多肉植物はタネから育てることもできます。種まき(実生)の詳しい方法や大切なポイント、種類ごとのまき時やコツ、発芽後の管理方法などについて解説しています。
目次
多肉植物をタネから育てる
種まきで育てることを園芸用語では実生(みしょう)といいます。多肉植物もタネから育てることができます。
葉挿しやさし木、株分けなど多肉植物を増やす方法はいくつかありますが、種まきには種まきにしかないメリット(とデメリット)がたくさんあります。
メリットとデメリット
- 一度にたくさんの苗を得られる
- ウイルスに冒されていない株を作れる
- 親株と異なる特徴が出るため、好みの種類を選抜できる
- コーデックス(塊根植物)では塊根を太らせることができる
- 腰水や遮光といった管理が成株(通常の苗)より大変
- 大きくなるまでに数年の長い時間がかかる
- カビや腐敗、蒸れなどに注意が必要
種まきから育てるのは、大きくなった普通の苗を育てるより大変でまた面倒くさい所もあります。最初からうまくいく訳ではなく、試行錯誤も必要です。しかし小さな種から芽が出て少しずつ大きくなっていく成長過程を観察できるのは、とてもやりがいがあり楽しいものです。
皆さんもぜひ自分の好きな種類の多肉植物の種まきを始めてみませんか?
簡単な流れ
種まきは色々大切なことや注意点がありますが、先にざっくりどんなふうに実践するのか大まかな流れを紹介します。
- 必要なものを揃える
- 土を用意して消毒する
- 種を消毒する
- 種をまく
- 発芽後の管理をする
実生のステップ自体はシンプルです。しかし成功させるためにはまき時の見計らいや色々環境の整備、コツがいるので、詳しく紹介します。
実生共通で大切なポイント
- 種類ごとのまき時を守る
- 水やりは腰水管理(底面吸水)で行う
- 置き場所は半日陰か50%遮光ネットを使う
- 種まき用の小粒の土を使う
- 新品の用土を使い、念のため熱湯消毒する
- 覆土はしない
- しっかりカビ対策すること
- 移動しても土が崩れない硬質ポットを使う
- 実生1~2年以内は成株(充分大きくなった株)とは異なる育て方をする
種類ごとのまき時を守る
エケベリアは4月頃、サボテンは6月頃など種類によってまき時が異なります。(発芽温度がそれぞれ異なります。)通常その種類の生育が始まるころですので、事前に調べてまき時を守ってください。(このページの下の方にも書いています。)
水やりは腰水管理(底面吸水)で行う
発芽から数ヶ月までは一部の種類を除き、水やりは「腰水」(底面吸水)で行います。それは土が常時湿っている状態でないと発芽しにくいためです。また出たての芽は保水力が弱いので種まきから1~2ヶ月はしっかり腰水を行います。
置き場所は半日陰か50%遮光ネットを使う
種まきしてすぐ直射日光に当てると萎びてしまいます。そこで置き場所は半日陰(日陰だが明るい所)か50%遮光ネットを張った環境に置きます。成株はガンガン直射日光を当てて良い種類でも、幼苗の時期は日よけが必要です。
種まき用の小粒の土を使う
成株は多肉植物用の土を使いますが、これは粒が大きく種まきには適さないので小粒~細粒の種まき用土を使うようにします。
新品の用土を使い、念のため熱湯消毒する
種まきに使う土は新品のものを用意し、念のため熱湯で消毒してください。古い土には枯れ葉や害虫、病気(かび菌)などがついていることがあるので、使わないようにしましょう。
覆土はしない
多肉植物の種子は好光性種子が多いため、覆土(土をかぶせる)はしません。土をかぶせず種を土に乗せるだけでOKです。大きな種はやや土に押しつけるようにすると水分が移動して発芽しやすくなります。
しっかりカビ対策すること
実生では最低2ヶ月、鉢を水に浸けっぱなしにするので、カビが生えやすくなります。そのためオーソサイドやベンレートなど殺菌剤でしっかり消毒したり、土を熱湯で消毒するなどかび対策をしっかりすることが大切です。
移動しても土が崩れない硬質ポットを使う
