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夏型の多肉植物の詳しい育て方

夏型の多肉植物の育て方を詳しく解説しています。夏型の多肉植物には、アロエやアガベ、カランコエ、夏型セネシオ、夏型クラッスラ、サボテン科などさまざまありますが、ここでは総合的な育て方を解説しています。

夏型の多肉植物の写真

アロエ 不夜城アロエ 胡蝶の舞錦カランコエ 花キリン夏型ユーフォルビア
マミラリア属・桜月サボテン 火祭りの薬害夏型クラッスラ マサイの矢尻夏型セネシオ
チランジア イオナンタチランジア フェルニア 竜王角フェルニア アガベ 笹の雪 (ササノユキ)アガベ

夏型多肉植物の特徴

ベンケイソウ科、サボテン科、リュウゼツラン科、トウダイグサ科、キク科など様々
下に記載
生育型 夏型
育てやすさ 種類により、やや難しい~育てやすい
成長速度 種類により、とても遅い~普通
殖やし方 種類により、挿し木、種まき、葉挿し、株分け
原産地 南アフリカなど

※4段階評価
育てやすい–普通–やや難しい–難しい
成長が早い–普通–遅い–とても遅い

夏型の多肉植物の特徴
「夏型」とは?
日本では暑い時期(夏を中心に春から秋も)によく生育するタイプの多肉植物です。よく生育する温度は20~35℃程度で、10℃以下の低温や40℃以上の高温は苦手です。そのため、夏を中心に春と秋はよく生育し、冬になると寒すぎて生育が鈍くなり、休眠状態になってしまいます。

夏型は暑さに強い多肉植物なのか?
それでは、暑さに強い多肉植物なのでしょうか?実は暑さに特別強いものばかりではなく、40℃以上の暑さは苦手なものが多いです。真夏に遮光なしで育てていると、溶けたり葉焼けして枯れてしまうことがあります。例えば一部のコーデックスや一部のサボテン、アロエは遮光せずに夏を越すこともできますが、それ以外では若干遮光してやらないと強い日差しや高温に耐えられない場合があります。サボテンでさえ7~8月の真夏は春や秋より生育が鈍ります。あくまで、暖かい~暑い気候が好きで寒さが苦手なグループと考えましょう。

どんな種類があるのか?
色々なサボテンを含むサボテン科を初めとして、夏型ユーフォルビアや夏型コーデックスは、そしてカランコエ、アガベ、チランジア、アロエ、夏型のセネシオ、夏型クラッスラなどを含みます。詳細は「夏型の多肉植物の属」の項目で紹介しています。

育て方は
生育期は春・夏・秋です。春から秋にかけてよく生長するので水やりをしっかり行い、適度に日に当てましょう。挿し木や植え替え、株分け、種まきなどもこの時期に行います。逆に冬は休眠しているので水は与えず、種類によって最低越冬温度を下回ったら室内に取り込みます。この時期には挿し木や株分けなどをすると失敗するので行いません。

また夏型ですが、真夏(7~8月)は日本の暑さが厳しくやや生育が鈍くなり、秋や春に比べると若干水やりを減らさないといけない種類もあります。(真夏に春や秋のように水をやって日に当てて良い種類は限られています。)そのため水やりの量は例としててサボテンでは、春に50%、夏に20%、秋に30%、冬に0%程度と考えると分かりやすいと思います。

育て方のコツ

  • 夏型とは20~35℃でよく生育するグループのこと
  • 夏型でも夏の暑さに弱いものがある
  • 水やりの量は秋・春が多め、夏は普通、冬はほとんど与えない
  • 置き場所は種類により夏は半日陰、その他は日なたか最低越冬温度を下回ったら室内

