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コナカイガラムシの多肉植物への殺虫剤と駆除方法や予防

※このページでは、多肉植物に使える農薬について記述していますが、適用外の作物への殺菌剤の使用を推奨する意図はありません。あらかじめご了承ください。(多肉植物に使う場合、観葉植物への適用がない農薬を使うと農薬取締法に抵触してしまうため、自己責任での利用となります)

コナカイガラムシなど、いわゆるカイガラムシ系が多肉植物についた場合の駆除方法や効果的な殺虫剤、殺虫剤を使う時の注意点、農薬以外の方法などについて解説しています。また、カイガラムシの写真が苦手な方もいるため、代表として小さく写っている写真1枚だけを載せています。

カイガラムシとは

コナカイガラムシ

出典:gooブログ(クリックで拡大します)

カイガラムシとは、枝や葉に寄生し植物の樹液を吸ってその植物を弱らせる吸汁害虫の一つです。カイガラムシには色々な種類があり、これまで実に400種類以上が見つかっています。

カイガラムシは大きく分けて成虫になったとき動き回れるタイプ※1と、枝に固着してしまい動けなくなるタイプ※2の2通りがあります。

※1には、殻がなく体表が白い粉状や綿状の分泌物に覆われている種類でフクロカイガラムシ類やコナカイガラムシ類などが分類されます。

※2には丸い偏平な殻を持ったマルカイガラムシ類、牡蛎の形をした殻を持ったカキカイガラムシ類、お椀のように丸く盛り上がったロウムシ類などが分類されます。

硬くロウ物質で覆われた成虫になると動けなくなるタイプのカイガラムシは、バラの枝にびっしりつくことで有名です。それでは多肉植物が被害にあうのはどちらなのでしょうか?

答えは、体が柔らかく成虫になっても動き回れるタイプの「コナカイガラムシ」と呼ばれる種類です。(上の画像がコナカイガラムシです)ただし多肉植物の被害は、100%コナカイガラムシではなく、ロウ物質で覆われる硬いタイプのカイガラムシが付くこともあります。

コナカイガラムシは白っぽく2mm程度の大きさでワラジムシのような害虫で、エケベリアを初めアエオニウム、カランコエ、コーデックス類、各種サボテンなど様々な多肉植物に寄生します。主に葉の付け根やサボテンのイボやトゲの隙間など、見つかりにくい所に潜んでおり、退治するのに苦労します。

またカイガラムシの排泄物からはスス病が発生することもあり、害虫でありながら病気の原因にもなる厄介な存在です。

参考:住友化学園芸

付きやすい種類と時期

多肉植物では、カイガラムシが付きやすいものと付きにくいものがあります。成長の速度が速いセダムなどには付きにくく、サボテン、コーデックス類、エケベリア、アエオニウムなどゆっくり成長するものの被害が多く見られます

カイガラムシの被害に遇いやすい時期は通年で、一年を通して被害が見られます。しかし4~6月に多くの幼虫が発生し、その後成虫になることから、この時期に重点的に駆除するのが有効な方法です。

コナカイガラムシの駆除方法

カイガラムシはロウ物質に覆われる硬い種類とやわらかく動き回れるタイプ(コナカイガラムシ)がいますが、多肉植物に付くのは主に柔らかなタイプのコナカイガラムシなので、以下ではコナカイガラムシに焦点を当てて解説しています。

コナカイガラムシの駆除方法は2通りあります。

手で取る

農薬 殺虫剤

一つ目は手作業で取ることです。

コナカイガラムシを発見したら、見つけ次第綿棒や爪楊枝、ブラシなどでこすり落とします。葉の付け根部分や、葉の重なるところ、イボの隙間、トゲの根元など丁寧に駆除します。このとき多肉植物を傷つけないように注意しましょう。

またコナカイガラムシはお店で購入した時からついていることも多いので、新しく買った苗はコナカイガラムシが付いていないかよく見ることも大切です。

殺虫剤を散布

農薬

二つ目は殺虫剤を使う方法です。

カイガラムシがついていれば、それはすぐに綿棒などでこすり落とす必要がありますが、量が多くなってきた場合や手で取りきれないほど広がってしまった場合は薬剤を散布します。

また、手で取った後も、周辺に卵や幼虫などが潜んでいる可能性が高いので、殺虫剤を噴霧しておく方が安全です。

殺虫剤を使う場合

殺虫剤を使う場合について、よくある疑問点や殺虫剤の種類の選び方、使う時の注意点などについて解説します。

多肉植物に使っても良いの?

疑問 質問 答え

まず、多肉植物に殺虫剤を使って良いのでしょうか?

実は農薬はどの植物にどの薬品を使ってもよいのではなく、この作物には何倍で何回使用するなどの適用病害虫と散布方法が定められています。キュウリが載っていればウリ科のもの全般にかけてよいのではなく、記載されている以外の植物には使わないのが決まりとなっています。

それでは多肉植物は適用病害虫の記載があるでしょうか?

