このページでは、ストマチウム属の浮舟や笹舟などの特徴・育て方を丁寧に解説しています。
目次
ストマチウム属の写真
ストマチウム 浮舟 | ||
自生地での様子 | bolusiae | trifarium |
※2段目の写真はWikipediaより引用
ストマチウム属(Stomatium)の特徴
科 | ツルナ科 |
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属 | ストマチウム属(Stomatium) |
生育型 | 冬型 |
育てやすさ | 育てやすい |
成長速度 | 遅い |
増やし方 | 株分け〇 種まき〇 葉挿し× |
原産地 | 南部アフリカ |
※4段階評価
育てやすい–普通–やや難しい–難しい
成長が早い–普通–遅い–とても遅い
ストマチウムとは?
夜に香りのよい花を咲かせるツルナ科の多肉植物です。南部アフリカが原産で、多年生で数年経つと塊のように群生します。葉は三角形状で対になって重なり、葉先に小さな棘のような突起を持ちます。肌はざらざらしており細かい点々があります。しっかり日に当てて育てた場合は茎は伸びず、対の葉が重なるようにして生長します。葉の長さは3~4cm程度で幅は5mm程度です。
夜咲きの花を咲かせる
花は黄色でリトープスやフォーカリアなどと似たような、菊のような細い花びらの花を夜に咲かせます。ほのかに香りがあり、昼間は写真のように蕾んでおり開いている花をみることができません。つぼみを持ったら夜に観察するようにしましょう。
育て方
生育期は良く日に当てて育てます。日に当てないと徒長してヒョロヒョロに長くなってしまいます。寒さには強く2℃までなら問題なく耐えられます。極度に乾燥した地域の植物なので、たくさんの水やりは不要です。特に夏に水やりしすぎると腐ることがあるので少しにします。また小さな植物なので大きすぎる鉢に植えず小さなプラスチック鉢などに植えると根腐れを防止できます。
育て方のコツ
- 夏は水やりを少なく月に1~2回にする
- 春秋は充分日に当てて育てる
- 成苗でも数センチの小さな種類なので大きすぎる鉢に植えない
- 群生したら株分けできるほか、種まきで殖やせる
年間栽培カレンダー
生育型 | 冬型 |
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生育期 | 10~4月 |
休眠期 | 5~9月 |
緩慢な時期 | 1~2月 |
水やり |
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置き場所 |
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植え替え |
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増やす |
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肥料 |
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開花 |
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主な種類名
浮舟(ウキフネ) | Stomatium peersii |
笹舟(ササブネ) | Stomatium duthieae |
檀舟(ダンシュウ) | Stomatium alboroseum ‘Niveum’ |
蘭舟(ランシュウ) | Stomatium bolusiae |
アグニヌム | Stomatium agninum |
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育て方のポイント
水やり
水やりは玉型メセンとは異なり、真夏に断水する必要はありません。ただ頻度は減らし月1~2回程度で量も3分の1程度にします。
10~12月は1週間に1回程度、土が乾いたら鉢底から流れるまで行います。1~2月は土を半分濡らす程度を月に2回程度にします。3~4月は土が乾いたら鉢底から流れるまでと、10月と同じくらいに増やします。5~9月はかなり減らし、鉢の3分の1濡らす程度を月に1~2回程度にします。
これはあくまでも目安で、株の状態や鉢や土の種類、育てている地域の環境などにより変わってきます。そのため土が乾いていないのに無理に与える必要はありません。迷ったら与えない方を選んだほうが、徒長も防止できて安全です。ただいつもいつも控え気味だと花が付かなくなったり生長が悪くなるので、やはり生育期は土が完全に乾いてからしっかり与えることをおすすめします。
置き場
現地は日照時間も長く直射日光も強い所ですが、岩の間や大きな植物に隠れて自生しているので、夏場はかんかん照りの所ではなく、半日陰で育てます。