年間栽培カレンダー

生育型 夏型
生育期 4~10月
休眠期 11~2月
緩慢な時期 3月、7~8月
水やり
  • 3月は少なめを月2回程度
  • 4~5月は土が乾いたら鉢底から流れるまで(週に1回程度)
  • 6~8月は土を半分濡らす程度を月に2回程度(種類により雨ざらし可)
  • 9~10月は土が乾いたら鉢底から流れるまで(1週間に1回程度)
  • 11月は鉢の半分を濡らす程度を月に2回程度
  • 12~2月は表面を濡らす程度を月に1回程度
置き場所
  • 年間を通して雨の当たらない風通しのよい所に(種類により雨ざらし可)
  • 3~5月は明るい日なた
  • 6~9月は半日陰(種類により遮光不要)
  • 10~2月は明るい日なた
  • 種類により冬5~13℃を切るときは室内の窓辺
植え替え
  • 4~6月頃が適期
殖やす
  • 種類により4~7月頃に葉挿し、挿し木、株分け、種まきなど。(9月も可)
肥料
  • 植え付け時に緩効性肥料、4~6月頃に月2回液肥を与える
開花
  • 種類による

夏型の多肉植物の属

ベンケイソウ科
  • セダム属の一部
  • クラッスラ属の一部
  • ヒロテレフィウム属
  • シノクラッスラ属
サボテン科
  • マミラリア属
  • オプンティア属
  • アストロフィツム属
  • アリオカルプス属
  • セレウス属
  • フェロカクタス属
  • テロカクタス属
  • ロフォフォラ属
  • ギムノカリキウム属
コーデックス類
  • アデニウム属
  • パキポディウム属
  • ドルステニア属
  • アデニア属
  • スタペリア属
  • フェルニア属
  • ヤトロファ属
キク科
  • アロエ属
  • ガステリア属
キク科
  • セネシオ属の一部
リュウゼツラン科
  • アガベ属
その他の科
  • クセロシキオス属
  • トラデスカンティア属
  • ユッカ属
  • サンセベリア属
  • チランジア属
カランコエ 夏型クラッスラ ガステリア
アガベ アロエ クセロシキオス
セロペギア 夏型セネシオ 夏型ユーフォルビア
チランジア ディッキア ポーチュラカリア
フリチア カリシア トラデスカンティア
サンセベリア

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育て方のポイント

水やり

水やり多肉植物は水やりがほとんど要らないと思われがちですが、実際には生育期にはたっぷりの水を与える必要があります。

しかし毎日たくさん与える必要はなく、やりすぎれば腐ってしまいます。そのため普通の植物より、水やり頻度はとても少なく、一番多いときでも1週間に1回程度です。夏型の多肉植物は冬に休眠するため、休眠中は1ヶ月間ほとんど水やりをしないこともあります。

目安
通常、夏型の多肉植物は以下のような頻度と量の水やりをします。

休眠明けの3月は少なめを月2回程度で開始します。4~5月はよく生育するので土が乾いたら鉢底から流れるまで、週に1回程にします。6~8月は暑さに弱いものでは、土を半分濡らす程度を月に2回程度ですが、種類により雨ざらし可能で頻繁に水やりしないといけないものもあります。再び生育がよくなる9~10月は土が乾いたら鉢底から流れるまで、週に1回程度与えます。休眠期の近づく11月は鉢の半分を濡らす程度を月に2回程度にし、12~2月は表面を濡らす程度を月に1回程度か与えない場合もあります。

このように水やりのタイミングも1回当たりの量も、季節によってかなり異なることが分かります。

重要ポイント
重要なのは、土が乾いてから水やりするということです。上の目安はあくまでも目安で、使っている土の種類や育てている地域の気候、鉢の種類などによって水やりは変化します。そのため土が乾いていなければ無理に与えません。通常の植物は土が乾いたら毎日すぐ水やりしますが、多肉植物では土が乾いてから数日待った後に水やりをすると考えると良いと思います。

実際にどのくらいの水やりが必要かは、多肉植物を観察すると分かります。水やり後3日以内に表土が乾かなければ、水やりが多すぎたことを意味しています。逆に葉にしわがよって萎びたようになっているのであれば、もう少し水やりを多くします。