種まきした苗は移動が多いので、ビニールポットではなく持ち上げても形が変わらない硬質ポットを使うようにしてください。
実生1~2年以内は成株(充分大きくなった株)とは異なる育て方をする
種まきから1~2年は成株と異なる育て方をします。具体的には小さな苗は水切れに弱いため、水やりをこまめに行い休眠期でも断水をしないようにします。また成株は直射日光に置いて良い種類も、小さいうちは半日陰で育てます。
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種類ごとのポイントとまき時
※なお、まき時は発芽温度によりお住まいの地域によりますので、寒冷地、暖地など適温になったときにずらして読み替えてください。
エケベリア
ラウイの実生風景
エケベリアは粒が非常に細かく取り扱いしづらいです。エケベリアの種は25℃程度で発芽するため、3月末~5月初め頃までがまき時になります。主にこの時期に蒔きますが、秋に25℃程度が1ヶ月程度保てる場合は秋まきすることもできます。発芽率はそれほどよくありません。
エケベリアの実生の注意点は
- まき時が狭い
- 発芽率がやや悪い
です。
低すぎても芽が出ず、暖かすぎても発芽しなくなるので20~25℃になる頃を見計らって蒔くようにしてください。また発芽率がやや悪い(50%程度)ので多めに蒔くようにしてください。
メセン
リトープスの実生風景
メセン類は様々な種類がありますが、コノフィツムのように非常に種が細かいものもあります。このような種類は爪楊枝の先を濡らして皿から土に一つずつ乗せていくので、かなり細かな作業になります。
また発芽温度は種類によりかなり異なり15℃~30℃で、概ね8月末~10月末頃までです。種類によっては3~4月に蒔くこともできます。発芽率は良好(8割以上)のものが多いです。
まき時順に
- ブルゲリ(コノフィツム) 8月末~9月初め頃(25℃以上)
- プレイオスピロス 8月末~9月中旬頃(25~30℃)
- リトープス 9月初め~10月初め頃(20~30℃)
- コノフィツム(ブルゲリ以外) 9月末~10月末頃(15~25℃)
- その他のメセン類 9月初め~10月初め頃(20~30℃)
頃となります。
メセン実生の注意点は
- 種類により発芽温度が異なること
- まき時を遅らせないこと
- 1年ほど種を寝かせるとよいこと
です。
先のように発芽温度に差があるので、その種類のまき時に蒔くことが大切です。たとえばブルゲリを10月に蒔いても寒すぎて芽すら出ないことがあります。また蒔くタイミングが遅くなると大きくならずに冬になってしまうため、早めに蒔いて冬までになるべく大きくしておくことも大切です。
またメセン類の種は採取直後だと発芽に時間がかかることがあるので、1年ほど冷蔵庫の野菜室で寝かせておくと発芽がよくなります。
サボテン
ロフォフォラの実生風景
サボテンの種は大きく取り扱いがしやすいです。発芽温度は25℃~35℃程度なので充分暖かくなってから蒔くことが大切になります。また鮮度はそれほど重視しないようです。発芽率はよく80~90%は発芽します。
サボテン実生の注意点は
- かなり暖かくなってから蒔くこと
です。
涼しいと芽が出ないので、25℃~35℃を保てる5月~6月いっぱいに蒔くことが大切です。これより遅くなっても発芽は問題ないのですが、冬になるまでに充分に大きくなれないので、この季節がベストです。秋まきは可能ですが、ヒーターマットなどの加温環境がないと11月、12月と充分に成長できません。
コーデックス(塊根植物)
オトンナの実生風景
コーデックス(塊根植物)の種はメセンやエケベリアなどと違って大きなものが多いですが、チレコドンのようにごく細かいものもあります。発芽温度(まき時)は冬型コーデックスと夏型コーデックスによって異なります。また同じ夏型でも微妙に要求する温度に差があるので、その種類の適期に蒔くことが大切です。
かなり大まかな蒔き時
- 夏型コーデックス 4~6月頃(20~30℃)
- 冬型コーデックス 9~11月頃(10~20℃)