残念ながら、多肉植物が適用病害虫に載っている薬はありません。しかし多肉植物は観葉植物の一つでもあります。そのため観葉植物の項目に準じて使えば大丈夫です。

ヒトへの安全性は?

農薬(園芸薬品)は農薬取締法という法律で厳しく規制されており、市販されている農薬は全て国の厳しい基準をクリアしています。

  • 病気・害虫への効果
  • 使用者(人間)
  • 自然環境(土壌や魚類への影響)
  • 作物に対する影響

など様々な試験を行い安全性が確認されたものだけを市販しています。

そのため一般の植物でも多肉植物に使うにしても、市販された農薬を決められた方法で使うのであれば、安全に使うことができます。

しかし農薬は正しく使わないと、人体に深刻な被害をもたらすことがあります。原液を薄めて使うタイプは濃厚な薬剤なので、スプレー剤やペレット剤より濃く眼や皮膚への刺激性が高いです。そのためラベルや中に入っている説明書をよく読むことが大切になります。

説明書には調合時や散布時「保護めがねを付ける、不浸透性手袋をつける、ゴム長靴を履く」などの使い方の注意点や、万一眼に入ってしまった場合の対処方法が書いてあるので読み飛ばさないようにしましょう。

多肉植物への害は?

火祭りの薬害

クラッスラ属「火祭り」の薬害

農薬の種類によっては特定の作物に使用すると奇形など薬害が生じることがあります。その場合、農薬のラベルや説明書に使わないようにする旨が書かれているので必ず確認します。

多肉植物の中には薬害がでやすく、数回かけただけでも葉に奇形を起こしたり薬害が出る場合があります。

管理人の環境ですが、たとえばクラッスラ属の火祭りはベンレートをかけると葉の出方がおかしくなり、新芽に奇形が出てしまう薬害があります。

また金のなる木(花月、黄金花月)などでは、葉が小さくくびれるといった現象を確認しています。そのため初めて農薬を使う場合は、多肉植物の目立たない所に散布して、薬害が出ないか確かめてから使うようにしたほうがよいでしょう

天然成分のものもある

殺虫剤の中には化学薬品でできたものばかりではなく、天然成分(デンプン由来の成分や除虫菊の成分、シイタケ菌由来のもの、油など)でできているものもあります。そのような殺虫剤はより安全性が高く安心して使うことができます。

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効果的な殺虫剤

農薬

殺虫剤には効果・使い方でいくつかの種類があります。

直接殺すタイプ

一つ目は接触剤といわれるもので、害虫の体にかけたり植物の葉や茎にかけてそれに害虫が触れて退治するものです。一般的に使われているのがこれで、害虫を見つけてそれに吹きかけるタイプです。速効性があり、見た目で効果も分かりやすいです。

GFオルトランCスプレー <オルトランスプレー>
GFオルトランC(オルトランスプレー)は害虫と病気に対応する殺虫殺菌剤のひとつで、アセフェート・MEP・トリホリンを含みます。害虫に対しては速効性と持続性があり、病気に対しては予防効果と治療効果があります。この中でアセフェートとMEPがカイガラムシに効果がある成分で、アセフェートは持続性がありMEPは速効性があります。※ただし観葉植物への適用がないため自己責任での使用になります。農薬の適用外の作物への使用は農薬取締法に抵触しますので気をつけましょう。
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カイガラムシエアゾール <カイガラムシエアゾール>
カイガラムシエアゾールはクロチアニジン・フェンプロパトリンという成分を含み、カイガラムシに直接かけて殺虫し、植物の体内に浸透移行して広がりおよそ1ヶ月の殺虫効果が続きます。ボタンを押すとジェット噴射するタイプで、希釈する手間がありません。エアゾール剤で至近距離では冷害を起こすため30cm離れた所から噴霧します。観葉植物に適用があり、多肉植物にも使いやすいです。
※上の文はメーカー説明です。カイガラムシエアゾールのカイガラムシへの効果が本当にあるかについては、詳細情報ページで解説していますので一度ご覧ください。
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ベニカXファインスプレー <ベニカXファインスプレー>
ベニカXファインスプレーは害虫と病気に対応する殺虫殺菌剤のひとつで、クロチアニジン、フェンプロパトリン、メパニピリムを含んでいます。害虫に対して予防と殺虫効果、病気に対しては予防効果があり、観葉植物(多肉植物)や花卉類、などに広く使うことができます。害虫ではカイガラムシ、アオムシ、アブラムシ、ハダニ類、ケムシ、コナジラミ、アザミウマなどに効果があります。速効性と持続性があり、フェンプロパトリンという成分がカイガラムシに速効性を現し、クロチアニジンという成分がカイガラムシに持続的に効果を発揮します。
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キング園芸マシン油 <キング園芸 マシン油乳剤>
キング園芸マシン油は、ロウ物質のある硬いカイガラムシにも効果のある殺虫剤です。成分にマシン油を含みこれをカイガラムシの体に掛けることで窒息死させる仕組みです。これは植物の種類に応じて水で希釈し、スプレーで噴霧する方法で使います。サボテン・多肉植物に硬いタイプのカイガラムシが付いてしまった場合、他の薬は効きにくいので、マシン油が効果的な選択肢です。
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マラソン乳剤 <マラソン乳剤>
マラソンはマラソンという成分を主成分としており、広範囲の害虫に効果を発揮する代表的な殺虫剤です。直接害虫の体に働きかけ防除します。カイガラムシ、アブラムシ、ハダニ、アザミウマ、アオムシ、キアゲハ、カメムシ、コガネムシなどに効果があります。観葉植物にも適用があり、植物への薬害も少ないです。薄めて散布する必要があります。
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スミチオン <スミチオン乳剤>
スミチオン乳剤はMEPという成分を主成分としており、広範囲の害虫に効果がある代表的な殺虫剤です。カイガラムシ、アオムシ、バッタ、ハマキムシ、アブラムシ、カメムシ、ヨトウムシ、ケムシ、コガネムシなどに効果があります。観葉植物にも適用があり多肉植物に使いやすいです。同じく薄めて使う必要があります。
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予め撒いておくタイプ