注意点

  • 小さな苗はこまめな水やりが必要で、種まきから育てている(実生といいます)サボテンの実生苗などは、夏冬を問わずこまめに少量の水を与えます。同じように小さい鉢は大きな鉢より水やり頻度を多くします。
  • 冬寒さが厳しい時の水やりは、暖かい午前中に行います。夜に与えると凍結など低温障害が出る心配があります。逆に夏暑さが厳しい時は、涼しくなった夕方に水やりします。炎天下で水やりすると土の温度が上がりすぎ、蒸れて腐ってしまうおそれがあります。
  • 通常、関東を目安に書かれているため、寒冷地や暖地では少しずつずらして考える必要があります。

置き場

置き場多肉植物は室内でも育てられると思われがちですが、実際には日当たりのよいところでないと育てることができません。

そのため基本は年中戸外の日が良く当たる所に置きます。しかし5~10℃を下回るような寒い時期は、種類により室内に取り込む必要がありますし、夏は日差しが強すぎて日よけが必要になることがあります。また、乾燥地帯の植物なので、基本的に雨ざらしはできず、雨よけのある所に置く必要があります。風通しも大切で、風の吹かないところにおいていると、ヒョロヒョロ伸びる徒長などを起こしてしまいます。

目安
通常、夏型の多肉植物は以下のような場所で管理します。

年間を通して雨の当たらない風通しのよい所に置きます。アデニウムや木立アロエなど雨ざらしにしてよい種類もあります。3~5月は明るい日なたに置きしっかり光合成させます。6~9月は半日陰に置いて葉焼けを防ぎますが、アデニウムやアガベ、一部のユーフォルビア、一部のサボテンでは無遮光(日よけなし)で育てることができます。日差しが弱まる10~2月は明るい日なたに戻します。冬の間は種類により5~13℃を切るときは室内の窓辺に取り込み防寒対策します。

重要ポイント
多肉植物を育てる上で季節ごとの適切な置き場所は、水やりの方法と同じくらい重要です。日当たりがよく、風通しが充分で雨よけのある所に置き、冬はしっかり温度管理を行えば、簡単に枯れてしまうことはありません。

実際にどのくらいの日当たりが必要かは、多肉植物を観察すると分かります。葉の色が薄くなってきたり、茎が伸びてきたらもう少し日当たりの良い所に移動させます。逆に葉がこげたようになったり溶けたりするようであれば、もう少し暗い所に移動させます。

注意点

  • いきなり置き場所(環境)を変えると多肉植物にダメージを与えることがあります。例えば冬に室内で育てていて暖かくなって急に戸外に出したりすると、普段なら何でもない日差しでも日焼けしてしまうことがあります。環境を変えるときは、2週間程度かけて徐々に慣らしていくようにしましょう。
  • 種まき1~2年以内の幼苗は日差しに弱くなっています。そのため通常より遮光を強めにします。
  • 斑入り種は葉緑素が少ないため、斑なしの種類より強光に弱くなっています。そのため通常より遮光を強めにします。斑入り種は10月下旬までと4月いっぱいも30%程度の遮光を行いましょう。

耐暑性と最高気温・夏越しの方法

夏越し夏型の多肉植物の適温は20~35℃なので、日なたの温度が40℃を超える日本の夏ではやや生育が鈍るものがあります。

種類により日ざらしでよいものもありますが、そうでないものもあり夏型だから全てが耐暑性が強いというわけではありません。そのため真夏でも旺盛に生育するものには水を与えて育て、暑さに弱いものでは植物の活動が低下しているので、必要とする水の量が減るため水やりも減らします。

また半分休眠している種類は直射日光にも弱くなっているので、半日陰や50%遮光ネットを張ったところに移動させるようにします。日なたは真夏に45℃から50℃にも昇ることがあります。夜も気温があまり下がらない日本の猛暑の中では、半日陰や遮光下に置いてなるべく涼しく過ごさせるさせることも大切です。また暑さに強いものでも、夜温は下げたほうがよいです。

