れます。
挿し芽や種まきをしたい
挿し芽・葉挿し・種まきなどを行う場合は、できるだけ清潔・無菌で細かい土を作ります。
素材は新品のものを使い、種まきのものであればさらに熱湯消毒をします。
または赤玉土やバーミキュライト単体を使う方もおられます。
バーミキュライト1(単用)
酸度(pH)を調節したい
酸性度が傾いてしまい中和したい場合は、強アルカリ性であるくん炭やpH未調整の酸性ピートモスを加える方法が考えられます。
どちらもたくさん入れるとアルカリ性・酸性が強くなりすぎるのでくん炭は全体の10%以下に、ピートモスは30%以下にするようにします。
アルカリ性にしたい場合・・・くん炭
配合土の作り方
土の作り方には、バッドで混ぜる方法やバケツを使う方法など色々ありますが、ここでは「ビニール袋」を使った方法を紹介します。ビニール袋で作ると、粉が飛びにくく均一に混ざりやすいです。薄い袋だと途中で破けてしまうので、不燃物用のゴミ袋などある程度しっかりした袋を使うことをおすすめします。
厚手のビニール袋とスコップを用意しましょう。
①混ぜる用の袋に入れる
透明で大きめ(15~30L程度)の袋に軽い土から順に入れていきます。バーミキュライトやもみ殻くん炭、腐葉土、ピートモスは軽いので下層に、赤玉土や鹿沼土は中くらいなので中間に、川砂は重いので最後に入れるようにするとうまくいきます。
②空気を入れてふる
混ざりやすいように空気をパンパンに入れて、口をひねって閉じ、上下左右に振ります。
③みじんを取り除く
よく混ざったのを確認したらみじんを抜きましょう。ビニール袋を何度か地面に軽く落として底の方に細かい土を溜めて、上をすくって使うようにします。手頃な大きさのふるいがある場合は、ふるいにかけたほうがきれいに取り除けます。
土を作る時の注意点
作る時の注意点として、室内ではなく必ず外で作業しましょう。粉塵が飛び散りむせてしまいます。
またパーライトや石灰など眼に有害な成分の土を取り扱うときはマスクやゴーグルをして粉に触れないようにしましょう。
厚いビニール袋がない場合は破れることがあるので、2枚重ね合わせて使うなど工夫すると良いですね。