もう一つがあらかじめ多肉植物に撒いておき、害虫が多肉植物を囓った際や吸汁した際に死んでしまうものです。浸透移行性剤といいます。多肉植物の栽培が大規模になってくると、このような殺虫剤を予防的に撒いておくことが一般的になります。

オルトランDX粒剤 <オルトランDX粒剤>
オルトランDX粉剤は害虫に効果がある殺虫剤で、アセフェート、クロチアニジンを含みます。害虫に対しては予防的な持続効果があります。害虫ではカイガラムシ、アブラムシ、アオムシ、コガネムシの幼虫、コナジラミ、ハモグリバエなどに効果があります。観葉植物にも適用がありアブラムシでは約1ヶ月の効果が持続します。速効性はないので、害虫発生前に蒔いておく必要があります。
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オルトラン水和剤 <オルトラン水和剤>
オルトラン水和剤はアセフェートを主成分とする殺虫剤で、植物の体に行き渡り株全体に効果がある浸透移行性をもちます。速効性はありません。幅広い害虫に効果があり、カイガラムシ、アブラムシ、アオムシ、アザミウマ、テントウムシだましの幼虫、ハナムグリ、ハマキムシなどに効果があります。観葉植物も適用作物なので多肉植物でも使いやすいです。
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ベニカ水溶剤 <ベニカ水溶剤>
ベニカ水溶剤はクロチアニジンを主成分とする殺虫剤で、植物の体に行き渡り株全体に効果がある浸透移行性をもちます。速効性はありません。幅広い害虫に効果があり、コナカイガラムシ、アブラムシ類、アオムシ、アザミウマ類、コガネムシ類、コナジラミ類、ハモグリバエ類、カイガラムシ類、ケムシ類、カメムシ類、テントウムシダマシ類、ウリハムシ、アゲハ類などが対象です。観葉植物にも適用があるので、多肉植物に使いやすいです。
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病気に対応するものも

カイガラムシに効く以外に、病気にも対応してくれる農薬もあります。両方に悩まされた場合は、このタイプが便利です。

先ほどのオルトランCスプレー、ベニカXファインスプレーなど

農薬・殺虫剤を使う時の注意点

注意点

スプレー剤でも、薄めて使うタイプのものでも、本体ラベルに使う上での注意点が書いてあるので、しっかり確認するようにします。

一般的に

  • 体調の優れない時は薬剤散布を行わない
  • 雨が降りそうなときや風が強い時は避ける
  • 夏の高温時は薬害防止のため、夕方など涼しい時間帯に散布する
  • 作業後は手足や顔を石鹸で良く洗いうがいをする
  • 子供やペットに触れないようにしする
  • マンションなど集合住宅では隣、上下に飛ばないように注意する
  • 洗濯物にかかったり室内に吹き込んだりしないようにする

などの注意が必要です。

また殺虫剤の種類によって

  • 希釈するタイプは倍率を守る
  • 液が残ったら排水には流さず土にかける
  • エアゾール剤では多肉植物に近づけすぎないようにする

などの注意点を守りましょう。

※エアゾール剤とは、ボタンを押すとシューと自動で出てくるもの

カイガラムシの予防方法

観察 病害虫
既に発生してしまっている場合は、それ以上広げないことが先決ですが、予防することもとても大切です。

普段からよく観察する

まず普段から多肉植物をよく観察しましょう。カイガラムシの被害は早期発見が大切です。そのためには葉や茎を観察することが大切です。

購入時にチェックする

新しい株を買ってきたら、そこにカイガラムシがついていないかしっかりチェックしてから、多肉植物の置き場所に置くようにしましょう。

薬剤を散布しておく

多肉植物の鉢が数十個を超えるなど多い場合、事前に殺虫剤を撒いておく予防散布が効果的です。この場合、薬剤の効果期間に合わせて1ヶ月に1回など定期的な散布が必要になります。ですが被害が広がることがないので、多肉植物への吸汁ダメージを最小限に抑えることができます。

病害虫対策
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