個別のまき時
- アデニウム 4月頃
- パキポディウム 4月頃
- チレコドン 9月頃
- ディオスコレア 9月頃
- オトンナ 10月頃
- ペラルゴニウム 10月頃
コーデックス実生の注意点は
- 新鮮な種を入手すること
- それぞれのまき時を守ること
- 発芽まで容器を密閉し高湿度を保つこと
- 低温が必要な種類は冷蔵発芽処理をすること
- カビた種子は即捨てること
などです。
コーデックスはメセンやエケベリアなどと異なり、種の鮮度が発芽率を左右させます。できるだけ今年度に採れたタネを蒔くことが望ましいですが、無理な場合は1年以内のものを使います。また発芽までは湿度が必要なので蓋をし、発芽が揃ったら蓋を外します。この間カビが出たタネはすみやかに取り除いて捨てます。
またオトンナ、ペラルゴニウムなど冬型コーデックスは寒さに当てないと発芽しにくいものがあります。そこで湿らせたまま冷蔵庫に入れて発芽したら常温で管理する冷蔵発芽処理をする場合があります。
アガベ
笹の雪の実生風景
アガベのタネは大きく取り扱いしやすく、まき時もそれほど選ばないので比較的初心者でも成功しやすいです。発芽適温は4月初め~6月末頃の20~25℃程度の頃です。発芽率は良好で90%程度発芽します。
アガベ実生で注意すべき点は
- 発芽までは高い湿度を保つこと
です。
湿度が上がるようにラップなどで覆い、芽が出たら徐々に剥がしていきます。それ以外は特に心配なく発芽するはずです。
実生(種まき)に必要なもの
- 種子
- 種を蒔く鉢
- 鉢を浸ける容器
- プラスチックのラベル
- 種まき用の土
- 通常多肉植物用土
- 殺菌剤(オーソサイド)
- 殺菌剤を溶かすペットボトル
- 霧吹き
- 消毒用のお湯
鉢の用意
ここではホームセンターなどで入手しやすく安価な「プレステラ90」というプラスチック鉢を使いました。この鉢に土を入れて種を蒔きます。他の鉢をお持ちの方はそれでも良いですし、鉢がない場合は、百均などにあるプラスチックトレイでもよいですし、カップ麺や食品の空き容器に蒔く方もいます。
そして鉢を水に浸けるための大きめの容器が必要です。ここでは家にあった空きのプラスチックケースを使いました。適当な入れものがない場合は、百均に売っているプラスチックケースや、家にあるもので済ませたい場合は、2Lのお茶や水のボトルを切って加工したものでも代用可能です。
また土の消毒にお湯を使いますが、プレステラ鉢は土をいれてその上から熱湯を注いでも変形しないことを確認しています。
土の配合と種類
土は自分で作ることもできますし、種まき用の土を買っても良いです。
市販の土を買う場合、種まき用の細かい土を選びましょう。普通のサボテンや多肉植物用の土では目が粗すぎて種が生長しづらいことがあります。
市販でのおすすめは花ごころ「さし芽種まきの土」です。これを3mm程度の細かめのふるいにかけて、粒の大きい土を除外します。底から中間には花ごころ「さぼてん多肉植物の土」を5mm程度の中くらいのふるいにかけたものを使います。(あくまでほんの一例です。)
もちろん他のメーカーの土でも構いません。
土に何を使うかは人それぞれで、赤玉土単体を使うという方もあれば、色々混ぜて試行錯誤を繰り返したり、市販の種まき用の土をそのまま使ったり、など正解はありません。簡易な方法として、階層構造にしない方法もありです。
土の種類解説
必要なものと費用
種をまく鉢 | 鉢をすっぽりいれられる容器 | 殺菌剤 |
---|---|---|
プレステラ90 1個10~20円 Amazon |
プラスチックケース 家にあるもの、100均のプラスチックケースなど |
オーソサイド 1箱 800円 Amazon |
細粒の土(表面用) | 細かい土(底~中間用) | |
花ごころのさし芽・種まき用の土 5L 600円程度 Amazon |
花ごころのさぼてん多肉植物の土 5L 600円程度 Amazon |
|
ふるい(5mm) | ふるい(3mm) | |
中間の土を作るためのふるい(5mm程度) Amazon |