重要ポイント
弱いものの夏越しでは、水やりを控えること、遮光して強い日差しを弱めること、そして日よけによって温度の上がりすぎを防ぐことの3つが重要です。また強いものはしっかり日に当てて水も与え、健康に生育させることが大切です。

詳しい夏越しの方法については以下のページに解説しています。
多肉植物の夏越し方法(遮光・温度・暑さ対策)

越冬最低温度と冬越し方法

冬越し夏型は夏を中心に春から秋にかけて旺盛に生育します。夏型では比較的寒さに弱いものが多いです。夏型コーデックス類は10℃以下、冬型コーデックス類は5℃、ユーフォルビアは8℃以下、カランコエは5℃以下で枯れるか傷むものが多いです。そのためそれぞれの最低越冬温度を下回る場合は、室内に取り込みます。

冬は日差しが弱くなっているので、なるべく長時間日当たりの良い所に置くことが大切です。特に10月~12月、3~4月に良く日に当てることは重要で、冬室内で日光不足になる分を挽回するつもりで育てます。

重要ポイント
夏型種は寒さに弱いものが多いです。最低越冬温度ぎりぎりでもなんとか冬越しすることはできますが、あまりぎりぎりだと株にダメージが残り春以降の生育が悪くなることがあります。そのためやや余裕をもって保温するのが望ましいです。しかし余分な加温は不要で、日光不足で加温しすぎると徒長などのデメリットもあるため、温度の上げすぎには注意しましょう。

室内栽培時
室内に取り込む際は、最低でも半日直射日光が当たる所に置きましょう。そして時々鉢を回してまんべくなく日が当たるようにしましょう。日当たりのよい所がない家庭では、植物育成ライトなどを使うと、暗い部屋でも元気に生育させることができます。また暖房の効きすぎは禁物で、人が快適な室温(20℃~)では夏型の多肉植物は徒長してしまう心配があります。室内は暖房で乾燥していますので、時々葉に霧吹きをする葉水などを適宜行います。

詳しい冬越しの方法については以下のページに解説しています。
サボテンの耐寒性・最低温度や冬越し方法の工夫

殖やし方

殖やし方夏型の多肉植物も普通の植物と同じように、殖やして楽しむことができます。具体的な方法は、さし芽(挿し木)、葉挿し、株分け、種まき(実生)などがあり、種類に応じてできるものとできないものがあります。

繁殖作業には適切な時期があります。夏型の場合4~6月がメインの他、9~10月にも行うことができます。逆に10℃を切る休眠期の真冬や厚さの厳しい夏では、根や葉が出ないなど失敗しやすいです。(種類によりできるものもあります。)例外的に葉挿しは年中行えますが、それ以外はできれば4~6月または9~10月に行うと成功率が高いです。

種類別に可能な繁殖方法は以下に解説しています。
多肉植物の様々な繁殖方法と殖やし方一覧

挿し芽の方法:

カット苗 雅楽の舞 多肉植物
挿し木は親株から取った枝から根を出させて殖やす方法です。上に伸びていくタイプや木立するものが挿し木に向いています。

詳しい挿し木の方法は以下で解説しています。

葉挿しの方法:

葉挿し
葉挿しは親株からもいだ1枚の葉から子株を作る方法です。葉挿しはできる種類とできない種類がありますが、葉が取れやすいものや、たくさん株を増やしたい場合に適しています。

詳しい葉挿しの方法は以下で解説しています。
多肉植物の葉挿し(はざし)の方法と詳しい育て方

株分けの方法:

多肉植物の株分け
株分けは親株から出た子株を切り取って別々に植え付けて育てることをいいます。葉挿しと異なり、多くの種類で可能です。パターンが様々あり、センペルビウムやオロスタキス属のようにランナーで増えるもの、ハオルシアのように群生するもの、エケベリアのように株元から子株が出てくるものなどがあります。