年間を通して雨の当たらない風通しのよい所におきましょう。雨ざらしにすると水やりのしすぎと同じになり、腐ってしまいます。
生育期の10月から4月は直射日光の当たる屋外に置くのが基本です。たっぷりと日光を与えると徒長が抑えられ、株がぎゅっと締まります。ただ最低気温が2℃以下の場合は日当たりの良い窓辺に移動させた方がよいでしょう。5月ごろから日差しが強くなってきますので30%程度遮光します。白い遮光ネットを使うとよいです。6月から9月は日差しが強く、そのままでは葉焼けしてしまうので、半日陰=明るい日陰に置くか、50%遮光ネットを張るようにします。
本当は7~8月の休眠期は30℃以下に涼しくしたほうがよいですが、日本では現実的ではないので、遮光したり日陰においたりして温度をなるべく下げられるようにします。
耐暑性と最高気温・夏越しの方法
耐暑性はそこそこありますが、決して強くはありません。夏越しのポイントは、水やりを控えて遮光すること、通気をよくすることです。水やりは月1~2回にとどめ少量にします。遮光することで強い直射日光を遮れるほか、温度の上がりすぎを防ぐことができます。また通気が悪いと蒸れて腐りますので、常に風の吹いている場所に置きます。
越冬最低温度と冬越し方法
耐寒性は実測値2℃程度のようです。他サイトの情報によれば0℃を耐えるとの記述もありますが、葉の凍結や霜に当てたりするのを防ぐため、2℃程度で室内に取り込むようにしています。
室内に入れておけば10~15℃は保てますから、秋ぐらいの生育をし続けます。水も与えますが、室内で日光不足になっているので与えすぎないように株の様子を見ながら調節します。
増やし方(種まき・株分け)
ストマチウムは群生すれば株分けで殖やすことができ、また種まきから増やすこともできます。株分けは植え替えと同時に行うことが多いです。種まきは一般的なメセン類の実生とおなじ手順で行えばOKです。メセン類の実生方法は以下のページで解説しています。
植え替え
ストマチウムも適度な植え替えが必要です。植え替え時期は10月頃が適期です。真冬や真夏は根の伸びが悪いので避けます。ストマチウムは成長速度はゆっくりなので頻繁な植え替えは不要です。2年に1回程度の頻度で行うとよいでしょう。
植え替えでは鉢サイズを大きくする以外に、根の張り具合や病害虫の有無を確認する、新しい通気の良い土に取り替える、古い根を整理するなどの効果があります。
手順
植え替え前1週間程度は水やりを控えて土を乾かします。鉢を揉んで株を抜きやすくして抜き取ります。外側から丁寧に土を落として、作業中に簡単に取れてしまうような根や茶色く役目を終えた根などは切り捨てます。
土は新しくて水はけ・通気がよく粒が均等、サイズが大きすぎないものを使います。使う土はみじん(粉のような土)をふるって取り除いておきましょう。株を植え戻して水やりは数日経ってから行います。
土と鉢
土は水はけがよく通気性のよいものがストマチウム向きです。ホームセンターなどで販売されている多肉植物の培養土が簡単です。また自分で混ぜ合わせて作ることも可能です。花と野菜の土のような通常の植物の土は水はけが悪いので、そのままでは使わないほうがよいです。
配合例
(例1)赤玉土1:ピートモス1:パーライト1
(例2)赤玉土1:日向土1:ピートモス1:パーライト1:ゼオライト0.5
赤玉土は水はけと水持ちの両方の性質を備えているので基本の用土として使います。日向土は水はけがよく、パーライトは通気性がよい土です。ゼオライトは根腐れ防止に適しています。その他、くん炭やバーミキュライトなども改良用土として使うことができます。
鉢
鉢はあまり深くなく、株の大きさに応じて小さめの鉢を選びます。小型のプラスチック鉢が扱いやすいです。ストマチウムが育って群生してきたら株分けをするか、群生株の大きさに合う一回り大きな鉢に植え替えます。
肥料
肥料はそれほど多く必要としません。しかし鉢植えで群生してくると肥料(チッソ・リン酸・カリ)や微量要素が不足してくることがあります。量は普通の植物の3分の1で構いません。
施肥の時期は真冬を除く生育期の間です。10~11月頃、3~4月頃、ハイポネックス1000倍~2000倍などの液肥を月1回、1回の水やりの代わりに与えます。または植え替えをする時、土に緩効性肥料をいれてもよいでしょう。
病害虫
病害虫は特に心配ない強健な種類です。
生長に従って葉を重ね下葉が少しずつ枯れていきますが、これは生理現象なので問題ありません。茎が細く枯れているかのようにみえることもありますが、葉がピンとしていれば茎は生きているので、試しに切ってみたりしないようにしましょう。
夏は根腐れしやすいので、水やりは少なめにします。また葉焼けの心配があるので、30%~50%程度遮光ネットをかけると安全です。