表面の細かい土を作るためのふるい(3mm程度) Amazon |
殺菌剤スプレー | 消毒用の湯1L~ | スコップ |
オーソサイド用のスプレー容器 800倍に薄めたオーソサイド用のスプレー容器 Amazon |
鍋で沸騰させたお湯1L程度 自宅 -円 |
土入れスコップ 大小で300円程度 |
用具の解説
- 種をまく鉢は、土をいれて種をまきます。
- 鉢をすっぽり入れられる鉢は腰水(鉢を水に浸ける)のために用意します。
- 土は種まき用などの細かい粒の土を用意します。普通の多肉植物・サボテン用の土では目が粗すぎで小さな芽が育ちません。そして土は清潔である事が大事です。古い土の使い回しではなく必ず新品のものを使いましょう。
- 爪楊枝は小さな種をひとつひとつまくときに使います。
- ラップは土を入れた鉢を乾かないように上から覆うために使います。
- オーソサイドは殺菌剤で種子のカビを防ぐためのものです。ベンレートでもよいのですが、オーソサイドのほうが藻や青ゴケを防ぐ効果が高いので、最近はオーソサイドを使うようにしています。
- 霧吹きは種まきの途中で土の上から水やりをするために準備します。
タネの入手方法
多肉植物の種子はアマゾンや楽天、ヤフーショッピングなど通販サイトで販売されています。それ以外にメルカリやヤフオクでも入手できます。
購入するときの一番大事な点は「種子の信頼性」です。激安のものは選ばないほうがよいでしょう。発芽率が非常に悪かったり、偽物だったり(無関係な植物が発芽します)、割れて届いたりする可能性があります。
種の保管と取り扱い
メセン・エケベリア、一部のコーデックスの種子は非常に小さいです。初めて見た方はびっくりされると思うほど小さいです。取り扱いには注意が必要です。鼻息ですぐ飛んでしまう軽さなので丁寧に袋をあけて、濡らした爪楊枝で1つ1つまいていきます。
なお管理人は、ヤフーショッピングの多肉植物ワールドやフリマのメルカリ、ヤフオクでタネを入手しています。
タネはこちらで入手できます。
メルカリでも多肉植物の種を多数取り扱っています。 メルカリで新規登録する方は、お友達紹介コードの入力で、メルカリの購入で使える500円分ポイントがもらえます。(キャンペーン時は2,000円分相当ポイントがもらえます) よろしければ、下記のコードをお使いください。
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詳しい実生方法【本編】
事前準備
まずラベルを作ります。
用意したプラスチックラベルに蒔く種の名前と日付などを書いておきましょう。他にも色々種をまくとどの鉢がどの苗だったか分からなくなってしまいます。
カビや腐敗、雑菌の防止に用具や鉢、鉢を浸ける容器などをしっかり洗っておきましょう。理想は種を蒔く鉢は新品のものが望ましいです。
ペットボトルのような細い口の容器に入れる場合は、折った紙を使うとこぼしにくいです。
オーソサイドはかなり沈殿しやすいので、必ず使うたびに振ってください。
土の用意と消毒
土はあらかじめふるって粒サイズを小さく均一にしておきましょう。ここでは3mmのふるいでふるった土を表土(一番細かい)にし、底の土は5mmのふるいでふるいました。
さし芽種まきの土も同様にふるっておきます。
日当たりを考えて、土は鉢の上から5mm~1cmほどの深さまで目いっぱい入れたほうがよいです。
土の消毒方法はいくつかありますが、ここではプレステラ90に土を入れ、その上からお湯を充分に注ぐ方法にしました。更に殺菌剤のオーソサイドを800倍に薄めたものを土に注ぎ、表土にはくまなくスプレーしました。
土は階層を作っているので注いだ時に構造が崩れないよう、慎重にお湯を注ぎます。
鉢底から充分お湯が流れ出てきたら底面吸水用のプラスチックケースに鉢を並べ、土の上からオーソサイド800倍液を注いでいきます。
腰水に使う水は鉢が1cm~1.5cm程度浸かる程度の量で問題ありません。
タネを蒔く