詳しいタイプ別の株分け方法は以下で解説しています。
多肉植物の株分けの方法と詳しい育て方

種まきの方法:

アデニウムの実生 種まき
サボテン科の一部は挿し木や株分けができないので、タネまきで殖やします。種まきは園芸用語では実生(みしょう)といいます。夏型の種類の種まきは25℃から30℃を保てる、5~6月に行います。秋にも蒔けますが、すぐに冬が来て冬越しが難しくなるため、5~6月が適しています。

詳しいページは作成中です。

植え替え

植え替え
植え替えとは、鉢植えにしている植物に定期的に行うメンテナンス作業のことです。鉢に植えている植物は地植えの植物と異なり、土に限りがあって根がのびるのに限界があり、土が劣化して空気の通りにくい硬い土になってしまったり、肥料を使い果たしてしまったり、といった現象が起こります。それを植えたての時のように健康な状態に戻してあげるのが「植え替え」です。

植え替えには適切な時期があり、夏型の場合は生育が始まる少し前から始まったとき、4~6月頃が適しています。この時期に植え替えを行っておくと、その後(生育期)の生育がよくなります。休眠期や休眠前などに行うと切れてしまった根が回復せず株が弱ってしまいます。

詳しい植え替えの方法は以下のページに解説しています。
多肉植物の植え替え方法

土と鉢

土
土の選び方
土は水はけと通気性がよく、適度な保水性があり清潔なものが適しています。水はけは水を与えた時鉢底から流れ出ることで、通気性は空気の通りが良いことを示します。適度な保水性は、与えた水が全部流れてしまわず、植物に必要な量が土の中に残ることです。

清潔な土は、カビ病の胞子や病原菌、害虫、雑草の種などが入っていないもののことです。必ず毎回新品の土を使う必要はありませんが、古い土を使う場合はきちんとリサイクルや殺菌などの処理してから使うことが大切です。使う前には、必ずみじん(粉状の土)を取り除くようにしましょう。酸性度(pH・ペーハー)は極端に酸性やアルカリ性に偏っていなければ特段心配はいりません。

市販の多肉植物・サボテンの土を使ってかもよいですし、買ってきたものを調整したり、自分で作っても良いでしょう。

自分で作る場合
自分で作る場合は、赤玉土をベースに、軽石やボラ土、ピートモス、腐葉土、くん炭、パーライト、バーミキュライトなどを混ぜ合わせます。土は種類によってそれぞれ性質が異なるので、3~4種類混ぜることをおすすめします。

鉢の選び方
鉢 はち
鉢は陶器の鉢とプラスチックの鉢があり、陶器の鉢は土が乾きやすく見栄えがよい、プラスチック鉢は軽くて扱いやすい、というメリットがあります。鉢のサイズは植えたい苗のサイズに合わせて何種類か用意しておくとよいでしょう。最初のうちは見た目は劣りますが、軽くて扱いやすく適度に水持ちがある小型のプラスチック鉢をおすすめします。カラーは白色のものが夏熱くなりにくく、黒のものは冬温まりやすいです。夏の暑さが苦手な種類は白を選び、冬の寒さが苦手なものは茶色や黒を選ぶとよいと思います。

詳しい土と鉢の選び方は以下のページに解説しています。
市販の多肉植物用土の選び方
多肉植物の土の作り方(ブレンド方法や割合)
多肉植物に向いている鉢の特徴と選び方

肥料

肥料
多肉植物は普通の植物より生長がゆっくりなので、普通の植物ほど肥料を必要としません。しかし鉢で栽培している多肉植物は自然界から養分を補うことができないので、肥料や微量要素を与える必要があります。植え替えの時、用土に緩効性肥料を混入したり追肥として液肥を与える場合があります。以下のような使い方があります。

(例)
・緩効性肥料のマグアンプKを土にひとつまみいれて植え付ける。
・液肥のハイポネックス1000~2000倍液を生育時に月1~2回、1回分の水やり代わりに与える。