土の煮沸消毒をして3~6時間ほど経ってから、土が冷えたのを確認しタネを蒔きます。
サボテンやコーデックスなど大きい種子は手かピンセットでつまんで土に置きます。エケベリアやメセン類などごく細かいタネは鼻息で簡単に飛んでしまうので、蒔く時は白い皿に中身を出して、殺菌剤で湿らせた爪楊枝で1粒ずつ土に乗せていきます。
上の写真は流用しています。
数が多いと一気にバラバラと蒔きたくなりますが、くっついて生えてくるとその後の成長が著しく悪くなりまた間引きが必要で種の無駄になってしまうため、一粒ずつ蒔くことをおすすめします。
その後は主に大きい種(パキポディウム・アデニウム、ペラルゴニウムなど)は発芽まで蓋をして湿度を保ち発芽したら外します。リトープスなど極細かいメセン類やエケベリア、ダドレアなどのタネなら覆いは不要です。
その後の管理
水やり
種まきから30日間程度はどの種類も腰水で管理します。大体1cm~1.5cm程度の水位を維持します。水は暖かい時期であれば、容器がぬるぬるしてしまうので、3日に1回程度は交換したほうがよいですね。涼しい時期は水位が減ったら足す程度で交換は特にしないで問題ないです。
1ヶ月以降の管理はその種類によって変わってくるのでここで一概に書くことができないのですが、30日~60日目くらいで少しずつ水位を減らし90日目ぐらいで腰水をやめて乾かしていく感じになります。(あくまで大まかな流れです)
置き場所
どの種類も苗が小さなうちは直射日光に弱いので基本的に半日陰に置きます。3月から10月までは半日陰がよく、11月から2月までは直射日光に当てても大丈夫です。
リトープスなど秋に蒔くタイプは種まき時は半日陰ですが、11月、12月と進むにつれ遮光ネットを薄くしていきます。パキポディウムなど春にまくタイプは種まきから半年程度(5~10月頃)は半日陰に置き、その後は寒さのために室内に取り込むようになっていきます。
種まき後の環境整備については、個別のページを参考にしていただければ幸いです。
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多肉植物の種まきのQ&A
以下はあくまで個人的な実験結果の感想ですので、完全に正しいとは限りません。そのため参考程度にしていただければ幸いです。
発芽までの日数は?
発芽までの日数は種類によります。
以下は最初(最短)の発芽~遅れて出てくる発芽最後頃の日数です。
- エケベリア 2週間~1ヶ月
- ダドレア 2週間~1ヶ月
- リトープス 3日~3週間
- モニラリア 3日~7日
- プレイオスピロス 3日~7日
- コノフィツム 2週間~1ヶ月
- サボテン 1週間~3週間
- パキポディウム 1週間~2週間
- アデニウム 5日~10日
- ペラルゴニウム 2週間~1ヶ月
- チレコドン 2週間~1ヶ月
- オトンナ 2週間~1ヶ月
- ディオスコレア 1週間~2週間
- アガベ 5日~10日
腰水管理とは?いつまでするべきか
腰水とは、底面吸水のことです。タネをまいた鉢を水を張った容器に浸けて下から水を吸わせる水やり方式のことです。
多肉植物の種まきで腰水がよく利用されるのは、発芽時は常時土を湿らせる必要があること、上から水やりしてしまうとタネが流れてしまうことなどがあげられます。腰水にすることで安定的に水を供給でき、また湿度を高めて発芽を促すことができます。
デメリットとしては暑い時期は頻繁な水の交換が必要になること、藻やボウフラなとが湧きやすいこと、カビのリスクがあることなどです。
いつまでするべきかは種類によります。逆に腰水をやめられる条件として、
- 苗がしっかりしてきて上からジョウロで水をやれるようになること
- 苗がある程度生長して保水力を備えること
があります。
タネが小さいものほど腰水をすぐやめられない傾向があります。ざっくりですが、メセン類では2ヶ月程度、コーデックスで1ヶ月程度、エケベリアなど極小のもので2ヶ月程度です。(詳細は種類ごとの実生ページをご覧ください)
土を消毒しないとどうなる?
新品の土を使えば正直土の消毒はいらないのではないかと思います。
土に水をしっかり染みこませるためというのもあり、管理人は必ず新品の土でも熱湯消毒しますが、絶対必要というものではないと思います。ただその場合でもオーソサイドなど殺菌剤を土にしっかりスプレーしておくことは必要かと思います。
タネの消毒は必要か?
タネの消毒については意見が分かれるところだと思います。
絶対必要という方もいますし、不要という方もいます。特にカビやすいパキポディウムなどのコーデックスの種子は必須とされていますが、そもそも発芽能力のあるタネは消毒しなくてもカビないので、必須ではないと思います。また数時間の長い間暖かい季節に殺菌剤水に浸けておくと皮が剥がれたりして弊害があるので、行っても殺菌剤をまぶす程度が良いかと思います。
ベンレートとオーソサイドはどちらがいい?
ベンレートもオーソサイドも殺菌剤(カビ菌防止)のための農薬です。
どちらがよいかといわれると結論的には、オーソサイドに軍配が上がります。というのはオーソサイドは農薬取締法上で観葉植物(多肉植物)に適用がある点(ベンレートは適用なし)と、オーソサイドのほうが藻の防止効果がある点です。
特に腰水が長期間になるメセン類などでは藻が生えることが問題化するので、オーソサイドがよいかと思います。
しかしかび対策としての効果の点では、どちらもほとんど違いは感じませんのでご家庭にあるほうを使われ、これから購入される方はオーソサイドを選んでいただければよいかと思います。
日当たりや置き場所の管理は?
日当たりについては半日陰が基本です。また置き場所は屋外を強く推奨します。(冬期以外)
種まきして3年以上経つ成株は直射日光に当てて良い種類でも、幼苗は強い日差しに弱いです。そのため最初の1年くらいは半日陰に置いておく種類が多いです。
また屋外を推奨する理由は風通しがよいためです。腰水管理やその後湿らせ気味に育てている間、蒸れやすく腐りやすい状態です。この状態で室内だと風通しが悪く、カビが発生して枯れてしまいがちです。
また室内は日光不足になり、発芽したての芽が徒長(ヒョロヒョロと間延びしてしまう)してしまいます。
ただ夏型コーデックスなど寒さに弱い種類は11月にもなると室内に入れないといけなくなります。詳細な置き場所は各実践ページをご覧ください。
冷蔵発芽処理とは?
(ご注意:冷蔵発芽処理は当サイトの造語です。正式名称ではありません。)ペラルゴニウム、オトンナ、アルブカなどかなりの低温(5℃程度)にさらさないと発芽スイッチが入らないといわれている種類のタネを水に浸けて冷蔵庫で発芽させる方法です。この処理をすることで常温では芽が出にくい種類を発芽させることができます。
詳しくはこちらのページをご参照ください。
蓋はするべき?
メセン類など極小のタネには蓋は不要ですが、コーデックスなどの大きな種子ではラップなどで蓋をして100%に近い湿度で発芽させるほうが発芽しやすいようです。
特に高温多湿の環境で発芽させるパキポディウムなどの夏型コーデックスやサボテンなどは、カビやすい状態におかれるため、湿度をしっかり上げて一気に発芽させることが大事です。そのため発芽したらすぐ蓋(覆い)を外します。
肥料はいるのか?
発芽に肥料や発芽促進剤は不要です。
発芽条件は温度、水分、光、酸素が揃えば良く、タネはタネの内蔵する養分で自ら発芽します。しかし発芽後の生育には肥料は大切で、初期に肥料を与えたものは大きくなり、また葉もたくさん生えます。
管理人は発芽時は無肥ですが、発芽して2週間ほど経ったらマグアンプやハイポネックスなどチッソ・リン酸・カリが入った肥料を与えて成長を促進させています。
肥料を与えないのと与えるのでは驚くほど成長に差が出ます。しかしコーデックスだけは例外で塊根をしっかりと膨らませるには時間が必要で、肥料を多く与えすぎると太らず上に伸びてしまいます。そのため肥料は少なめにしておいたほうがよいと思います。
種類別の種まき実践ページ
以下では種類ごとの詳細な蒔き方と実践記録を公開しています。
エケベリア
メセン
サボテン
コーデックス
その他