※肥料はチッソ、リン酸、カリが主成分で、マグアンプK、ハイポネックスともに入っていますが、ハイポネックスでは加えて15種類の植物に必要な微量要素を補うことができます。

ただし与えすぎは副作用の心配があるので、普通の植物の半分から3分の1程度にとどめたほうがよいでしょう。

詳しい肥料の与え方は以下のページに解説しています。
多肉植物の肥料のやり方(時期・種類・量など)

病害虫

病害虫

多肉植物は全体的には強健なものが多く、病害虫はそれほど心配ありません。しかし乾燥気味に育てることや、密集して生えることが多いなどの特徴から、多肉植物に多い被害というのもあります。

根ジラミ
サボテンネコナカイガラムシとも呼び、根に吸汁する白い小さな害虫です。根につくので発見が遅れることがありますが、多数付くと生育が悪くなってくるので、調子が悪いと感じたら、土から株を掘り起こして根をチェックします。もし付いていたら、水で洗い流すか取れない場合はその部分を切り取ります。

ネマトーダ
根コブ線虫ともいい、根に寄生する害虫です。寄生されると生育が悪くなるので、根ジラミと同じように掘り起こして点検します。根がコブのように肥大していたらその部分を切り落とし、使っていた土は処分します。

コナカイガラムシ
葉の付け根や茎などを吸汁する害虫で、大量に発生すると株が弱ります。通常のカイガラムシと異なり柔らかく移動できるタイプで見た目は白い害虫です。葉の付け根など見つけづらいところにいます。殺虫剤を散布しておくほか、見つけ次第爪楊枝や綿棒などで潰します。

ハダニ
ハダニはようやく目に見えるくらいの虫で、葉の裏や新芽などに寄生し吸汁します。葉の色が薄くなり白みがかってきて、株が弱っていきます。通常の殺虫剤が効かないため、殺ダニ剤という種類の農薬をまきます。乾燥を好み乾燥時に付きやすく、水の霧吹きである程度予防することができます。

カビが原因の病気
うどんこ病、サビ病、黒星病など病気の原因の8割をカビ病が占めます。これらは白い粉が吹いたようになったり、葉が茶色の斑点に覆われたり、黒くなったりします。特に5月頃から9月頃まで多く、なりやすい属とそうでない属があります。なりやすい種類やかかってしまった場合には、殺菌剤といわれる農薬を散布します。ひどい場合は抜き取り処分しかないこともあります。カビ病の発生した土には糸状菌(カビ)の胞子がいるので、使い回さないようにしましょう。

モザイク病
ウイルスが原因で起こる病気です。葉の形がおかしくなったり、変な模様が入ったりして気付きます。ウイルス病は治療薬もなく治療ができないため、発症した株は抜き取り処分します。アブラムシが媒介することが多いので、殺虫剤をあらかじめ散布しておくと予防できます。

根腐れ
土がずっと湿っているなどして根が窒息すると、腐って腐敗が徐々に進行します。そのままにしていると株自体が腐るので、根腐れした部分は切り取り、腐敗部分が残らないようにします。全ての根が腐っていた場合は、全部切り落として株を数日乾かしてから植え付けます。高温時や休眠時は水をやりすぎて過湿にならないよう予防します。

日焼け(葉焼け)
夏の強い日差しに当てたり、日陰や室内においていたものを急に日なたに出したりして、葉や茎などがやけどしてしまうことです。軽症の場合はその部分が黒くなるだけですが、重くなると株自体が枯れることがあります。夏の日差しに弱いものは遮光し(日よけ)するほか、日陰や室内に置いていた多肉植物は徐々に日なたに慣らすようにします。

詳しい病害虫の対策方法については以下のページに解説しています。
多肉植物がかかりやすい病気と効果的な殺菌剤・対処方法
多肉植物に多い害虫と効果的な殺虫剤・対処方法
病気と間違いやすい多肉植物の生理障害